・現実的なIAEA報告書・事故防止に役に立たない政府・国会の事故調査委報告・反原発ムードで困惑している政府関係者
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「驚くほど損傷少ない」 女川原発のIAEA調査(産経Bizより)
東日本大震災の揺れに襲われながら、被害が少なかった東北電力女川原発(宮城県)を訪れた国際原子力機関(IAEA)の調査団が10日、都内で記者会見し「驚くほど損傷は少なかった」との調査結果を公表した。
団長のスジット・サマダー耐震安全センター長は「地震より津波の影響が大きかったが、三つの原子炉建屋も安全システムもすべて健全に機能した」と評価。「女川で得たデータは世界中の原発の安全性向上に役立てたい」と述べた。
約20人の調査団は7月30日から延べ9日間、施設を目視で点検し、運転員ら約50人から震災時の運転状況などを聞いた。
津波で機器の位置がずれたり、部品がなくなったりしたものの、地震では建屋の壁に小規模なひび割れが起きるなどしただけで、重大な影響はなかったという。
なお地もと紙の河北新報はその他に次の記事のわうら津波のほうに力を入れているようです。
スジット・サマダー氏は「地震や津波の影響を知る調査であり、再稼働できるかどうか審査するためではない」と再稼働に関する具体的な言及は避けた。
(調査団は)耐震安全性や津波影響に関する現地調査について「安全システムが健全に機能し(主要設備に)目立った損傷はなかった」との報告をまとた。
津波の影響による2号機原子炉建屋付属棟への海水流入被害に関しては「(浸水は)限られた範囲だったのに、機器が損傷した。地震に比べ津波の影響は大きい」との見方を示した。
震災で女川原発は一部設備に被害を受けたが、全1~3号機の原子炉は安全に冷温停止した。
[私の意見]
私は政府および国会の事故調査委員会に原子力の専門家と言っても深いが狭い範囲の専門で原発全体のことは判らないので原発の運転・保全の専門家を入れるべきと書き、その調査も同じ地域で同じ災害を受けた福島第一、女川も調査すべきと書き関係者にも投書したのですが、結果は狭い範囲の専門家とズブの素人の混合となり。調査も福島第一と政府調査委が福島第二を調査しだけに終わりました。
一方IAEAの報告の結果は「世界中の原発の安全性向上に繋がる」し日本の今後のエネルギー政策の決定に大きなヒントとなると思います。
私のような現場育ちの設備保全技術・管理者の立場からみると政府、国会の事故調査委の報告の空虚さと的外れなことは前回のIAEAの報告書の設備建設・管理上の問題点を指摘した項目を並べたのを比較しただけでも判ります。
・IAEAの調査報告
(1)地震・津波への対策の強化(2)電源の確保(3)(4)原子炉・格納容器・使用済み核燃料プール冷却機能の確保(5)アクシデントマネジメントの徹底(6)複数炉立地における課題への対応(7)原発施設の配置の基本設計上の考慮(8)重要機器施設の水密性の確保(9)水素爆発防止対策の強化(10)格納容器ベントシステムの強化(14)原子炉及び格納容器などの計装系(測定計器類)の強化、(18)中央と現地の関係機関の役割の明確化 (福島原発事故報告書の教訓を如何に活かすかより、太字は素人が見落としがちな重要なポイント)
IAEAは最後に「原発の設計者とオペレーターはあらゆる自然災害の危険性について適切に評価しそれを防ぐべきだ、そしてそれらの評価と評価方法は定期的に最新のものにすべきだ」と言っています。
詰まり報告書の全文の殆ど総て事故原因の解明とその対策に当てられています。
一方政府・国会の報告書の大半は事故後の現場と東電本店と政府の対応に当てられており、マスコミや原発を持つ地域の首長からは報告書提出後も事故解明もそれに基づく安全基準もないと批判を浴びています。
一方これらの報告、特に国会の事故調査委員長の「今回の事故は日本文化から起こった」と原発は日本人に向いてないと言わんばかりの発言は反原発派を益々勢いづかせています。
本来なら今回の同地域で同じ災害に遭った福島第一、第二、女川の調査結果を原発関係者が周知を集めて、今後どうにかなるかならないか、ならないならその事故の確率とその影響まで考えて今後のエネルギー政策を考えるべきなのに。
政府はその手続きを無視して、いきなりの今後のエネルギー政策の聴取会、パブリックコメント、討論型世論調査を開催。
そしてその結果は原発ゼロが優勢。
そんな時にIAEAの女川の事故軽微の報告も、原発に関心のある私でさえネット上で知ったくらいで、世論に殆ど影響されないでしょう。
それに対して経団連が行った傘下各社への調査では原発ゼロでは雇用減96%、生産減少87%を占めて居るそうです。
原発ゼロ優勢の世論と経団連の反発で政府は衆院選を意識して表向きゼロシナリをえらぶ一方経済界の批判を交わすために原発をなくす期間を30年より遅らせるあいまいな案になる可能性もあると読売が指摘していますが、そんなことをすれば政府の信用がまた落ちるだけですが。
政府関係者は政府主催の会合で反原発の人が動員されたのに違いないから、サイレント・マジョリティーの意見をどうして吸い上げるかと言っていますが、後の祭りです。 (北九州市のがれき処理の説明会に、民主党出身の北橋市長が参加者を地もとの人に絞りこんで余所者の活動家をシャットアウトして成功したのに。)
政府関係者は経団連の指摘の他に原発ゼロ論者の飯田さんが指摘した、合法的に建設・運転してきた原発を政府の政策の都合で廃止するに伴う保障と言う大きな財政問題、石化燃料の高騰による電気料金値上げの企業や家庭の負担増加、石化燃料の争奪や涸渇の問題、そして温暖化ガス対策の問題と大きな問題が抱えています。
民主党政府も今後の政府も名前だけ有名な人の調査やアドバイスばかりに一方的に頼る愚から卒業し、本当に詳しい詳しい関係者の意見も必ず訊くべきだと思うのですが。
まして重要な将来のエネルギー政策決定を、世論に頼ることは絶対にしてはいけないと思います。
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