普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

貧困率ワースト2の日本

2008-10-31 17:03:37 | 経済・財政

[進む貧困化]
 昨日の読売新聞の解説記事の広がる貧困問題…家族以外頼れず 低所得者が孤立
を見て驚いた。
 私は何度も日本の貧困化について書いていたが、素人の悲しさで日本が17の調査国の中で米国に次いで日本が第2位の貧困率を持っているとは知らなかったからだ。

  働いているのに十分な収入が得られない「ワーキングプア」など、貧困の問題が注目を集めています。
 各国の貧困の実態を裏付ける数字として参考になるのが、経済協力開発機構(OECD)のデータです。
 OECDは、国民を所得順に並べた時、真ん中の順位の人の半分以下しか所得がない人の割合を「相対的貧困率」と定義。日本の貧困率
(2000年)は、2006年7月に発表した「対日経済審査報告書」で、13・5%としています。 (*注記)
 調査対象となった17か国中、アメリカに次いで2番目に高い割合です。
 報告書では、主な背景として、非正社員が増えていることを指摘しています。
 厚生労働省の「労働経済白書」(07年版)によると、非正社員が雇用者全体に占める割合は、84年には15%程度でした。
しかし、政府の後押しもあり06年は33%と過去最高水準に達しています。
 貧困の問題が深刻なのは、「お金」の問題だけで片づけられない点です。
 国立社会保障・人口問題研究所の「社会生活に関する実態調査」(06年)によると、所得が低い人ほど、トラブル時に家族以外に頼れる人がいない割合や地域活動に参加していない割合、さらに、医療や年金制度に加入していない割合が高いことが分かりました。
 低所得者は、企業だけでなく、地域、社会保険制度などからも“孤立”しがちです。欧州では、こうした状況を「社会的排除」と表現し、就業支援、税制などによる経済支援、地域活動支援、健康対策など包括的な対策を講じています。

 昨夜のテレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」のコメンテーターは今回の麻生さんが30日に発表した追加景気対策は将来の消費税増税も含めて評価する一方、問題点として日本の抱えてる貧困化の対策がないと指摘していた。
 ある評論家が、日本の貧困化や社会格差の発生と米国のそれを同列に置いてはいけない。
 何故なら、米国はそれを補完するキリスト教団体の活躍や、富豪達からの多額の献金で貧困者を支えているからだと言っていた。

[日本の国情や日本人の心情に合わない教育の導入]
 このこの話を聴いて私は直ぐに教育の問題を思い出した。
 戦後の占領軍は民主主義の思想、個人の権利重視、個性の尊重などの新しい考えを日本に導入した。然し米国にはその根底に強いキリスト教の影響があり、開拓者精神、権利重視に対しては、他人の権利を冒さないように訴訟社会があった。
 然し占領軍はその一方で神道や武士道の教えを禁じ、思いやりや助け合いなどの日本古来の美風を無視した。
 その後神道も武士道も解禁になったが、日本人にとって一番不幸なことは日本人の精神的な支えとなっていた仏教の衰えと、将来の国民を育てる学校に日教組のマルクス主義的な考えの浸透だった。
 勿論日本が独立国になった以後日本が独自に占領軍の施策の不備なところを直すべきだった。
 しかし、半世紀たった今でも、道徳の教科化さえ進まない現状だ。

[日本の国情や日本人の心情に合わない経済方式の導入]
 経済の問題でもそうだ。
 日本は米国の自由主義経済、市場中心主義の経済をすすめ一時は「一億総中流意識」を持つと言う良い時代を迎えた。
 その根底には企業の家族主義的経営、終身雇用→企業への忠誠心→自主管理活動による改善運動、経営者も従業員もあまり大きな差のない収入など如何にも日本的な経営があった。、
 然しバブル崩壊以後、小泉・竹中路線はアメリカの年次改革要望書の指示するままに構造改革を押し進めてきた。
 その一方で中国の台頭で、企業の競争力の低下→企業のコストカット→派遣社員の導入→格差の発生と貧困化の進行が始まった。
 米国流の成果主義や不況時には簡単に従業員を整理するレイオフなどのやり方が導入、株主の優遇、経営者の給与の増加、低賃金の派遣社員など、そのいずれも日本流の企業経営のやり方を無視するものだった。
 小泉さんは賢くも構造改革の道を開いたあと引退してしまったが、独り残った竹中さんは孤軍奮闘の形でまだ構造改革を唱え、格差社会は必ずしも悪くないと言っている。
 然し貧困率の観点からみれば、世界から立ち遅れているのは米国と日本だけの形に成り掛けている。
 そして今になって見れば、小泉・竹中さんが言う様に米国流の自由主義経済やグローバル化が、少なくてもこれからは世界のスタンダードではならないような気がする。

[新しい経済政策と貧困化の防止]
 然しそれでも貧困化に関しては、米国は上記のように貧困者を救うセイフティーネットを持っている。
 そして日本は------。
 しかし日本では、明確な貧困の基準もなく、実態把握すらしていないのが実情です。問題を放置すれば、社会の階層化が進み、福祉コストが増えることになりかねません。政府は実態を調査し、欧州にならい、包括的な支援を行うべきです。
 と読売の解説は指摘している。

 私も何度も、米国流の市場中心主義経済、米国一辺倒の経済の見直しを書き、そして欧州流のやり方も見当すべきだと書いてきた。
 今こそ日本は独立国として、世界経済の趨勢の変化にも適応できる、日本の国情にあった経済政策を進め、日本人の心情に則した貧困化対策を進めるべきだと思う。
 
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*注:相対的貧困率ワースト・ファイブ
アメリカ 13.7、日本 13.5、アイルランド 11.9 、イタリア 11.5 、カナダ 10.3
以下、ポルトガル 9.6、ニュージーランド 9.5、イギリス 8.7、オーストラリア 8.6、ドイツ 8.0 、フィンランド 6.4、ノルウェー 6.0、フランス 6.0、オランダ 5.9 、スウェーデン 5.1 、デンマーク 5.0、チェコ 3.8

 


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4 コメント

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実質 (ろっし)
2008-11-01 08:37:32
 実質、日本がワーストワンです。記載されていますが、ボランティア、富豪などによる慈善活動がアメリカでは多いのです。キリスト教も影響しているとは思います。

 冷静に考えると、現代の教育(受験戦争、成績)
などは、絶対主義でなく相対主義です。100点が多い99点より、70点で1番が評価される偏差値教育です。人に勝つことを教えて、自分さえ良ければと思う人が増えるのは、当然に思います。
返信する
近代史として (菱海孫)
2008-11-01 11:37:00
戦前の我国に「思いやりや助け合いなどの日本古来の美風」があったにもかかわらず、大きな所得の格差があったということを考えれば、また異なった視野が開けるのではないでしょうか。
返信する
Unknown (ego)
2008-11-01 15:19:04
私は、これ逆だと思う。

オーストラリアやニュージーランドの失業率や税金の高さ、それによる怠け者の国と化し、
自分らの国で何も創造することもなく、
労働に対して、責任感が気薄で、怠けても
一生食って行ける保護があるので

"誰も、真剣に働かない。"

日本が格差があると言うが笑ってしまう。

一度でいいから、日本より下位の国に出て見ればよい。
いかに日本は
格差がすくなく全体的に幸せな国であるかが体感できると思う。
格差を否定するなら、共産主義、社会主義をよく見てみれば良い。おのずと答えはわかる。
そして、民主主義的社会主義国々を見てほしい
そこには”怠け者”があふれていることが
よくわかる。

今の日本が不満なら、世界のどこの国に行っても
不満だと感じるだろう。
私は“格差”は、人間の欲やそれから生まれる創造性や工夫や真剣さを育むものであると考えている。
そして、苦しいことを乗り越え獲得した金持ちに対する怠け者の嫉妬が努力、能力のないことを自覚せず、すべて自己中心的思考によって作り出される社会批判は、見ていて不快この上なく思う。
日本の税制こそが、不平等であるのだから。

日本が怠け者の国になるということは国家没落となるだろう。
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Unknown (ego)
2008-11-01 15:19:05
私は、これ逆だと思う。

オーストラリアやニュージーランドの失業率や税金の高さ、それによる怠け者の国と化し、
自分らの国で何も創造することもなく、
労働に対して、責任感が気薄で、怠けても
一生食って行ける保護があるので

"誰も、真剣に働かない。"

日本が格差があると言うが笑ってしまう。

一度でいいから、日本より下位の国に出て見ればよい。
いかに日本は
格差がすくなく全体的に幸せな国であるかが体感できると思う。
格差を否定するなら、共産主義、社会主義をよく見てみれば良い。おのずと答えはわかる。
そして、民主主義的社会主義国々を見てほしい
そこには”怠け者”があふれていることが
よくわかる。

今の日本が不満なら、世界のどこの国に行っても
不満だと感じるだろう。
私は“格差”は、人間の欲やそれから生まれる創造性や工夫や真剣さを育むものであると考えている。
そして、苦しいことを乗り越え獲得した金持ちに対する怠け者の嫉妬が努力、能力のないことを自覚せず、すべて自己中心的思考によって作り出される社会批判は、見ていて不快この上なく思う。
日本の税制こそが、不平等であるのだから。

日本が怠け者の国になるということは国家没落となるだろう。
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