日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

グローバル経済と適者生存の進化論

2020年06月27日 10時30分46秒 | 日々雑感
 世界中に張り巡らせたネットワーク、大量の情報を即座に解析するAI等のソフトウエア、流通を簡単にする電子マネー等は、グローバル経済を助長し留まるところを知らない。世界のグローバル化は様々な恩恵をもたらす一方、欠点もさらけ出した。

 グローバル経済は経済格差ばかりでなく、疫病の拡散を助長するのだ。今回の新型コロナウイルスは、今年始め中国武漢で発生したと思ったら、半年後には世界中に広がった。このウイルスは、感染力が強い特徴があるのかも知れないがグローバル化による人の往来の多さの影響が大きいのではないだろうか。

 グローバル経済では、より多くの利益を求める投資家と、より安く良いものを求める消費者の期待に応えるため、企業は世界中に生産・販売網を展開して、少しでも安い商品を消費者に届けるよう徹底的に効率化を追及する。

 効率化の追求は、生産面では少しでも安価に生産できる地を求めて世界中に生産地を広げる。武漢でコロナウイルスが発症した際も、急遽現地の日本人が帰国することになったが、その数800名を超す人数であった。その内訳は定かでは無いが、現地での生産に関わる関わる管理者・技術者やその家族が多かったのではないだろうか。中国の奥地、武漢にいつの間にかこのように多数の日本人が派遣されていたのには驚いた。

 生産拠点は言うまでもなく、販売拠点にも多くの日本人が派遣されているとだろうが、日本人ばかりでなく、あらゆる国の人、特に中国人が一路一帯の国策にのっとて世界中に広がっていることだろう。

 この現象はコロナウイルスが発生する以前の世界では人の往来が当たり前のように行われ経済は順調に回転していたが、新型コロナウイルスが人から人へと感染すると分かると、各国は人の往来を規制し始めたため、経済は途端に失速した。

 グローバル経済を支える環境が一変したためにそれまでの効率化の手法が一遍に崩れたのだ。効率化とはある環境条件の下での最適化であり、その条件が崩れると途端に機能しなくなる。これはダーウインの適者生存論にも通ずるところがある。すなわち環境に応じて諸物は変化するが、その時の環境に一番適したものが生き残るとの考え方だ。

 先述のグローバル化を助長したネットワーク等とコロナウイルスを拡散させる人の往来は直接的には関係なく、また物流の形は変化しようが無い。しかし、今回のコロナウイルスが沈静化した後のグローバル経済の全体のありかたは環境に応じて変化せざるを得ないだろうが、人の往来を制限した経済はどのような形になるのであろうか。

 さて、自民党広報ツイッターの6月19日の投稿が問題となった。ダーウィンの進化論で、唯一生き残ることが出来るのは変化できる者である、と指摘し、これを踏まえ今憲法改正が必要と主張する内容だ。これでは変化しさえすれば何でも良いとの主張で、環境に適するように変化できるものが生き残ると言う適者生存の考え方とは本質的に異なる。

 投稿への反響について、二階俊博幹事長は、進化論が取り上げられてダーウィンも喜んでいる、とけむに巻いたそうだが、逆に幹事長ですら本質を理解していないとダーウインは嘆いているだろう。2020.06.27(犬賀 大好-612)

発展途上国におけるコロナウイルス騒動は他人事ではない

2020年06月24日 08時51分20秒 | 日々雑感
 来年のオリンピックの開催に関し、それまでに新型コロナウイルスの終焉が危ぶまれる為、東京都やオリンピック組織委員会は完全な形での実施を諦め簡素化を検討し始めている。例えば、開閉会式の出席人数限定、時間短縮や聖火リレーの廃止、競技種目や出場選手の制限等が検討されるのであろうが、少なくとも自国の都合しか考えていない。

 オリンピックは平和の祭典である。世界中から選手や観客が集まり、選手と観客が一体となるお祭りである。簡素化の中には無観客にして競技する手もあるだろうが、これでは選手の為の大会となり平和の祭典の名前が泣く。簡素化により開催費が縮小されても、何百億円~何千兆円の運営費が必要だろう。このような金は発展途上国でのコロナ対策に回した方が、世界の平和に貢献できる。

 いつも世界のどこかで食糧危機や難民問題が発生しているが、一部地域の他人事としてオリンピックは実行されてきた。しかし、今回のコロナウイルス騒動は世界中まんべんなくある。来年の今頃は先進国では騒動も収まり、いつもの社会生活に戻っているかも知れないが、発展途上国でも収束しているとは到底思えない。

 発展途上国では経済システムが脆弱であるため、感染拡大防止の為の社会的な規制が直ちに経済の混迷に直結してしまう。物流の停止に留まらず、失業問題が顕在化し、拡大防止対策どころではなくなる。しかも医療資源が不足していることも重なり感染拡大を爆発させる。

 ブラジルの大統領は経済の失墜を懸念し、感染拡大防止対策をしなかったため累積感染者数は6月20日100万人を越え世界第2位となった。しかも感染はアマゾン熱帯雨林で暮らす先住民族にまで及んでいるそうだ。先住民族は外界との接触が少ないため感染しないと楽観視されていたが、免疫力が弱いため多数の感染死、強いては民族絶滅が懸念されるそうだ。

 インドでも感染拡大に歯止めはかかっておらず、6月18日の累計感染者数38.1万人となった。しかしインド政府は経済の混乱の為封鎖を続けることが難しくなり、新型コロナとうまく共存しながら経済を正常軌道に戻そうと模索しており、長期に及ぶ共存を覚悟しているようだ。

 アフリカ諸国での感染も広がりを見せている。約10億人いるアフリカ大陸にはWHOの施設が28カ所にあるが、このうち新型コロナウィルスの感染を照会できるのは2カ所しかないそうだ。そのため、ほとんどの国では、検査結果の照会は国外にある研究所に頼るため、時間もコストもかかる。更に、医療設備の貧困さは推して知るべしであり、感染爆発が起こりつつある。ワクチンの開発は先進国で急であり、その内完成するかも知れないが、アフリカ大陸に行き渡るためには更に数年先になろう。

 来年予定される東京五輪へのアフリカからの参加予定国は50ヵ国以上ある。東京五輪が開催されてもこれらの国はコロナ騒ぎで選手をオリンピックへ派遣する余裕がないだろう。世界の国々はこの惨状を横目に見ながらお祭り騒ぎが出来る筈が無い。

 東京五輪の中止は莫大な損失を生むだろうが、現時点での中止決定は最小限の損失で押さえられるであろう。2020.06.24(犬賀 大好-611)


コロナウイルスと共存せざるを得ない社会の到来

2020年06月20日 09時06分54秒 | 日々雑感
 新型コロナウイルスの第1波を無事乗り越えたが第2波が今秋以降にも到来するとの専門家の意見である。コロナウイルス用のワクチンは現在実用化されていない。そこで、一度実際に感染し抗体が出来ない限り感染する可能性があるとのことで、未感染の人はそのうち感染する覚悟でいなければならない世の中になった。

 さて、厚生労働省は、今月1日から7日にかけて東京、大阪と宮城の3都府県で、7950人を対象に、新型コロナウイルスの抗体のサンプリング検査を実施し、その結果が先日16日報告された。抗体を保有している人の割合が、東京で0.1%、大阪で0.17%、宮城で0.03%だったそうだ。すなわちこれまでにコロナウイルスに感染した人の割合が分かったのだ。

 一方、累積感染者数が人口に占める割合は、先月末時点で東京で0.038%、大阪で0.02%、宮城で0.004%だったので、東京では3倍、大坂では8倍程度の人が感染したにも拘わらず見逃されていたことになる。このような人は無症状のまま一般市民生活を送り、ある時期隠れ保菌者として感染経路不明者の原因となっていた可能性がある。これらのことが分かっただけでも抗体のサンプリング検査の効果は大きい。

 また、これまでPCR検査を必要とすると思われた人も受けられなかった人がいたとのことであったが、検査と同時にアンケート調査も行われたであろうので、これらの結果と照らし合わせれば、抗体を有する人の内その該当者の割合も分かるであろう。このような検査を全国的な規模に是非拡張して欲しいものだ。

 現在日本のコロナウイルス累積感染者の数は1.8万人程度であり、日本の人口の約0.014%だ。日本人全体のコロナウイルスの過去の感染者の数は、感染者の10倍いたとしても計20万人程度で、日本人口の0.2%程度だと見積もっていたが、先の結果と照らし合わせ当たらずとも遠からずであった。

 一般に6~7割の人々に抗体が出来れば自然に収束するとのことであるが、この数値では当面収束は望めず、コロナウイルスと今後長期間付き合わなくてはならないだろう。

 自粛要請は経済の停滞を招き失業者の増大を招いたため、第2波においてこれまでと同様な自粛要請は困難と思われる。第2波対策では通常に近い経済活動を維持しながら、感染拡大を防止する必要がある。いわばコロナウイルスと共存する生活が必要となる分けだ。

 コロナウイルスの性質も大分分かってきた。その一つ、空気を介する感染以上に接触感染の可能性が大きいようだ。すなわち、感染は人が手で触る手摺り、ドアノブ、つり革等を介するリスクが大きいため、自分の顔であっても手で触らない、手洗いは常に丁寧に行う等が重要のようである。このことを意識するだけでも、普段の生活や商売における注意点が随分変わって来る。

 一方、新型コロナウイルスの抗体が、体内でどれくらいの期間持続するか等、現時点では分かっていないことも多いが、関係者の努力により次第に分かって来るだろう。第2波が今秋やってきても、通常の流行風邪のような生活環境になっていることを期待しよう。2020.06.20(犬賀 大好-610)


コロナウイルス第2波到来の前に全体像の把握を

2020年06月17日 09時20分48秒 | 日々雑感
 5月25日、新型コロナウイルスの緊急事態宣言が全国的に解除されたが、北九州市や東京で再び感染者の数が増加してきた。これを第2波と呼んでいるマスコミも多いが、専門家は単にこれまでの名残、残存であり、この秋にも本格的な第2波がやって来ると警告している。

 北九州市では新たな感染者は4月30日から約1か月間出ていなかったが、突然感染者が判明し、5月末までに97人の患者が確認された。なぜ急に発生するようになったかの原因は不明であるが、北橋市長は5月29日市感染症対策会議で、第2波の真っただ中にいるとの認識を示した。しかし、先の専門家の話から類推すれば、これまで単に感染者に気が付いていなかっただけで、第2波はこれからであろう。

 東京でもしばらく感染者の数が少なく一息ついていたが再び増加傾向となり、6月2日東京都は警戒を呼びかける”東京アラート”を発令した。しかし感染状況が落ち着いてくると、10日後解除すると同時に今のステップ2から居酒屋などの飲食店の営業が翌日の午前0時まで可能になるステップ3に移行すると決定した。これで感染リスクは増加するであろうが、経済の落ち込みリスクを懸念した対策だ。

 日本の新規感染者数のピークは4月中旬に越えたようで、これが第1波と言えよう。しかし3~4月に始まった抗体検査によれば、今だ国民のほとんどが新型コロナの抗体を得られておらず、国民の7~8割が感染して居れば自然に収束する期待があったが、依然として感染リスクが高く、第2波への備えが重要であることが再確認されたようだ。

 これまで学校の休校、事業者には営業自粛、サラリーマンにはテレワーク等が推奨されてきたが、経済の落ち込みが甚だしいため第2波対策では緩めざるを得ないであろう。ある程度の感染者の増大を覚悟した上で、最低限医療崩壊を防止する為に医療体制の立て直し、見直し、特に発熱外来窓口やコロナ患者専用病棟の新設・増設による感染暴走対策が急務であるとの医療関係者の指摘がある。もっともである。

 先日12日、新型コロナウイルス感染拡大を考慮した2020年度第2次補正予算が成立した。一般会計の歳出総額は補正予算として過去最大の32兆円で、感染の第2波をにらみ予備費に10兆円という巨費を計上した。この内医療関係にどの程度配分されるか分からないが、設備の完備には時間がかかる為ある程度の無駄を覚悟に先行投資をする必要がある。

 しかし第1波での一番の反省点は感染状態の全体像の把握欠如である。これまでPCR検査は必要な人にも充分に行なえず、隠れ保菌者がどの位いるか等の全体像の把握が出来なかった。最近ようやくPCR検査に加え抗原検査や抗体検査も行えるようになり、全体像の把握が出来る環境が整った。

 そこで厚生労働省主導のもと、今月始めより3都府県(東京都、大阪府、宮城県)において、性別、年齢を母集団分布と等しくなるよう層別化し、無作為抽出により選ばれた一般住民約1万人を対象とした新型コロナウイルスのサンプリング抗体検査を開始したそうだ。

 抗体検査には信頼性を疑問視する声もあるが、これまでPCR検査が必要と思われても検査を受けられなかった人もおり、このような人が実際感染していたかも含め感染状況の実体が把握出来ると期待される。このようなサンプリング調査が全国的に行われれば、第2波対策として対策重点地域も明確になり、医療資源の配分等でも大いに役立つものと思われる。2020.06.17(犬賀 大好-609)

東京五輪の簡素化検討は中止への地ならしか

2020年06月13日 09時31分58秒 | 日々雑感
 2021年夏に延期された東京オリンピック・パラリンピックについて、6月4日、東京都の小池知事と大会組織委員会の森会長が新型コロナウイルスの感染拡大を受けて会談し、大会の簡素化を検討する方向で一致したことが、関係者への取材でわかったとのことだ。

 安倍首相はこれまで”完全な形”での開催をめざすと宣言していたが、菅官房長官もこの日、アスリートや観客にとって安心、安全の大会にすることも極めて大事だと述べ、完全な形での実施は無理だろうことを認めたようだ。

 安倍首相も完全な形での開催は到底無理だろうと内心思っているだろう。だからと言って、今の時点で即中止を決定するのはよっぽどの決断力と勇気が必要だ。次善の策として開催の余地を残しつつ簡素化の方向を打ち出すのは当然でる。しかし頭の片隅には中止の選択もあるに違いない。

 新型コロナウイルスの収束は、ワクチンの開発や治療薬が開発されない限り期待できない。ワクチンの実用化は早くても今年末だとの報道もあるが、世界中に行き渡るのには更に1年位はかかるであろう。オリンピックは世界平和の祭典だ。例え日本で収束しても世界中からコロナウイルスが撲滅されない限り開催できない。

 さて、5月29日発売の週刊フライデーが来年7月に延期された東京五輪が実はすでに中止とすることで決定済みであるという記事を掲載したとのことだ。米政府との繋がりを有する大手旅行会社のマル秘レポートの中に中止決定という一文が見つかったというのだ。オリンピック開催はIOCが決定権を有し、ここが中止と宣言しない限り正式決定では無いだろうが、オリンピックの開催にはいろいろな利権団体が絡み、様々な意見が出るのは当然であろう。中止の報道も驚くに値しない。

 また、IOCバッハ会長は安倍首相が来年開催予定の東京大会を更に1年延期できないことを明確に示していると語っている。この真意は不明であるが、オリンピック中止となるとその経済損失は莫大になるだろうが、何としてでも1年後に開催して損失を最小限に留める決意の表れでもあろう。

 しかし来年の開催も危ぶまれるが、再来年の開催は例えウイルス騒動が一段落しても他の競技との関係等で無理であろう。2年後の中止となるより、今から中止と決定した方が最小限の損失で済むと思われるが、これまで完全な形で来年実施と言ってきた手前その決断は唐突過ぎる。

 東京都の小池百合子知事は6月4日、報道陣の取材に五輪・パラリンピックの開催には都民、国民の共感、ご理解が必要。そのためにも合理化すべきところ、簡素化すべきところを進めていくと述べたそうだ。

 開閉会式の出席人数限定等や時間短縮や聖火リレーの廃止、競技種目の削減や出場選手の制限等が検討されるのであろうが、一番の難題は観客の扱いである。選手を含む大会関係者へのPCR検査等は人数が限定されるため不可能ではない。しかし、観客は人数が多い。無観客試合にする手もあるが、それでは選手の為の大会となり平和の祭典の名前が泣く。

 そもそも東京に決定する際の最大の弱点は都民の盛り上がりが少なかったことであった。簡素化の検討過程で熱が冷めれば中止の方向に舵を切ることが容易になる。2020.06.13(犬賀 大好-608)