明日香川 瀬々の玉藻の うち靡(なび)き
心は妹(いも)に 寄りにけるかも
=巻13-3267 作者未詳=
明日香川の瀬に生えている藻が流れに揺れ動くように、私の心はあなたになびいています。という意味。
瀬は、川の浅いところ(浅瀬)や川の流れが急なところを指す。
飛鳥川は竜門、高取の山塊を源流にし、石舞台の近くで多武峰からきた冬野川と合流、飛鳥の中心部から藤原京を斜めに通って、やがて大和川にそそぎ込む。
古代人にとって飛鳥川は暮らしの動脈であり、心のよりどころとなった母なる川である。
万葉集中、もっとも多く詠まれている川がこの飛鳥川。今は川幅はせまく水量も多くはないが、祝戸(いわいど)から上流は瀬音高く「水脈(みを)早み」の清流になっている。
この万葉歌碑は明日香の橘寺東門東・飛鳥川沿いに建っている。