普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

貧しくて学べない、結婚できない人達

2009-03-13 17:58:30 | 麻生内閣

[貧しくて学べない、結婚できない人達]
 11日のNHKのクローズアップ現代の「貧しくて学べない」で、景気の悪化が家計を圧迫し、授業料を滞納する高校生が急増。中退を迫られるケースも出ている。親の貧困が子供の学ぶ機会を奪い、貧しさが再生産される社会の歪み(NHKの番組案内から)の放送がありました。
 NHKが例に上げた、某高校では入学者の内3分の1が貧困などの理由で退学したそうです。

 また翌日の民放では厚生労働省が11日に発表した「21世紀成年者縦断調査」結果を放送していました。
 それによると、結婚適齢期の男性において、仕事の有無別にこの5年間の結婚状況は
・男性の23.0%が「仕事あり」、9.0%は「仕事なし」の状態で結婚を決め
・「仕事あり」の内、就業形態の正規・非正規別では「正規」(24.0%)に対して、「非正規」は12.1%と2倍近い差があること
  なお女性の場合は「正規」「非正規」による差はないそうです。
・男女共この3年間で結婚した割合が最も多い所得階級は、男女共に「400~500万円未満」(20.6%)で、最も低い「100万円未満」(8.2%)とは12.4ポイントもの差が出た
ことを報道していました。
 つまり、非正規雇用の男性の結婚率は正規雇用の男性に比べて半分程度である実態だそうです。

 これらの問題は非常に多くの要因を含んでおり、素人の私が纏める能力はありませんが、私の思いついたことを二、三書いて見ます。
・収入格差→教育格差→社会格差の定着の危険性
 今までも親の収入と有名大学の入学者数に相関関係があることが問題になって居ましたが、NHKが取り上げた問題は更に深刻なもので、今では中小企業でも高卒の資格を必要条件としているので、高校を中退した人達はその意志に関わらずアルバイトや非正規社員として働くか、中卒でも雇ってくれる技能職を探すしかないとことになります。
 私は技能職で働く事に大いに意義が或ると思いますが、技能職は嫌いでその他の仕事を目指す人達に取っては、完全な社会格差の中にに入ることになると思います。
・結婚問題に関しては今でも少子化、晩婚化の問題が叫ばれているのに、全体の3分の1を占めている非正規社員が結婚すら出来ないとすれば、益々少子化に拍車がかかってきます。
 ましてその非正規社員の大量解雇が行われているのですから、ただでさえ問題になっている特殊出生率が07年度の1.34の数字がさらに落ちるのは間違いないと思います。
 この減少がこのまま進めば日本人の人口がゼロに近くなることになるのですが、どの数字になれば収斂してくるのでしょう。
 その間の日本経済に与える影響はどうなるのでしょう。
 私は何時も言う事ですが、企業の生き残りも大切ですが、日本伝統の人を大切にすることや、その社会的責任を忘れてもらったら困るとおもうのですが。

[貧民化する日本?と小泉改革]
 膨大な人口と低賃金の中国の台頭→日本の相対的競争力の低下→競争力強化のための低賃金で何時でも増減できる非正規従業員の増加→日本の平均賃金の低下→日本の貧困化の傾向の発生
 その一方で、小泉政権頃から急激に、小さな政府、米国型の自由主義経済、市場中心主義経済と、それに伴う米国型の経営の考え方である、企業は株主のもの、長期的視野の経営より短期的利益の追求、日本得意のチームワークより成果主義の導入が行われて来ました。
  小泉さんは良く言われる米国からの年次改革要望書に従って数々の改革を行い、財政の正常化のために本来改革に伴う負の部分を補うべき、セイフティーネットワークの構築を整備するどころか、その部分まで大鉈を振るってきました。
  そして、米国発の金融・経済危機の発生で、日本の経済を担ってきた、輸出型の製造業からの輸出の激減→日本で初めての急激な非正規社員の大量解雇→日本の貧困化傾向の増加となったのが、上記の問題の発生の原因です。
  勿論これは小泉さんだけの責任ではありません。
  この後を引き継いだ安倍さんにも責任があります。
  私は安倍内閣の基本方針の「小泉路線の継承」でなくて、「小泉路線の見直しか脱却」にすべきと何度か投書しました。
  然し、安倍さんは教育基本法、国民投票法など小泉さんのやり残した改革を進めて来ました。
  そしてその結果は地方の疲弊、年金、医療、介護とうの福祉制度の崩壊の危機の発生とともに今回の大量解雇です。
そして今麻生さんが一生懸命やろうとしているのが、セイフティーネットワークの再構築、銀行などの企業への応援と言う政府の介入です。
 麻生さんの言う「中福祉・中負担」と言う様に、小泉さんの進めた小さな政府の反対の方向に舵を切っています。

[米国型の自由主義経済、グローバル化は日本にとって相応しいのか]
 米国型の自由主義経済、グローバル化は勿論良い事もあり、日本はそのお蔭で一時は一億総中流意識を持ち、他国から「理想的な社会主義社会」と言われるまでにその果実を満喫した時代もありました。
 その時はまだ中国は共産主義に囚われていたお蔭で、日本はその実力を遺憾なく発揮できました。
 然し良く考えて見ますと、自由主義、グローバル化による競争は、米国を筆頭に、中国、ロシヤ、インド、ブラジルなど広大領土と資源を持つ国と、小さな資源の殆どない領土しかない日本が「米国などと同じ戦略」で対等に戦える訳がありません
 このままでは、中国を始めとするBricsの台頭に伴い、日本の競争力が落ちるのは当然です。
 それに気付いた日本と同じ小さな領土しかないヨーロッパ諸国は、連合してEUを作りました。
   先進国で見ると一つの特徴があります。小さい政府と低い所得税を持つのは日本と米国だけです。
 これからの日本はどうすべきでしょうか。
 中国、韓国は反日政策を取っています。
 もし日本がEUの真似をするとすれば、東南アジア諸国の連合しかありませんが、いずれは中国、韓国とも連携するしかないと思います。
 私は自由主義経済も市場中心主義経済もある程度のブレーキを掛けたもの、詰まりある程度の政府の介入のある経済しか日本は成り立って行かないと思います。
 勿論、小泉さんが進めた民間で出来ることは民間にさせることは良いと思いますがそれには、郵政改革のように限度とブレーキを掛ける必要があると思います。
 日本のやるべきことは、日本の各企業が進めてきたように、今まで放置されてきた政府の組織や制度の合理化であり、政府の役割の放棄による縮小とは違うと思います。
 それが麻生さんの言う「官僚は上手く使うもの」と言う言葉に繋がっていると思います。
 但し麻生さんが政府組織や制度の合理化を本気でやるかどうかまだ時間がかかりますが。
  私は日本の日本に合った経済手法や日本型の経営しか日本の生きる道は無いと思います
 これを考えるとお人好しの麻生さんが色々言われて居ますが、考えて見ると案外と言ったら失礼ですが、しっかりした政策を立てているような気がするのですが。


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1 コメント

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高校中退は貧困のせいか? (ぜろ坊主)
2009-03-16 09:55:51
>11日のNHKのクローズアップ現代の「貧しくて学べない」で、景気の悪化が家計を圧迫し、授業料を滞納する高校生が急増。中退を迫られるケースも出ている。親の貧困が子供の学ぶ機会を奪い、貧しさが再生産される社会の歪み(NHKの番組案内から)の放送がありました。
 NHKが例に上げた、某高校では入学者の内3分の1が貧困などの理由で退学したそうです。

・日本では高校進学率は100%近いのです。
・小学校や中学校で支払い能力があるのに給食費を滞納するものが無視できないほど増えています。
 そういう親は高校の授業料も当然滞納するでしょう。
・みんなが高校へ行くとなれば,当然高校教育に向かないものも混じっている訳で、付いて行けなくて中退する者やぐれて中退する者が現れます。
・勉強の出来ない高校ほど中退率が高く、50%を越えるところも珍しくありません。
・高校の中退者の増加は今の老人の若い頃とは全く別世界の状況です。
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