日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

大阪のIR事業は大阪万博の二の舞になろう

2023年12月30日 10時51分59秒 | 日々雑感
 政府は今月27日、長崎県が昨年4月に申請したカジノを含む統合型リゾート(IR)の整備計画を認定しない方針を固めた。これにより、日本のIR実現に向けて手続きが進むのは大阪府・市による計画のみとなる。来年の大阪万博の開催で右往左往している関係者を見ると、将来のIRもこのまま順調に進むとは思えない。

 IRが実現に向け第一歩を踏み出したのは2016年のIR推進法の成立からだ。観光振興の起爆剤になると期待されるIRは多くの自治体が関心を示した。当初は東京、大阪、愛知、福岡あるいは千葉、横浜など大都市圏を擁する地域や、北海道、沖縄といった観光に強い地域、さらにはリゾート型IRを志向する和歌山や長崎など数多くの地域が積極姿勢を示した。しかし、IRと称しても実際に儲がでるのはその中に設けられるカジノ位であり、ギャンブルと言った負のイメージが強く、地元住民の反対の声は強かった。

 政府が2021年10月~2022年4月に申請を受け付けたところ、大阪と長崎の2カ所が計画を提出していた。当初参加に意欲を示していた横浜市は、2021年9月に反対派の市長がカジノを含むIRの誘致撤回を宣言した。IRは観光振興の起爆剤と言っても、カジノが無いIRは問題外として、市の事業者公募に応募した2グループの代表社が計画の中止を表明した。一方2023年8月下旬、山下ふ頭の将来的な活用方法を話し合う「山下ふ頭再開発検討委員会」が始まり、ここでカジノの無い観光振興が話し合われるだろう。

 また、国から認定されなかった長崎の計画では、年間約670万人の来訪を想定しており、初期投資額は4383億円を見込み、2027年秋ごろの開業を目指す内容だった。長崎県の計画に関し有識者委員会は、出資予定者の一部が資金提供の確約を示す資料を提出していないことやギャンブル依存症対策より利益が優先される恐れがあることへの懸念も示していた。

 大阪の計画は 世界最高水準の成長型IRの実現を図ることで、成長産業である観光分野の基幹産業化を図るとともに、大阪・関西の持続的な経済成長のエンジンとして、その成長力及び国際競争力を持続的に強化し、府市は増税をすることなく、新たな財源を確保し、観光や地域経済の振興、財政の改善への貢献を持続的に発現すると高らかに歌っている。しかし大阪万博における理念と実体の乖離を見ると、正に絵に描いた中身のない餅でしかない。

 また、2025年大阪万博の会場予定地でもある夢洲はゴミの焼却灰や土砂で造成された埋め立て地で、地盤沈下や液状化の可能性が指摘されている。このため、府・市は液状化対策に約255億円が必要と見込んでおり、この費用は土地を所有する市が全額を負担するとしており、早くも市の増税は避けられない。
吉村大阪知事は今月4日、府庁内で記者団に、IR事業を予定通り進めていきたいと述べたが、まずは大阪万博の円滑な実行であろう。
2023.12.30(犬賀 大好ー972)

ウクライナ紛争の停戦交渉はロシア有利に進むのか

2023年12月27日 09時46分12秒 | 日々雑感
 ロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始して12月24日で1年10か月になる。ウクライナ軍は23日、東部ドネツク州の拠点、アウディーイウカの周辺でロシア軍が30回余り攻撃を繰り返すなど、東部や南部で激しい戦闘が続いていると明らかにした。この攻撃にはロシア大統領選挙でプーチン現大統領が戦争開始を正当化し、戦争有利を誇示するために犠牲を顧みない繰り返し攻撃がなされているとのことだ。

 ロシア大統領選挙は来年2024年3月15日から17日までの3日間投票が行われる。プーチン大統領は与党の代表としてではなく、無所属で立候補する。国民全体の大統領という点を強調するためのようで、投票率70%、得票率80%という極めて高い目標での圧勝を狙っている。そのため、少しでも敵対するような候補者を徹底して排除する方針のようだ。

 ロシアの中央選挙管理委員会は23日、ロシア大統領選への出馬を目指していた無所属の女性候補エカテリーナ・ドゥンツォワ氏の立候補届け出の受理を拒否した。AP通信によると、書類に人名の誤字など約100の不備があったことが理由だという。彼女が、ウクライナ侵略に批判的な動員兵の母親や妻らの間で支持が広がることをプーチン政権が危惧した為と思われる。一見民主主義を装っているが、実体は専制主義であり、ロシア国民も気が付いてはいるが、プーチン無き後の混乱を恐れているため仕方のない選択とのことだ。専制体制の末路に混乱が生ずることはロシア国民は歴史で学んだ筈だったが。

 米紙ニューヨーク・タイムズは23日、ウクライナを侵略するロシアのプーチン大統領が最近、ウクライナ東・南部4州の占領地域を維持した上での「停戦」に関心を持っているようだと報じた。プーチン氏は、・戦況の停滞、・米欧の支援疲れ、等により、停戦の機会が生まれたと考えていると言う。しかし、これは本当に停戦意思がある訳ではなく、支援疲れが生まれつつある西側諸国へのゆさぶりと見る方が適切とのことだ。

 ウクライナ側の支配的な認識では、仮にロシア軍がウクライナ国内に残る状況で停戦交渉を行えば、ロシア軍が態勢を整えて再侵攻を準備する恐れもあり、このため、一人でも多くのロシア兵を国境外まで押し出した状況でなければ、停戦交渉は意味を持たないと言うのが、一般的である。

 一方のロシア側は、ウクライナ東部・南部4州とクリミアがロシアに併合されたことをウクライナが認めることが、大前提であるという立場を崩していない。

 兎も角、現時点で停戦して和平交渉に入る可能性は、ウクライナとロシアの双方に存在していない。しかし、この紛争の行きつく先はどこにあるのだろう。西側諸国の支援疲れから、ロシアに有利な停戦交渉が進むのではないかと勝手に思うが、そこでプーチン大統領が勝ちロシア国民が喜んだとしても、プーチン専制の終焉後に起こるであろうロシア国内の大混乱をロシア国民は予想しているだろうか。
2023.12.27(犬賀 大好ー971)

日銀の植田総裁は高度成長期を夢見ているのか

2023年12月23日 10時33分04秒 | 日々雑感
 日銀は12月19日の金融政策決定会合で、これまでの大規模な金融緩和策を継続することを決めたとのことだ。一方米連邦準備制度理事会(FRB)は今月13日、利上げ路線を事実上打ち切り、来年は利下げに転じる見通しを表明した。FRBが利下げする一方、日銀がマイナス金利を解除すれば、「日米金利差縮小から急激な円高が進行して株安に波及しかねず、日銀の政策修正は難しくなる」との見方が多い。

 それでも日銀は金融緩和策をなぜ続けるのか。日銀が利上げしない、あるいはできない理由は、一般に利上げをすると債券価格は下落することから、国債価格が下落して日銀の債務超過になり、国債暴落やハイパーインフレになる恐れがあるからだと言う話はよく聞く。何しろ日銀は膨大な国債を抱え込んでおり、日銀の破綻は即日本の破綻であり、国民に膨大な不利益をもたらすと考えられるからだ。日本は現在1200兆円を越える借金大国であり、その大半が赤字国債の発行であり、日銀はその半分以上の国債を抱え込んでいるのだ。

 経済素人の筆者も利上げは国債の利払いを増やすことであり日銀の債務超過に繋がるとの理屈を信じていたが、日銀の債務超過は利上げと直接関係ないと主張するエコノミストもいるが、本当にそうであってくれればよいが、単なる気休めの感もする。

 兎に角経済の動向は素人には分かりにくい。日銀は、2016年以来、第1に金融市場調節によって長短金利の操作を行う「イールドカーブ・コントロール」に従い、第2に、消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%の「物価安定の目標」を超えるまで、金融緩和を継続する方針を取っているそうだ。物価上昇率2%の目標は分り易い指標と思っていたが、いつの間にかそこに賃金上昇を伴うとの条件が付け食われていた。

 植田日銀総裁はよくイールドカーブで判断するとの言を用いるが、このカーブは満期までの利回りと満期までの期間の関係を示す折れ線グラフのことだそうだがそう説明されてもよく分からない。学者出身の総裁は理論的に判断しているから問題ないと言いたいようだが、そもそも経済学自体が胡散臭い。経済学でノーベル賞を受賞した者もいるが、ノーベル賞は過去の話の理論づけで受賞しており、将来を的確に予測した功績ではない。理論物理学のように未来を的確に予言できれば、景気の良し悪しはもっと平準化されるに違いない。

 それでは、日銀は金融緩和策に固執するのか。植田総裁は、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現を見通す上で必要なことについて、賃金と物価の好循環が強まっていくか確認することが重要だ、と述べたが、賃金と物価が上がり続けた戦後の高度成長期(1955年~1973年)を夢見ているのであろうか。2023.12.23(犬賀 大好ー970)

オリンピックの行き過ぎた商業主義

2023年12月20日 10時18分12秒 | 日々雑感
 2026年の冬季オリンピックは、イタリアのミラノとコルティナ・ダンペッツォの2都市での共催予定である。また、国際オリンピック委員会(IOC)は、2030年はフランスのアルプス地域に、2034年はアメリカのソルトレークシティーにそれぞれ一本化することを決めており、2038年大会についてもスイスと優先的に話を進めるとしたことから、札幌市が目指してきた大会の招致の芽は当面無くなった。札幌市は当初2034年の開催を目指していたが、2021年夏に行われた東京大会の汚職・談合事件の影響で地元の支持が伸びず、開催経費増大への不安も払拭できず、IOCから見放され蚊帳の外に置かれた。

 2021年の不祥事とは、東京五輪組織委員会の元理事が、大会スポンサー企業から賄賂を受け取ったとして、2022年8月17日に東京地検特捜部に逮捕されたことである。事件は、複数のスポンサー企業や大手広告会社に広がり、テスト大会を巡る談合事件も発覚した。更に五輪に関わる不祥事は1998年の長野冬季五輪でも、IOCの招致段階における不正疑惑や日本側による過剰接待疑惑問題が取り沙汰された。詳細は闇の中に葬られたが国民の間にはオリンピック開催意義に対する疑問が拡がった。

 さて、夏季五輪は東京に引き続き、2024年のパリ、2028年のロスアンジェルス、2032年にはオーストラリアのブリスベンと決まっているが、五輪の魅力の一つに初めて行われる国での開催はその国の特有の文化まで知る所となり魅力的であったが、その魅力は当面失われてしまった。クーベルタン男爵が唱えたオリンピックの開催意義は、その特徴としては、まず「平和の祭典」であることが挙げられる。クーベルタンは「スポーツを通じて平和な世界の実現に寄与する」ことをオリンピックの目的に掲げており、初めての国の開催は人類の多様性を知らしめることにも大いに役立った。2036年の開催地は未定とのことだが、インドネシアの首都ジャカルタやトルコのイスタンブール等が立候補を予定しているようで楽しみだ。

 五輪は近年、アマチュアアスリートの祭典から商業主義容認に変質し、テレビ局や広告代理店、大手スポンサーのカネがモノ言う世界となってしまった。スポーツの世界的な大会はオリンピックに拘わらず、世界選手権やワールドカップと称する大会がどのスポーツでもある。オリンピックは主たる種目が同地域、同時期に開催されることが唯一の特徴であるが、観客の目を引くように華やかさや派手な演出が目を引く。このため開催には金がかかり、また関係者に多大な金が入るため、招致には莫大な金が動くようだ。前述の不祥事も商業主義のなれの果てである。バッハ会長自身もカネまみれのIOCの代表者として「ぼったくり男爵」と揶揄されている。

 現在来年のオリンピック参加候補となることを目的に様々な種目が行われ、選手もオリンピックで世界一になることを目的とする選手がほとんどであるが、これも商業主義の影響であろう。2023.12.20(犬賀 大好ー969)

運転手不足は世の中を変えるだろう

2023年12月17日 10時25分07秒 | 日々雑感
 少子高齢化社会の真っただ中、サービス業界での人手不足は深刻なようだ。現在話題の2024年問題とは、働き方改革関連法によって来年4月1日以降、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることから発生する諸問題だ。一般的に時間外労働は、労働基準法で原則月45時間、年間360時間と規定されているが、物流・運送業界は、事業や業務の特性上別の扱いとなり、ほとんど労働基準法は無視されてきた。

 観光バス、タクシー運転手や物流トラックドライバーは個人で運転することが多く、労働時間を正確に認定することが難しい背景もあり、労働基準法は軽視されてきたが、少子高齢化時代で人材を大切の扱う時代となったのだ。しかし、これまで労働基準法の適用が難しいとされた特殊性をどのように解決するのかまで筆者はよく理解していない。

 兎も角、少子高齢化の時代で労働人口の減少に伴う人材不足で長時間労働が常態化している現状を改善しよう言う訳で結構な話だ。これにより労働環境は改善されるかも知れないが人材不足の対策とはならず、物流コストが大幅に上昇するだけでなく、一部で貨物が運べなくなる事態が発生すると懸念されている。

 ある調査によれば、2040年には1,100万人余りの労働者が不足し、特にドライバーについては労働需要に対する不足率が24.2%に及ぶとの話だ。トラックドライバーの有効求人倍率は、2022年では2倍前後の高い水準で推移しており、求職者よりも求人数が多い状態が続いている。観光バスやタクシー運転手の減少は余りそれらを利用しない者にとって大きな受けないが、路線バスの運転者の減少は、バスの運転間隔の長時間化やバス路線そのものの廃止となり、生活にも支障が生ずる。また最近ネット通販が盛んになって注文すれば翌日配達等、買い物に非常に便利になっており、宅配業者の減少は生活にも大きな影響が出ると思われる。

 人材不足対策として、物流ロボットの活用による仕分け作業等の効率化、採用する人材の対象範囲を拡大して女性や外国人の積極的採用、競合する業者間の共同配送の実施等、物流アウトソーシングの活用等が検討されている。物流アウトソーシングの典型が出前館やウーバーイーツ等であろうが、このような新たな職種は常識に取れわれる高齢者には驚きだ。宅配業務にも物流アウトソーシングの活用が始まるかも知れず、世の中どんどん変化しそうだ。

 また、物流・運送業同様、時間外労働の上限が一般則と異なる業界には建設事業や医師なども挙げられている。大阪万博は建設工事が大幅に遅れ開催に間に合うか騒がれている。これまで24時間突貫工事で間に合わせると言う手法がよく使われてきたが、今回の規制で使えなくなり、建設業界は除外するように政府に働きかけているようだ。しかし、世の流れに逆行する動きに政府は及び腰だし、政府は政治資金規正法の問題でそれどころではないだろう。2023.12.17(犬賀 大好ー969)