普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

谷亮子さんと柔道連盟

2008-08-11 06:48:50 | スポーツ

[谷亮子さんの思わぬ敗退]
 オリンピック初日で日本の期待を背負った谷亮子さんさの女子柔道48キロ級は私が4月に書いた全日本柔道選手権を見て
での私の心配が正夢となって銅メタルに終わってしまった。
 しかも準決勝では谷さんの体が一度も床に触れることなしに、女王、谷さんに取っては屈辱的な消極的な対戦に対する「指導」→「効果」と言う後味の悪い負け方だから尚更残念だ。

 私は上記のブログで概略、
 谷さんは決勝で山岸絵美さんと当たった。
 結果は山岸さんのともえ投げで「有効」を取られ、谷さんがかけた大外刈りを返されて再度「有効」を取られ山岸さんに破れた。
 最初の「有効」は「技あり」と取られても可笑しくないほど決まっていたし、二回も「有効」を取られるのは、少なくともその試合の時点での谷さんの力の衰えか、山岸さんの力が上であることを示している。
 然し彼女は今までの成績を評価されて日本代表に選出された。
 私は谷さんの同県人として、彼女がオリンピックで活躍して貰いたい気持ちも大きいし、日の丸を背負っての戦い(その重圧は前回以上だと思う)の結果、万一負けたときのマスコミの柔道連盟の選手選考法への批判で、谷さんが傷ついて貰いたくない気持ちと両方だ。
と書いた。

 しかしこの小ブログでは読んで頂ける方の数も限られているし、まして谷さんの眼に触れることもないと思うので、敢えて柔道連盟の批判を書きたいと思う。

[研究されていた谷さん打倒法]
 私はブログでは書かなかったが、オリンピック前の全国大会では二度も決勝で破れている事実は彼女の力が衰えていないにしても、彼女を如何に破るかを研究してきた同クラスの人達の力の上昇で、彼女の力が相対的に落ちてきたことを示していた。
 まして世界レベルで考えると、彼女を何としても倒して金メタルを狙う人達は、如何にして彼女の技を防ぎ、如何にして彼女に勝るポイントを稼ぐかという戦術を練っていたに違いない。
 彼女の試合を見ていて何時も感じていたのは、執拗と思える程の組み手争いだった。
 阿武(あんの)教子さんの解説を借りれば、組み手争いの中でも技をどんどん出し、審判に攻勢をアピールし、相手方に「指導」を与えさせる作戦が今回は裏目に出てしまったのだ。
 ルーマニアのドゥミトル選手はそのリーチを活かして、谷さんの組み手争いする間に彼女の奥襟をがっちり掴んで谷さんの動きを封じ、それを谷さんが嫌うと言う印象を審判に与えるのに成功した。
 これはどう見ても世界戦では不敗の谷さんの試合ぶりを研究してきた、ルーマニアの作戦勝ちのように見えて仕方がない。
 それはあれだけ谷さんと組み手争いをしたドゥミトル選手が、決勝では相手と普通に組んで、僅か1分20秒で、見事な「一本」勝ちを納めたのを見ても容易に想像できることだ。

[谷さんの心境]
 谷さんは三位決定戦で見事な払い腰で「一本」を取ったが、その後の能面のような顔が印象的だった。
 そして記者会見での健気なコメント。
 準決勝での敗戦から記者会見までの彼女の心中を察すると、胸にこみ上げて来るものを感せずにはおれなかった。
 可哀相な谷さん!!!

 新聞報道によると谷さんは世界選手権代表に選ばれた後、関係者に「ああ終わったなと思ったのに選ばれちゃった。私はいつまでやったらいいんですかね」と洩らしたそうだ。
 谷さんの存在が大きいだけに、国民の期待が大きいだけに、そしてそのライバルたちがあらゆる面から彼女の攻略法を研究しているだけに、本人にかかる負担はどれだけ大きかったかは本人しか判らない。

[女子選手と柔道連盟へ]
 柔道連盟の女子部の責任者は金メタルを取るために、谷さん始め選手たちにこのような大きな負担をかけても良いのだろうか。

・頑張れ女子選手
 彼らは52キロ級の中村美里さんを除いて全て選手権で優勝できなかった人を選んだ。
 私は谷さんの敗戦を見て中村さん以外の代表選手はさらなるプレッシャーを感じながら戦うことになると思うが、それにも負けずに堂々と戦って好成績を得るように頑張って貰うことを祈っている。

・柔道連盟へ
 そして女子部の責任者は今後の代表選考の際は、男子と同じように、マラソンなどその他のスポーツと同じように、代表選考会ならそれらしく一発勝負で選ぶか、総合的なポイント制ならそれを公開にしてそれに準じて選考することを考えるべきだと思う。

 唯でさえオリンピックは選手たちに大きな負担を感じさせるそうだが、選手の選考責任者は、谷さんのよう本人をルール外の総合判断で選んでくれた人達や、本人のため選ばれなかった優勝者への無用な責任も感じずに、試合では全力を上げて戦えるような選考方法を考えて貰いたいものだ。

 昨夜、唯一人選手権で優勝して代表の座を勝ち取った、中村美里さんが銅メタルを取った。
 それでも悔しがる彼女には「優勝できなかったのは、残念だが初出場で銅メタルおめでとう」と皆が声をかけて呉れるだろう。
 然し、同じ銅メタルの谷さんの知人で同じ言葉をかける人は数少ないだろう。
 言えるのは「色々と大変でした、ご苦労さまでした」くらいがせいぜいだろう。

 全国大会で二度も谷さんを破った山岸絵美さんはどう思っているだろう。
 時代も選手の考えも変わったいま、今回のような選考方法はもう止めたらどうだろうか。

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