日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

新型コロナウイルスの変異種は海外からばかりではない

2020年12月30日 09時03分44秒 | 日々雑感
 英国ジョンソン首相は12月19日、感染力が従来のものより最大で1.7倍強いとみられる変異種の新型コロナウイルスが広がっているとして、首都ロンドン等にロックダウンを再導入することを発表した。しかも、この変異種よりも更に感染力が強い新型コロナウイルスの変異種が新たに見つかったと、英保健相が12月23日に発表した。

 これに先立ち12月8日、英国で製薬企業ファイザー・バイオンテックが開発した新型コロナウイルスに対するワクチンが接種され始めた。臨床試験終了後のワクチンとしての接種は世界で初めてである。英国は既に40万人分のワクチンを手元に用意しており、まずは80歳以上の人々、介護機関従事者、高リスクに晒されている医療機関の従事者から接種をはじめ、今月末までに400万人に接種することを目標にしているようだ。

 ジョンソン首相は12月19日の会見でワクチンが新たな変異種に対して効果が低いことを示唆する証拠はないとの認識を示したが、認識が正しいことを期待する。米国で開発されワクチンを英国ではいち早く承認し、既に何万人の人が接種したようであるが、変異種には効果が無いと分かると大騒動になるであろうから、政治的な配慮が働いていると疑いたくなるが、そうでないことを信じたい。

 世界に先駆けて英国で変異種が見つかるのは、英国がウイルスの遺伝情報の解析を大規模に実施しているからだそうで、変異種の発生は英国のみならず他の国でも同様でないかと思われる。

 新型コロナは当初、中国・武漢市で流行したが、この変異ウイルスが欧州を起点に世界へ拡散したとのことだ。コロナウイルスの変異種に関しては既に東大の児玉名誉教授も、7月16日に、第一波は「武漢型」、第二波は「イタリア型」に続いて、第三波は「東京・埼玉型」になっていると推測すると報告している。「東京・埼玉型」の特性が他に比べてどのようか知らないが、時々刻々と変化しているようだ。

 新型コロナウイルスではこれまでに数千種類の変異種が確認されているらしいが、人間に影響を与えるのはこの中の一部であろう。コロナウイルスの遺伝子はRNA型で、人間の細胞に入り込み増殖するが、その際遺伝子をコピーして増殖するがコピーミスが簡単に起こるのだそうだ。ヒトのRNAは間違ってコピーされた場合は分解される仕組みが備わっているそうだが、コロナウイルスにはその仕組みが無いそうだ。それでコロナウイルスは変異し易く、ころころ変わるのだそうだ。

 さて、日本においても、12月26日:東京都内に住んでいてコロナ感染が明らかになった30代の男性ら2人について、検体を国立感染症研究所で遺伝子解析したところ、イギリスで広がる変異した新型コロナウイルスと判明したということだ。この変異種の感染者が国内で確認されたのは、初めてだそうだが、英国の変異種の形が分かっているため比較的簡単に判明できたのであろう。

 変異した新型コロナウイルスが国内の空港の検疫でも確認され、政府は水際対策をさらに強化するとのことだ。しかし、変異したウイルスは海外から入って来るばかりでなく、「東京・埼玉型」と同様に国内でも既に発生している恐れがある。変異種の中でも人間との相性が良いものが、生き残るのであろうから、日本の最近の大流行は日本型の変異種のせいであるのかも知れない。遺伝子解析は必要であろうが、それより徹底したPCR検査が必要であろう。
2020.12.30(犬賀 大好-665)


コロナウイルス感染拡大防止にはPCR検査の拡大しかない

2020年12月26日 17時12分14秒 | 日々雑感
 日本医師会など医療関係9団体は12月21日、「医療緊急事態」を共同で宣言した。今のまま新型コロナウイルスの感染拡大が続けば、国民が必要な医療を受けられない医療崩壊の恐れがあると、強い危機感を訴え、政府に強い対策を要請した。

 政府は普段から不要不急の外出自粛、営業時間の短縮等を国民に要請しているが、国民に範を垂れるべき首相自ら有名民間人と会食する等、すっかりコロナ慣れしてしまい、今更緊急事態宣言をしたからと言って、今年の春程の効果は無いだろう。

 安倍前総理大臣は今年4月7日に東京等7都府県に緊急事態宣言を行い、同月16日に対象を全国に拡大した。日本は法律上の制限があり、海外のような罰則を伴うロックダウンはできないが、不要不急の外出自粛を要請し、休業要請で厳しい経営状況にある事業者への給付金などで実効性を持たせた。緊急事態宣言は初めてのことであり、それなりの効果が発揮され、第1波は急激に収まった。

 一方、新型コロナウイルスの発祥地とされる武漢ではすっかり元の賑わいを取り戻しているそうだ。どこまで本当かの疑問が残るものの東京程の発生状況では無いだろう。これは強制力のある外出禁止等の他、徹底したPCR検査をした結果であろう。現日本では法的に外出禁止は無理であるが、徹底したPCR検査は可能である。

 武漢市で今年5月始め6人の新規感染が確認されたが、6月1日までに、およそ990万人の市民にウイルス検査を実施し、無症状の感染者が300人いたことを確認したそうだ。中国では感染者の発生にともない、一斉のPCR検査は当然の如く行われているようであり、感染拡大を抑え、経済の回復に繋がっているのだろう。

 これに対し、日本ではPCR検査には消極的である。日本感染症学会、日本環境感染学会からは4月の時点で “ PCR検査の原則適応は、”入院治療の必要な肺炎患者で、ウイルス性肺炎を強く疑う症例”として軽症例には基本的にPCR検査を推奨しない、 と提言した。その理由は、PCR検査の信頼性が低いため、非感染者でも感染者と判断された擬陽性患者でも2週間入院させる無駄があり、強いては重傷者を受け入れられる余地が無くなるとの、重症者の救命を第一にしているとの大義名分があった。

 PCR検査の感度、すなわち感染者を感染者であると診断できる確率は、現状では70%程度と言われている。これは、検体の採取部位・種類、更には、感染あるいは発症からの経過時間によりPCR検査の結果が異なる為のようであるが、その要因が次第に明らかになり、従って感度も高くなっていくだろう。また、陽性と判定されても、症状により自宅療養の手段も確立されてきた。

 最近、保健所を介さなくても、民間の検査センターで、比較的安価で検査できるようになってきた。このような医師による診断を伴わない検査においては、検査結果が陽性となった者は、速やかに従来通りの検査機関で再検査をするように推奨されているとのことだ。

 感染拡大が収まらない現状、個人に自粛要請しても効果は少ない。民間の検査機関を活用する等して、都民全体にPCR検査を実施する位の覚悟が無いと、コロナ騒動は収まらないであろう。2020.12.26(犬賀 大好ー664)

温室効果ガス削減でも原子力発電は勢いを取り戻せない

2020年12月23日 08時55分48秒 | 日々雑感
 菅首相は、2050年までに温暖化ガスを実質ゼロにする目標を宣言した。我が国の経団連も、政府が目指すこの目標に向けて、革新技術の開発・普及に産学官の総力を挙げるべきと指摘しており、全く同感であるが、中身を聞くと首を傾げる面もある。

 すなわち、再生可能エネルギーへの重点支援はもっともであるが、原子力発電に関しては2030年までに新型炉の建設に着手すること等も掲げており、これまでの核燃料サイクルの腐れ縁から抜け出せない状況となっていることを感じさせる。温暖化ガス実質ゼロでも世界の流れは脱原発であるが、日本は核燃料サイクルの破綻に直面して、その後の振舞いに右往左往しているのが現状だ。

 青森県六ケ所村の再処理工場の建設がその最たるものだ。この工場は全国の原発で使い終わった使用済核燃料からプルトニウムとウランを取り出して再利用する為の施設だ。核燃料サイクルの主要な施設として、1993年4月に着工し、1997年の完成予定だったが,トラブルが相次ぎ24回も延期され、未完のまま現在に至っている。

 2006年に試験運転が始まったが配管から高レベル廃液が漏れるなどのトラブルが続き、対応に追われている間に2011年東日本大震災が発生、再処理工場は一度も本格稼働できないまま、安全面を考慮した新基準で再設計を迫られていた。

 ようやく今年7月、原子力規制委員会が新規制基準に適合すると了承したため、同工場を運営する日本原燃は2021年度上期までに完成させ稼働させたい意向だが、例え順調に稼働が出来たとしても核燃料サイクルが破綻した今となっては、取り出したプルトニウムの行き先が無いのだ。そうかと言って、この工場を中止するには余りにもこれまでの投資額が大き過ぎ、後に引けないのだ。行くも地獄、戻るも地獄とはこのことだ。

 一方大手電力会社でつくる電気事業連合会が、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを原発で再利用するプルサーマル発電について、導入目標数を、2030年度までに少なくとも12基へと、従来の目標16~18基を下方修正した新たな計画案をまとめた。これは、電力需要動向等の分析結果からではなく、上述の再処理工場で生産されるプルトニウムを消費するのに必要な原発の数なのだそうだ。泥縄の最たるものであろう。しかも、プルサーマルは現在4基が稼働しているだけで、新たな稼働は地元の反対が強く全く見通せないようだ。

 また、同電気事業連合会は、原発の使用済み核燃料を一時保管する”リサイクル燃料貯蔵”の施設について、原発を有する各社による共同利用を検討し始めたようだ。これは、使用済み核燃料の一時退避場所を電力各社が独自で建設するのが困難であるため共同利用を可能とするものであるが、実現は地元の反対等で簡単ではない。

 そこでは、現時点で最長50年間の一時保管を前提としているが、その後の行き先が無くなれば最終保管場所に転用されることは容易に想像される。この点でも地元むつ市の反対は大きいのであろう。経団連も、原発新型炉の建設を提言する前に破綻した核燃料サイクルの安らかな終息法、あればの話であるが、提言すべきであろう。2020.12.23(犬賀 大好-663)

国債の無制限発行の先にある災いの責任を誰が負う

2020年12月19日 09時24分47秒 | 日々雑感
 政府は今月15日、新型コロナウイルス対策など総額21.8兆円の追加歳出を盛り込んだ今年度第3次補正予算案を閣議決定した。コロナ禍による経済対策の為多額の出費を要し、国の借金にあたる国債を追加で22.4兆円発行して賄うそうだ。これにより、今年度の国債の新規発行額は初めて100兆円を超え、112.6兆円に達することとなった。

 さて、コロナ騒動が始まる前の昨年度、新規国債発行額は32.6兆円であったので、何と3.5倍だ。既に国の借金は昨年の時点で1100兆円を越し、借金大国となっていたが、今更借金が少々増えたところで大勢に影響ないとばかり大判振る舞いだ。

 昨年12月時点で、2020年度予算総額102.7兆円の内、税収による歳入は62%、赤字国債発行による歳入は32%であり、既に国の予算のほぼ1/3を借金に頼る異常状態であった。しかし、今年度の予算総額は175.7兆円となり、コロナ騒動による税収見込みの減収(63.5兆円→55.1兆円)もあり、赤字国債発行による歳入は64%と超異常状態となった。余りに超異常なので昨年度の32%の異常状態も正常の感覚となるほどである。

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中でまとめられた2021年度の与党税制改正大綱では、コロナウイルスによる経済の落ち込みを背景に、家計や企業への支援の減税色が強く、国の財政健全化の目標であるプライマリーバランスはどこかに吹き飛んでしまった。額は少なくても、せめて国会議員の報酬減額等の身を切る姿勢が欲しかったが。

 さて、日本の国家予算において、コロナ騒動が無くても、その歳入の約1/3は赤字国債の発行で賄い、財政健全化は歴代内閣の重要課題であった。前安倍政権も発足当初からプライマリバランスの達成目標を掲げていたが、そこには経済成長率3%を前提とする等と無謀な計画で本気度があると思えず、更に今年の新型コロナウイルス騒動で達成不可能とまで思えるようになった。

 現代貨幣理論(MMT)は、自国の通貨で借金ができる国は、お金を刷りさえすれば、それを借金の返済にあてることができるため、破綻はしないと断言しているが、どう考えても感覚的に納得できない。どうも経済学者の言うことは、将来は現在の延長線上にあるとの考えに立脚しており、現在のコロナウイルス騒動のような異常状態の発生は頭には無かったようだ。現状この理論の破綻は幸いにも生じていないが、何かの切っ掛けでいつ破綻してもおかしくない。

 麻生副総理兼財務大臣は、新型コロナウイルスへの対応で財政状況が悪化していることについて「財政再建と財政支出を伴う経済対策は二律背反しているような話でもある。新型コロナを乗り越えて、次の時代に行くためには、経済再生と財政再建を両立するのは我々の責任だ」と述べ、歳出と歳入の両面から改革に取り組む考えを改めて強調しているが、大判振る舞いばかりが目に付く。

 安倍前首相や麻生副総理は随分前から、子どもたちにつけを残さない財政再建は我々の責任と言っているが、ついに実現不可能と思えるまでになってしまった。挽回不可能と思える借金の責任を一体どうやって取るのだろう。辞任したところで借金は無くならないのだ。2020.12.19(犬賀 大好-662)


日本が誇るハイブリッド自動車もいずれガラパゴス化する恐れがある

2020年12月16日 11時22分42秒 | 日々雑感
 日産が世界初のリチウムイオン電池搭載の電気自動車(EV)の販売を始めたのは、1991年のことでもう20年が経つが、一向にEVの人気が高まらない。EVの代表の”リーフ”の初代が登場した2010年から2019年までに販売された台数は、累計11万8000台に過ぎず、日本のEV市場シェアはいまだに1%以下だそうだ。 

 電気自動車は原理的に蓄電池とモータがあれば走り、ガソリン車のような複雑な内燃機関や変速機構を必要としない為、素人でも製造・販売できる可能性があり、値段は格段に安くできる期待があった。しかし、当初1回の充電で走れる距離は200km程度、しかも充電時間は5時間程度とガソリン車と比べ使用勝手が悪く、更に値段も高い欠点があった。

 原因は、蓄電池の性能が十分でなく、しかも高性能の電池は値段が高く、従って自動車価格も高かくなったのだ。しかし蓄電池は改良と大量生産により時間と共に、性能は上がり価格は下がり、十年も経たないうちにガソリン車と置き換わるものと期待されたが、電池性能の向上の期待は裏切られた。

 トヨタ自動車も当然電気自動車を始めると期待していたが、ハイブリッドカー(HV)の方に本腰を入れた。1997年10月、世界初の量産HVプリウスを発表した。HVはガソリンエンジンと電気モータの両方を有する為、電気自動車へのつなぎの技術でしかないと思われ、他の自動車メーカーは静観していた。究極のエコカーは電気自動車か燃料電池車であり、内燃機関とモーターという2つの動力を持つハイブリッドカーに利点はないというのが一般的な認識だった。価格も当然高かった。

 しかし、電池の性能が予期したほど向上せず、電気自動車は日産のリーフに代表されるように高価格のままであるが、ハイブリッドカーはガソリンエンジンと電気モータの両方の長所を生かし、日本ではいずれの自動車メーカも製造販売せざるを得ないようになり、世界に誇る日本の技術となった。

 菅首相は2050年までに温暖化ガスを実質ゼロにする目標を掲げ、自動車から排出される二酸化炭素(CO2)ゼロ化を目指すとも言明した。国内で出るCO2 の内、乗用車の排ガスなどの運輸部門は約2割も占めるからである。

 そこでガソリン車の新車販売を2030年代半ばに禁止する方向で、EVなどの導入を拡大する制度の最終調整に入ったようだ。自動車メーカーなどとの意見調整でどのような結論になるかはまだ未知数だが、トヨタ自動車の意向次第だろう。化石燃料自動車の販売禁止はすでに世界の大きな流れになっており、前述のHVもCO2を排出するが、日本の産業の屋台骨を支えるトヨタの主力商品であるHVを外すことは出来ないだろう。

 一方英政府は、ガソリン車とディーゼル車の新車販売を2030年までに禁止する方針で、しかもHVの新車販売を2035年に廃止する予定だそうだ。欧米各国も同様な動きになると思うが、HVでは日本に対抗しきれなくなった背景もあるとのことだ。

 中国では50万円以下で購入できるEV車が今年販売を始め、インドではEVの多目的スポーツ車が実質100万円台前半で購入できるそうで、世界はEV化への動きが急である。世界のEV車の開発が盛んになると、携帯電話と同様に、日本が誇るHVもいずれガラパゴス化する恐れがある。
2020.12.16(犬賀 大好-661)