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虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

子どもの性格タイプについて考えることで どんないいことがあるの? 5

2011-07-27 14:18:28 | 子どもの個性と学習タイプ
前回の記事の続きを書く前に、「ん?」と引っかかるときの気持ちについて
ちょっと説明を……。


人には異なる時代に進化した

「分析的な心」と「直観的な心」が備わっていると考えられています。

それは人間の意識の二面性をあらわしています。



強力で迅速で、ときには合理性から離れた働きをする直観的な心。

ルール重視で、行きすぎないように気を配る分析的な心。

直観的な心と分析的な心はバランスよく働くこともあれば、
ぶつかりあって、考え方や感情や行動をどちらか一方に偏った
硬直したものにしてしまうこともあります。

もし良い仕事をしようと思うなら、分析的な心の知性や規律を大切にしながら、
同時に直観的な心が生み出す自由で創造的なエネルギーが
活躍できるように調節しなくてはなりません。

私は、ブログで記事を書くときは、体験したことや見聞きして得た印象を整理して、
分析的な心を通して言葉にしているのですが、
実際に仕事をしている最中は、分析的な心はできるだけ引っ込めて、
直観的な心で子どもに対応していることが多いです。


ユージン・サドラースミスの『直観力マネンジメント』という著書では、
分析的な心と直観的な心の違いを次のようにまとめています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<分析的なこころ>

「ナロードバンド」(連続的処理)
コントロールされるプロセス(努力が必要)
ステップ・バイ・ステップで働く
意識的(直接的、意識的介入が可能)
言葉で語りかける
作用がゆっくり
進化的に新しい(数万年前)

<直観的なこころ>

「ブロードバンド」(並行処理)
自動操縦のプロセス(努力が不要)
総合的なパターン認識
無意識的(意識的介入ができない)
感情で語りかける
作用が迅速
進化的に古い(数十年前)


このふたつのこころの相互作用は、人間心理に固有の緊張感をもたらす。
分析的なこころは自分がすべてを仕切っているという想定あるいは妄想のもとで活動しているが、
ものごとの進行には、直観的なこころのほうが
大きな影響をおよぼしているかもしれない。

(『直観力マネンジメント』ユージン・サドラースミス  朝日新聞出版 より)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『直観力マネンジメント』によると、どのような職種であれ、経験豊かなプロは全体的な状況の
「エッセンス」をとっさにつかんで、「何かがおかしい」という勘を頼りに、
さらに詳細に調べるべきか見分けるそうです。

たとえば、こんな例が紹介されていました。


ある夏の晩、隠密捜査中の覆面麻薬捜査官が街の売人から違法な薬物を買い取ったそうです。
そこで、捜査官は、待機していた仲間に売人の特徴を伝えました。
街角に向かいつつ、ある捜査官が突然仲間たちに「赤シャツの男を捕えろ、銃を持っている」と叫んだそうです。
赤シャツの男は売人とは別人でしたが、捕まえると357口径れぼるバーを隠し持っていたそうです。


どうして、売人とは別人の男が、銃を持っていることに気付いたのかというと、
暑い夏の夜なのに、長袖シャツを着て、裾をずぼんの外に垂らしていたり、
いきなり向きを変えて反対方向に歩きだしたり、立ってベルトをいじっていたりしていた印象が、
捜査官の直観的なこころに「何かおかしい」というサインを送っていたのです。

学習や経験、フィードバックによって十分に直観を発達させていても、
直観的なこころは間違いがないわけではありません。

でも、上の例のように直観的なこころが大活躍する場面もあるのです。

『直観力マネンジメント』では、直観的思考が向いている場合を次のように
まとめてあります。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<直観的思考が向いているのは>


●問題の存在を察知する必要がある場合

●学習済みの行動パターンを迅速に展開すればいい場合

●予想がくつがえった場合

●「大きな絵」を構築する場合

●合理的な分析の結果をチェックする場合

●綿密な分析は棚上げにして、迅速にそれなりの解決に達したい場合

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私も仕事で直観的なこころをフルで使うときというのは、

「この子はこういう子なんだな」という外から見える姿とは異なる
子どもの一面に気づいて、どこかで自分の予想を裏切られる何かにぶつかるときです。

また、子どもの未知の潜在的な可能性を感じとるときも、直観が強く働いています。

直観的なこころをしっかり働かせるには、
細かい分析をすべて頭に入れた上で、そうした分析に縛られないで
自由に創造的に感じ取る必要があります。

さまざまな経験や知識を正確に把握した上で、
何も知識がないときのような先入観のない気持ちで
全体を眺めるようにしています。

感情で察知するものを、馬鹿にしないようにしています。

合理的に分析的に考えて、それがどんなに正しく思えることでも、
何か心に引っかかることがあったり、
子どもの表情や目の動きが、自分の心にざわざわするものを残す場合は、
全く別の視点から検討しなおして、
何かを変える必要があるものです。


話が長引いてしまったので、前回の続きは次回に書きますね。

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