波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

「渾身」(川上健一著:集英社)から

2012年04月18日 | 読書

Photo  久しぶりの川上健一。
「雨鱒の川」の純愛、「翼はどこまでも」の青春、「四月になれば彼女は」の自立、今回はどうかな…と手にした相撲の話…単行本で出た「渾身」(こんしん)、後の楽しみにとっておこうと書店を出たのは5年前。定年退職後に読んだ最初の小説がこれだ。
  映画「ALLWAYS 三丁目の夕日」見終わったみたいな読後感。泣いて笑って泣いて…一昔前の、昭和の香りする心地よさだ。

 普段忘れている心の奥底を刺激される感覚。好き嫌いは分かれるな。恋愛、青春、家族があたり前に描かれている、あたり前を描く才能が非凡な作者。本に非日常を求める人には物足りないだろうな。映画ALL~は、寅さん後の国民映画と言われ、熱烈な映画愛好家には超駄作と言われるそうだ。この小説、似ている。

  30代の頃、「雨鱒の川」で泣く。読書で涙が出るんだと変に感心した。オイオイ声を出して泣いた。誰彼無く、一人で読めよ、電車では読むなよと注意して紹介した。返してもらえず3回買った。
    年末公開予定で映画化されるようだ。この作者の作品はいくつか映画化されているが評判にならない。立男も見たいとは思わない。小説世界だからこそのおもしろさだからなあ。

………………………………………………………………………………………………………………………………………………… 昨日、退職(就職)のあいさつ状を出した。「4月吉日」の日付で5月になって出したこともあったから今回は早い。知人らの同種あいあいさつ状が次々と届き始めたから急いだ。今年は春休み無く働いてきたせいかやたら長い4月だ。

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