日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

大阪万博に外国人労働者を活用するためには

2024年01月31日 18時35分34秒 | 日々雑感
 大阪府・市と大阪商工会議所など関西経済3団体のトップは2020年1月、大阪市内で意見交換会を開き、そこで、吉村知事は2025年国際博覧会(大阪万博)の準備等で労働力が不足するとして、外国人材受け入れ強化への協力を要請し、大阪産業局を中心に新組織を作る等、環境整備を進めることで一致したとのことだ。 

 ところが、現在直面している大阪万博のパビリオンの建設の遅れの最大の原因は人手不足とのことだ。今から4年前に既に労働力不足を予知し、外国人を受け入れる等の準備を進めるべきとしていたとはその先見性に感心するが、その間何をしていたのであろうか。

 厚労省の昨年8月に公表した一般職業紹介状況(7月分)によると、産業界全体の有効求人倍率は1.29倍であり、その内建設業の有効求人倍率は5.32倍で、更に職種別では、建築・土木・測量技術者が5.48倍、建設躯体工事従事者が9.81倍、その他建設従事者が4.76倍、電気工事従事者が3.21倍、土木作業従事者が6.25倍だったそうだ。現在サービス業等で人手不足がマスコミを賑わしているが、有効求人倍率は接客・給仕3.19倍、介護サービス3.88倍であり、採用難と言われる産業職種よりも建設業は格段に高い数値となっている。

 また、国交省の「最近の建設業を巡る状況について【報告】」(2022年)によれば、2020年における建設業の就業者数は492万人で、ピーク時の1997年の685万人と比べて約28%減少し、今後も、建設業の労働人口は減少すると予想され、2025年には、約90万人不足すると予測している。3K(きつい、汚い、危険)と若者の間で敬遠される建設業種への就労者はどんどん減っているのだ。ロボット等による自動化を推し進めているが人間が直接手を下さなければならない作業は多く、外国人労働者に頼らなければならない状況に追い込まれている。

 これまで日本は、「外国人技能実習制度」という、外国人労働者の受け入れ制度で、足りない労働力を補ってきた。この制度は、日本で得た技術を出身国に持ち帰り、自国の経済発展に役立ててもらうという主旨だった。しかし、実態は、工場、建設現場、農家で働く単純労働者の受け入れだった。この制度により、アジア諸国から多くの出稼ぎ労働者が来日し、日本経済は彼ら抜きでは成り立たなくなってきている。

 しかし、日本経済は異常な円安状態で母国への仕送りも十分できない状態になり、アジアの労働市場における日本の優位性は低下した。今では、逆に日本の若者が外国へ出稼ぎに出る状態だ。

 能登半島大地震の復興と合わせ、大阪万博のパビリオンの建設の遅れと建設労働者不足は一層顕著となった。岸田首相は両者ともに頑張れと檄を飛ばしているが、優先順位をつけるとすれば復興の方が上位だろう。大阪万博のパビリオン建設はそれぞれの国から労働者を連れて来ると言う訳にはいかないだろうか。それも叶わなければ延期、あるいは中止するしかないだろう。
2024.01.31(犬賀 大好ー979)

能登半島大地震でも技能実習生が被災

2024年01月27日 14時35分40秒 | 日々雑感
 今年1日元旦午後4時10分ごろ、石川県能登半島で最大震度7の揺れを観測する地震が起きた。建物の倒壊やそれに伴う火災、津波、山崩れ、地すべり、道路の亀裂、地盤の隆起等、あらゆる被害が確認されている。石川県によると、県内で死亡が確認された人の数は21日午後2時の時点で232人、また、重軽傷者は、県内全体で1170人になるそうだ。この中には恐らく外国人も含まれているだろう。

 高齢化が進む能登半島では、漁業などの担い手として多くの実習生を受け入れている。県によると、県内には技能実習生4139人(2022年末現在)がいて、能登地方の5市7町で、その約3割が働いている。石川県の国際交流課によると、技能実習生は3539人と先の値と異なるが、農業62人、食品製造業589人に従事しているそうだ。また、能登半島は観光地で多くの外国人も訪れていたと思われるが、彼らの被害の状況は不明だ。

 さて、能登半島で働く技能実習生であるが、日本の技術を修得して本国に持ち帰り自国の経済発展に役立てたいとするより、本国の家族の為の出稼ぎであり仕送りしたいとする人がほとんどであろう。能登半島で災害の為に働くことが出来なくなったからと言って、失業手当が出る訳でなく収入は無くなってしまう。能登半島地震により、従来の職場で働くことが難しくなった人について、小泉法相は16日、従来の在留資格で定められた地域や業種以外での労働を認めることを明らかにした。技能実習制度では原則転職を禁止しているからだ。日本の片隅で日頃労働力不足を補う外国人労働者には特に配慮が必要だ。

 ところで、この例外処置とは別に、外国人の技能実習制度の見直しを検討する政府の有識者会議は、昨年11月に「技能実習制度」を廃止し、人材の確保と育成を目的とした新たな「育成就労制度」を創設するとの最終報告書をまとめている。これまで原則認められなかった転職については、1年以上働き、一定の技能や日本語能力があることなどを条件に認めるとしている。日本の人手不足も外国人労働者に頼らざるを得なくなり、これまでの技能実習制度では対処しきれなくなっているのだ。

 来年4月には大阪万博が開幕となるが、能登半島大地震や今年4月から始まる時間外労働禁止の厳格化と重なり、遅れ気味の建設遅れが一層大きくなる見込みだ。岸田首相は能登半島大地震の復興と大阪万博の準備を共に急げと号令をかけているが、優先順位を付ける等、具体的な指示をすればこそ、リーダシップの発揮であるが、共に急げとは情けない。

 26日、通常国会が始まった。異常円安等の経済対策、殺人武器の輸出等の安全保障問題、統一教会問題等、議論すべき問題は山積しているが、自民党派閥の政治資金パーティーの裏金問題で、本質から外れた派閥を解消するしない等で無駄な議論に明け暮れている。情けない。
2024.01.27(犬賀 大好ー979)

能登半島大地震が大阪万博中止を決定づけたか

2024年01月24日 10時32分52秒 | 日々雑感
 来年開催される大阪万博について、林官房長官は記者会見で今回の能登半島地震による延期の可能性を問われたのに対し、予定どおり開催できるよう引き続き準備を進めていく考えを強調した。長官は「万博は世界に向けて日本の魅力を発信する絶好の機会で日本の成長や活性化につなげていく意義があり、この点は変わっていない」とも述べた。

 また日本維新の会などは、復興五輪をうたった東京五輪になぞらえて「復興万博」というイメージを打ち出し始めた。来年の開幕時の4月初旬までに能登の復興が完了しておれば、日本の魅力を世界に誇れるかもしれないが、恐らく復興半ばであろう。兎も角、能登の復興と万博の開催を関連付けて、日本の経済成長を世界に誇るとは、とんでもない話だ。

 そもそも大阪万博の開催理念は、「いのち輝く未来をデザインする」の筈だ。能登の人々の苦しむ姿を横目に、万博のお祭り騒ぎはもっての外だ。更に根本的な問題として、世界にはウクライナやパレスチナ等、苦しむ人々は数知れないが、これらの人々にいのち輝く未来を示すことが、出来るのか。万博の目玉の一つと称する木造の巨大リングは”世界はひとつ”を表すらしいが、自見万博担当相の、日よけの熱中症対策として大きな役割を果たす、と分かり易い説明をした。それにしては随分高価な日傘だが。

 大阪万博を巡っては、予てより資材の高騰や建設業界の人手不足が問題となっており、そこに能登半島大地震が追い打ちをかけた。岸田首相は、能登半島地震からの復旧・復興の際の資材調達などを妨げないよう、需給の把握や正確な情報提供を通じて、計画的に進めるよう、関係閣僚に指示を出したが、どちらを優先すべきかの指示は無く、相変わらず能天気な言い方だ。

 全国から建設業者を動員しても、大阪万博の工事と能登半島の復旧を同時に短時間で可能とすることなど不可能なようで、一旦大阪万博を延期して、そこに必要とされる労働力と予算を日本海側の被災地に集中した方が、「いのち輝く未来をデザインする」の主旨に相応しい。

 能登半島救援のためという大義名分があれば、大阪万博の最大の推進者である日本維新の会も、延期を強くは反対できない筈だ。この強い決断が岸田首相の評価を一変させる行動と思うが、首相自身は相変わらず優柔不断だ。

 ここにきて更に、大阪万博はお笑いタレントの松本人志氏に足を引っ張られた。氏は“大阪・関西万博の顔”として万博の魅力を伝えるアンバサダーの一人であるが、女性への性的行為強要疑惑が週刊誌に報じられた。この噂は予てよりあり、大阪特有の笑って済ませる話ではない。やはり、大阪万博は中止すべきか、最低1年延期すべきであろう。
2024.01.24(犬賀 大好ー978)

政治資金規正法に関わる裏金は派閥と直接関係ない筈だが

2024年01月21日 10時50分13秒 | 日々雑感
 現在、国会では派閥解散問題で大騒ぎである。この問題は派閥が主催する政治資金パーティでの金の流れが不透明で一部裏金として使われていたことが明らかになり、政治資金規正法に違反すると確実化されるからだ。

 政治資金規正法の第1条、目的には、政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、と記されている。政治活動のために金銭の授受が行われることは、誰もが認めるところであり、それが公にされていることが重要であるとしている。

 さて賄賂とは、主権者の代理として公権力を執行する為政者や官吏が権力執行の裁量に特別な便宜を計ってもらうことを期待する他者から受ける不正な財やサービスのこと、と法律的には定義されるが、要は権利を有する者が他者から金銭等を貰って、便宜を計ってやること、あるいはその逆に権利を有する者に便宜を計るように金銭等を払い依頼することであろうが、そこには密かに行われることが特徴だ。

 昨年9月、秋本議員は日本風力開発の塚脇正幸前社長より洋上風力発電所の建設に関し国会質問をするよう依頼を受け、その見返りにあわせて6000万円余りにのぼる資金提供を受けた疑いがあるとして、東京地検特捜部は秋本議員と塚脇前社長を逮捕した。

 国会議員が国民からの依頼を受けて、国会で様々な活動することは当然である。現在日本は金融緩和政策で大量の資金が市中に出回り、株価は連日バブル期以来の高値を更新したと大騒ぎである。この政策は経済界からの要望を受けて景気回復の為に政府が実施している正当な政治活動だ。このような政治活動を行うために莫大な政党助成金が支払われている。それにも拘わらず、各派閥が主催する政治資金パーティには、大企業の資金がパーティ券の購入と言う名目で各派閥に流れているのも、企業にはそれなりの利点があるからだ。

 ところで、先述の秋元議員が逮捕されたのに、政治資金パーティで企業から金を受け取る議員が逮捕されないのか。共に政治活動の一環として動く金であるのに、前者の金は賄賂と称せられるのに、後者は真っ当な金と言われるのか。

 これは政治資金規正法で述べられているように、金の授受が公にされているかが、重要な違いであろう。政治資金パーティでの金の一部が裏金になっていることが確実になり、国会で大騒ぎになっているのだ。裏金とは金の授受を明確にしなくて済む金のことであり、即政治資金規正法の違反となる金だ。

 さて、現在国会で取り上げられている問題は政治資金法違反である筈だが、何故か派閥解散が問題となっている。裏金が派閥の主催する資金パーティから生じているのは事実であろうが、裏金と派閥は直接関係ない。裏金を抜本的に無くすためには、金の授受を明確にするように、例えば1円からデジタル化であろう。政治刷新本部に、デジタル担当大臣である、河野太郎氏が加わらなかったのは何故であろうか。2024.01.21(犬賀 大好ー977)

日本の技術力低下の主原因は文科省が作り出している

2024年01月18日 09時47分07秒 | 日々雑感
 2023年IMF(国際通貨基金)が発表した2022年の世界各国のGDP(国内総生産)は、第1位は米国で、中国、日本、ドイツと続く。GDPの大きさをもって国力と言えるかどうか分からないが、一つの目安であることは間違いないであろう。中国のGDPは日本の4.4倍であるが、一人当たりのGDPとなると中国は人口が日本の約10倍と多いため遥かに低くなるが、人口も潜在力と見れば中国の国力は非常に大きいかも知れない。さて、2023年のGDPは日本がドイツに抜かれて世界第4位になるのは確実とマスコミが大騒ぎしている。

 GDPがドイツに抜かれるとなると、日本の国力がドイツより沈下していると見る人も多いからだ。企業の値段を示す株式時価総額の世界ランキング(2023年3月末)で、上位100位以内に入った日本企業はトヨタ自動車(39位)のみだったことから見ると、確かに日本の技術力は世界的に下がっているようだ。バブル経済の絶頂だった1989年には10位以内だけで日本から7社が占めており、現在”失われた30年”とも表現される日本経済の長期停滞は確かなようだ。

 技術力の低下と言っても、ガソリン燃料自動車等の個別の技術は相変わらず世界1であろうし、ただ技術の変遷に後れを取っているのだ。先のランキングでも、1位のアップル社を筆頭に、マイクロソフト社、アルファベット(旧グーグル社)が上位を占めており、いづれも情報処理の企業だが、日本の企業は現在も尚ハードウエアが中心であり、世界の技術の流れから取り残されてしまったのだ。

 我が国は、例えば、青色発光ダイオードの発明によるLED照明の普及化、iPS細胞の樹立による再生医療の実用化への展開など、科学技術・イノベーションに関わる多くの分野で世界に誇れる数多くの成果を上げているが、ソフトウエアの世界では見るべきものが無い。

 問題は今後の状況だ。今後は現在の研究力に負うところが大きい。文科省が纏めた科学技術指標(2021)によれば、前年から続いて日本の研究開発費、研究者数は主要7か国中第3位、パテントファミリー数では世界第1位だそうだ。只、これらの指標において、ソフト、ハードの分類がなされていないのは残念である。

 また、研究力を測る主要な指標である論文数に関しては、国際的な地位の低下が続いており、文科省も認識しているようだ。国は、2004年大学の活性化を図るために大学の独立法人化を実施した。独立法人化の成果の一つが論文数に表れている筈だが、これに関する限り独立法人化は失敗であったと言える。

 2000年代前半以降の日本の大学の論文数の停滞要因として、教員数の伸び悩み、博士課程在籍者数の停滞、研究費用の停滞、等の要因が挙げられるとのことだ。日本の将来を示唆する論文数に関しては上記の有様であるが、文科省は、これらの要因を充分に分析し改善する意思があるのであろうか。2024.01.18(犬賀 大好ー976)