飛鳥への旅

飛鳥万葉を軸に、
古代から近代へと時空を越えた旅をします。
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万葉アルバム(関東):流山市、諏訪神社(防人の歌/早稲米)

2009年03月25日 | 万葉アルバム(関東)

行(ゆ)こ先に波なとゑらひ後方(しるへ)には
子をと妻をと置きてとも来ぬ
   =巻20-4385 防人の歌=


(防人に)行く先に、波ようねり立つな。後ろには(愛する)妻子を置いてきたのだから。という意味。


鳰鳥(にほどり)の葛飾(かづしか)早稲(わせ)を饗(にへ)すとも
その愛(かな)しきを外(と)に立てめやも
   =巻14-3386 作者未詳=


葛飾でとれる早稲米を神様に供えるおめでたい夜は 身も心も清く保たなければならないのに, 愛しいあの人が来たら外に立たせておくことができましょうか、できやしません。という意味。

防人(さきもり)は、筑紫・壱岐・対馬などの北九州の防衛にあたった兵士たちのことである。
万葉集の中で、防人の歌が最も整理されているのが巻20で、
大伴家持が選んで84首を万葉集に残している。
防人の歌の大半は、家族と離れ離れになる悲しさや、夫が遠くに行ってしまう悲しさ・不安・無事を祈る気持ちを読んだものが多い。

諏訪神社は東武野田線「豊四季駅」下車、徒歩約5分。
地元で「おすわさま」と親しまれている森に覆われた大きな神社である。
森閑とした静かな境内に万葉歌碑が4基ある。この歌碑以外には、
神社周辺が江戸幕府の軍馬牧場の小金牧であった関係から馬にちなんだ柿本人麻呂の長歌ならびに反歌(3314・3317)の歌碑。
神社の子育て信仰に関係する山上憶良の反歌(803)、藤原仲麻呂(4487)の歌碑がある。
ただ、これらの歌はこの土地に直接関わる歌ではないといえる。