日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

多過ぎる世襲政治家

2023年09月27日 14時10分58秒 | 日々雑感
 世襲政治家とは、父母、義父母、祖父母のいずれかが国会議員、または三親等内の親族に国会議員がいて同一選挙区から出馬した候補で、親あるいは祖父母など親族が作った(地盤、かばん、看板)と呼ばれる”三ばん”を継承して政治活動を行う政治家のことを一般的に言うようだ。

 2021年衆院選では131人が世襲だそうで、全体に占める世襲候補の割合は、12.5%で、政党別に見ると、自民党が99人、次いで立憲民主党の25人、公明党、日本維新の会、国民民主党の世襲候補はいずれも1人だったそうだ。自民党国会議員のおおむね3割が世襲議員となり、世襲の弊害が出ない方がおかしい。

 世襲議員が一概に悪いとは言えないが、親の七光りで現在の地位にあることを忘れ、軽率な行動や発言をして批判されることが多い。その典型が岸田文雄首相の長男・翔太郎氏である。翔太郎氏は現在議員ではないが、昨年末、親族らを首相公邸に招いて忘年会を開催し、週刊誌で公私混同を指摘された。氏は将来国会議員になる予定で首相の公設秘書を務めていたが、首相自ら首相秘書官に抜擢していたことが公私混同と批判されていた。親の甘やかしが、子供の公私混同の意味さえ分からなくしていたのだろう。先日、岸田首相は内閣を改造し支持率の回復を図ったが効果は見られなかったが、この親子の公私混同も大いに影響しているのだろう。

 さて、内閣の不人気で解散時期の目途は立たず、岸田首相が次回総裁に選ばれたとしても長期政権にはならないだろう。ポスト岸田の次期総裁候補として、いろいろな名前が挙げられている。石破茂、茂木敏充、河野太郎、小泉進次郎、野田聖子、林芳正等であるが、世襲ではないのは茂木氏だけだ。このような状況では世襲政治は当面続く。世の中の状況は激しく変化している。気候変動、脱炭素、生成AI、ジェンダーフリー等枚挙に暇がない。世襲政治家は親等の恩恵を多大に受けているため保守的にならざるを得ないだろう。激しく変化する世の中に対応できるか極めて心配だ。技術立国日本の衰退もこのあたりに原因があるのかも知れない。

 米国議会における世襲議員の比率は約5%にすぎず、ブッシュ家、ケネディ家などは少数派だそうだ。英国では世襲議員はほぼいない。下院議員の約7割が、生まれ故郷でも職場でもない選挙区から立候補する落下傘候補であり、保守党、労働党など各政党では、公募を実施して候補者を決定する実力主義が貫かれている。

 日本ではなぜ世襲政治家が多いか、その一因には自民党の当選回数至上主義があると指摘する識者もいる。これは国会議員の当選回数に応じて、閣僚等の様々なポストを割り振っていく人事システムである。約300人もいる自民党の国会議員の全員が納得できるように党の役職を割り振るため、当選回数という分り易い基準を設けたのだ。国会で活躍するためにはポストが必要だ。当選回数を増やすためには ”三ばん”が必要だ。三ばんを引き継ぐのは世襲政治家だ。
三ばんの弊害をなくすためには、親等と同じ選挙区からの立候補を禁止すべきか、あるいは選挙区の区割りを度々変更することしか頭に思い浮かばない。2023.09.27(犬賀 大好ー949)


日本の労働組合の衰退が止まらない

2023年09月24日 10時12分20秒 | 日々雑感
 今年8月31日、そごう・西武労働組合がストライキを実施した。ストライキと言えば賃上げ要求かと思っていたら、セブン&アイ・ホールディングスによる傘下の百貨店の売却に反対するストライキであった。日本におけるストライキは現在死語になる程、久しく行われていない。かってストライキは春闘につきものの年中行事であり、元々春闘と言う言葉自体が1955年に行われた”春季賃上げ共闘総決起大会”の略称であり、賃上げが主目的だったのだ。

 さて、1989年の頃、12月29日の証券取引所の年内最後の取引日には日経平均が史上最高値を付け、バブル経済の真っただ中であった。”日本を売れば米国が買える”と言われるほどの異常なバブル状態にあり、長く続くことはなく崩壊した。すなわち、1991年から1993年頃にかけ、株価や土地の値段が暴落したのだ。

 1997年には、日本の三大証券の一つである山一証券や北海道拓殖銀行が破綻した。破綻の主原因はバブル崩壊による収入の落ち込みであったと言われている。大企業や都市銀行の破たんは地域経済にも深刻な影響を及ぼしたばかりでなく、経営者やそこで働く労働者に多大な影響を与えた。大企業であっても潰れるとの意識は労働者に広く浸透し、この頃から賃上げのためのストライキは影を潜め、経営者には内部留保の傾向が浸透していったのではないかと推測する。この傾向を更に決定的にしたのは2008年9月のリーマン・ブラザーズ・ホールディングスの経営破綻ではないかと思われる。

 兎も角、これらの事件を契機に労働者の意識の変化もあった。同じ会社で一生過ごす意識が薄くなり、能力重視の風潮が強くなってきたのだ。これと共に一律賃上げを求める春闘は低調になり、労働者の平均賃金は上がらず、逆に政府が産業界に対し賃上げを求める「官製春闘」が2014年の春闘から始まった。労働組合の衰退もこの頃からであろう。

 さて、連合は1989年に結成された加盟組合員が約700万人の日本最大の労働組合の連合体であるが、そこの芳野友子会長は、2023春季生活闘争方針をGDPも賃金も物価も安定的に上昇する経済へとステージを転換することが必要だとした。日銀植田総裁も日頃、物価も賃金も安定的に上がっていくことが重要と語っており、労働組合と政府が同じ方向を向いていることになり、一見好ましい風潮のように見える。

 しかし、経営側の経団連が一体となって自民党を支援するのに対し、連合は立憲民主党系と国民民主党系、または総評系と同盟系と政治的な考えの違いで分断されており、両者が次期衆院選に向けて連携する兆しは見えない。

 労働環境を良くするには、働く人や生活者の立場に立った政治勢力の団結が重要であるとの主張は、誰もが納得できるだろうが、連合は分裂状態なのだ。しかも最近、自公政権に、国民民主党を加える「連立」構想が政界を賑わしているようだ。更に国民民主党の参院議員だった矢田稚子氏の首相補佐官起用の方針が明らかになり、一層真実味を帯びてきた。労働組合の衰退は更に進みそうだ。2023.09.23(犬賀 大好ー948)

岸田首相は統一教会の解散命令を出すであろうが

2023年09月20日 09時35分29秒 | 日々雑感
 文科省は、宗教法人法に基づく世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の調査で、7回にわたる質問権の行使に対して適切な回答をしなかったと、9月中にも行政罰である過料の適用を裁判所に求める予定とのことだ。

 更に、質問権による調査では埒が明かない可能性が大きいため、来月にも裁判所に解散命令を請求する方向で検討に入ったそうだ。霊感商法や高額献金を巡っては、教団側の不法行為を認めた民事判決がこれまでに多数あり、勧誘手法が長期にわたり全国的に拡がっていることなどから教団の組織的な関与が裏付けられたとし、解散請求が妥当と判断した模様だ。

 今月16、17日実施された毎日新聞世論調査で、政府による解散命令の請求に、「賛成」が86%に上り、「反対」は4%、「どちらとも言えない」が10%だったとのことだ。解散命令はこれまでにオウム真理教と明覚寺に出され、法の華三法行にも検討されていたが、命令前に破産宣言されたそうで、今回で解散命令相当は4件目になるだろう。

 さて、先日岸田首相は内閣改造を行い、新たな副大臣と政務官全54人を任命したが、その4割強を旧統一教会との接点を認めた国会議員が計26人含まれていた。13日に任命された新閣僚でも4人が、自民党4役では政調会長に留任した萩生田氏が、それぞれ教団側との接点を認めていた。しかし、どの議員も今では関係を断ち、全く関係ないと釈明しているとのことだ。

 教団との接点とは、選挙に際して信者の盲目的な支援を期待して、会合に出席したり、講演したり、会費や寄付をしたり、することであろうが、根っからの信者でないことを期待したい。しかし本当の信者でないとしても、政治家にこれほど食い込んでいるとは驚きだ。教団側の熱意がそうさせたかも知れないが、議員の想像力の無さに呆れ果てる。

 旧統一教会と自民党の関係が問われるなか、特に関係の深さが指摘されているのが自民党安倍派(清和政策研究会)だ。安倍晋三氏の首相再登板につながる2012年の総裁選を個人的に支援したという関連団体の元最高幹部が、清和研の源流である岸信介氏からつながる歴史が背景にあったと証言したそうだが、この種の話はこれだけではなく色々聞かされる。山上徹也容疑者による安倍氏殺害が無ければ、教団の国会議員への浸透が更に進んでいたことを思うと、空恐ろしくなる。

 文科省は10月中に解散命令を出すと言っており、岸田首相も支持率回復の為にも解散命令に積極的になるべきだ。安倍派分断のために役立つかもしれない。これまで何かしらの接点のあった代議士の反応はどうであろうか。解散命令が妥当と見る国民が大多数であることから敢えて反対はしないだろうが、声高に賛成もせず、だんまりを決め込む者が多いだろう。この変わり身の早さに旧統一教会の韓鶴子総裁も呆れ果てるに違いない。2023.09.20(犬賀 大好ー947)

労働賃金の低さは労働組合がストライキをしないせいか

2023年09月16日 14時01分34秒 | 日々雑感
 現在日本は人手不足と言うのに日本の賃金は世界的に見ても異常な程低いらしい。海外の先進国と比べ、他国の方が引き上げ率が日本より大きいため、日本の最低賃金の低さが際立ってきたのだ。今年の春闘では近年になく高い賃上げがされたとのことであったが、それでも他国に比べ低いのだ。

 今年の春闘について、今年7月労働団体の「連合」が最終的な回答結果をとりまとめたところ、賃上げ率は平均で3.58%と、1994年以来およそ30年ぶりの高い水準となったそうだ。それによると、去年の同じ時期を1.51ポイント上回り、3%を超えるのは1994年以来およそ30年ぶりの高い水準だそうだ。また、パートなど非正規雇用で働く人たちについても、時給の引き上げ額は平均で52.78円と、去年を29.35円上回ったそうだ。

 30年ぶりの高い水準の賃上げで労働者の生活は多少楽になる筈であるが、消費者物価がそれ以上に上がっているため決して楽にはなっていないようだ。総務省統計局による 今年7月の総合物価指数は前年同月比は3.3%の上昇であるので、折角の賃上げも帳消しにされた感である。

 さて、賃上げと言っても、ボーナス的な一時的なものか、定期昇給のような継続的なものかを区別する必要があり、一方消費者物価指数の方も日々の生活に必要な物をどのくらい含むかによって、生活の楽さ加減は異なるだろう。これらを考慮したと思われる実質労働賃金を厚労省が詳しく調べている。厚生労働省が6月に公表した4月の毎月勤労統計によると、実質賃金は前年比3.0%低下となり13カ月連続で減少、マイナス幅も3月の2.3%から拡大したそうだ。実質賃金の低下は消費者物価指数が前年比4.1%上昇し、3月の3.8%からプラス幅が拡大した影響のようだ。

 厚労省の統計でも消費者物価指数が前年比4.1%上昇していると言っているのに、植田日銀総裁は、まだ物価目標の達成が見える段階ではなく、物価と同様に賃金が上昇する状況が実現されなくてはならないとの主旨の発言をしているようであり、日銀の黒田前総裁がこれまで言ってきた物価上昇2%の目標は賃金上昇が伴わなと達成されたことにならないと変わってしまった。賃金上昇は日銀の担務ではないため、利上げ等の金融緩和の変更は日銀の責任では無いと責任逃れを言っているようなものだ。

 米国ではインフレが激しく、全米自動車労働組合(UAW)は、3割以上の賃上げなどの待遇改善を要求したが、妥結できる水準の回答を期日までに得られなかったため、先日一斉に初めてのストを決行したとのことだ。日本におけるストライキは西武百貨店の売却の件で先月31日に行われたが、賃上げに関するストライキは久しく行われていない。

 多くの企業は莫大な内部留保を抱えているが、従業員には充分還元していないのだ。内部留保は企業が不調な時の準備金等の名目であるが、リーマンショック以来、従業員は会社の倒産を恐れてストライキをしていない。日本でも労働者の賃金はストライキによって獲得しなけらばならないのだろうか。2023.09.16(犬賀 大好ー496)

外国人労働者にとって魅力ある職場とは

2023年09月13日 10時05分07秒 | 日々雑感
 今年度の最低時給賃金について、中央最低賃金審議会の小委員会は8月28日、引き上げ額の目安を全国平均で41円と決めた。目安通りに改定されれば最低賃金の全国平均は初めて10000円台に達し、現在の961円から1002円となり、引き上げ額は昨年度の31円を上回り、上昇率(4.3%)とともに過去最高となるのだそうだ。

 日本は資本主義国家であるので賃金は需要と供給のバランスによって自然に決まる筈と思っていたので、お上が決めるとは違和感を感ずる。しかし、パートタイム従業員や中小企業で働く人の中には上の者に逆らえない人もおり、その人たちのための規則かも知れない。特に外国人労働者には重要な問題であろう。

 現在日本は人手不足と言うのに日本の賃金は世界的に見ても異常な程低いらしい。海外の先進国と比べ、他国の方が引き上げ率が日本より大きいため、日本の最低賃金の低さが際立ってきたのだ。円換算で見ると日本の最低賃金は英独仏といった主要先進国だけでなく、豪州と比べるても2分の1以下になり、ついには平均給与でお隣の韓国にも抜かれてしまっているようだ。

 さて、現日本は少子高齢化が進み労働人口の減少が問題になりつつある。これを打破するため、岸田内閣は少子化対策を重視しているが、掛け声ばかりで予算も確保出来ていない状態である。また予算が付いたところで、子育て支援の傾向が強く、若者の結婚離れが進んでいるのに結婚を促す努力も余り見られず、少子化対策は従来のように失敗に終わる気配濃厚だ。

 生産労働力の増加策として外国人労働者の受け入れを促す施策もとられ、技能実習制度の改革も行われている。韓国でも日本と同様に少子高齢化が進み、生産年齢人口の減少に対する対策の一つとして外国人労働者を受け入れようとする動きが広がっており、2021年、就業活動する外国人の数はコロナ禍で減少したとのことだがそれでも37.9万人だそうだ。

 国が決めた雇用許可制は、日本の技能実習制度における技術向上を目指すのではなく、単なる労働者としての受入れであり、韓国人労働者と外国人労働者は均等待遇で、勤務先の移動を認めているのだそうだ。雇用許可制で就労する外国人労働者数は、2020 年末時点で約 23.7 万人おり、外国人労働者の6割以上を占め韓国における主要なグループを形成しているとのことだ。

 日本の技能実習制度の名目と実状との矛盾が指摘され、最近それに対する対策もなされている。最長5年の在留期間も条件に応じて家族同伴で永住の道も開いた等である。今後、日本の生産労働人口の減少に合わせて外国人労働者を増やさざるを得ないであろうが、技能実習生制度の改善のみならず、最低賃金の改善も図らなければ、外国人労働者にとって日本は魅力ある職場とはならないだろう。2023.09.13(犬賀 大好ー946)