日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

一般国民にとって株価が高いと何が得か

2022年06月29日 09時24分08秒 | 日々雑感
 2022年5月16日、大手証券会社の幹部が東京地検特捜部に逮捕・起訴された。 特定の10銘柄について不正な株取引を行ったとして相場操縦の罪に問われたのだ。金融商品取引法は、証券市場に参加する投資家の公正な取引を目的に市場の価格を意図的に操作する相場操縦を禁じているが、素人目には公正な取引とは何のことかよく分からない。

 よく聞く言葉にインサイダー取引があるが、こちらの方がまだ分かる。上場会社の関係者等が、その職務や地位により知り得た、投資者の投資判断に重大な影響を与える未公表の会社情報を利用して、株を売買することで自己の利益を図ろうとするものだ。

 株の価格は売り手と買い手のバランスで決まるとの話はよく聞くが、市場の価格を意図的に操作することは証券会社に勤める人間にとってさほど難しい話ではなさそうである。しかし、意図的な操作かどうか、あるいはインサイダー取引における重大な影響等の言葉は非常に曖昧な表現で人によって判断の基準には差が生ずるだろう。逆に上手に利用すれば罪に問われることなく実施できる便利な言葉と思われる。

 コロナ禍で有名となった持続化給付金でも僅かな制度の不備を利用する輩は大勢いる。不正受給の疑いで国税局職員若手が逮捕されたとのニュースがあったが、 詐欺グループには大手証券会社元社員もいたとのことだから、彼らの専門知識を生かせば、法の目をすり抜けるのは容易であろう。

 さて、異次元金融緩和の成果として株高が上げられる。株高は本来、企業の業績が上がった結果としてあるだろうが、金融緩和で市中に溢れたお金が不動産や株に向かっただけとのことだ。

 企業は投資資金が十分あるがどこに投資してよいか分からず、内部留保として抱えているだけなのだろう。こう考えると今の株高を手放しで喜んでよいのか考えてしまう。

 また株高の原因は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)と日本銀行が、東証一部に上場する企業の約半数の980社で、事実上の大株主になっていることにもある。日本の国が大株主であれば、まず潰れることなく投資家は安心して投資できる。GPIFは昨年3月末で約30兆円を運用しているとのことだが、これだけ大きな金を動かすとなると、裏には専門知識を利用して密かに儲けている輩がいるに違いない。

 ウクライナ紛争の影響による資源高騰等で、一時3万円を超えていた日経平均株価は2.7万円前後と下がっているが、今後の予想として2022年12月末時点で株価は3万円台に到達していると予想する人もいるが、2万6000~2万9500円と予想する人もおり、予想はばらばらだ。

 株を保有している人はこれらの予想を聞いて、一喜一憂しているだろうが、株に縁のない国民には直接の関係は無い。増して、景気に関係のない株価の変動は猶更である。新聞を始めとするマスコミは、毎日大きな紙面、時間を割いて株価の変動を報告しているが、もっと国民に直接関係する有意義な使用法はないだろうか。2022.06.29(犬賀 大好ー826)

先進国の出生率の低下は文明発展の証か

2022年06月25日 09時10分35秒 | 日々雑感
 6月4日、厚生労働省は1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は2020年には1.34となり、5年連続の低下となったと発表した。今の日本は、若年層が減る一方、2025年には団塊の世代の約800万人が後期高齢者となり、国民の5人に1人が75歳以上となる超高齢化社会に突入することになる。

 社会保障や経済活動の“担い手”である20~65歳の生産労働人口は減少し続け、30年前は現役世代5人で高齢者1人を支えていたのに、今から3年後の2025年には現役1.8人で高齢者1人を支えなければならなくなる未知の世界が待っている。

 少子化問題は日本だけに限らず、先進国では共通の課題になりつつある一方では、人口爆発の問題がある。現在、世界の人口は78億人を超えるが、このまま増加を続けると2050年には100億人を突破すると予想されている。国連報告書によると、世界人口の増加の過半は、インド、ナイジェリア、パキスタン、等発展途上国で発生すると言われている。

 人口が増加すると資源の消費が増え、さまざまな生産が追いつかなくなる。この結果、食糧や水、資源、住宅、雇用などの不足を引き起こし、貧困や経済格差の拡大がもたらされる。

 先進国の少子化の原因である”未婚化や晩婚化の進展”及び”夫婦の出生力の低下”の背景にあるものとして、教育を受け仕事をする女性が増え、避妊の知識が増えたこと等で、女性が子ども数を制限するようになったとのことだ。

 少子化に悩む国は、仕事と子育てを両立できる環境整備として女性の産休や父親の育休の拡充、無料の保育制度、奨励金、雇用における権利の拡充と言った政策を試みてきたが、捗々しい改善はされていない。

 低開発国で出生率が高く、人口が増え続けるのは、根本に貧困とそれに伴う教育不足があるだろう。労働力の確保のため、また子供の死亡率の高さを考え出来るだけ沢山産む。更に、避妊に関する知識が浸透していない要因も考えられる。その上先進国が途上国の資源や労働力を奪い、貧困をさらに加速させる悪循環も重なる。

 野生動物は生きるための環境が整えばいくらでも増える。人間と野生動物の違いはなんであろう。人間は生きるための環境は当然として、生活を享受する種族だ。子どもを産み、子供を育てるのは人生の喜びであるが、それ以上に享楽を求める。

 暮らしが豊かになるにつれて、多くの人々が教育を受け、公衆衛生も普及してくると社会は必然的に”多産”から ”少産”へと向かう。少子社会は、高齢社会を支える問題があるが、それも時が解決してくれる。少子社会は少子社会なりの生き方があり、これも文明発展の一過程とそれほど嘆くことでは無い。2022.06.25(犬賀 大好ー825)



ゼロ金利政策をいつまでも続ける訳にはいかない

2022年06月21日 09時06分00秒 | 日々雑感
 新型コロナウイルスの影響を受けた経済活動の再開と、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻でエネルギー価格や農産物価格が高騰しているため、世界的にインフレが広がっている。米国では先月5月の消費者物価指数が前の年の同じ月と比べて8.6%の上昇となり、40年半ぶりの記録的な水準となったそうだ。

 日本の場合は5月20日に総務省が公表した4月消費者物価統計によると、生鮮食品を除く消費者物価指数は前年同月比で+2.1%と上昇したそうだ。世界と同じウクライナ紛争の影響の他、円安の影響が大きい所が他国と異にする。

 米欧各国の中央銀行はインフレを抑制するため、6月15日には米連邦準備制度理事会(FRB)が0・75%の大幅利上げを決定し、欧州中央銀行(ECB)も7月に0・25%の利上げに踏み切る方針を表明した。

 一方、日銀は6月17日、金融政策を決める会合を開き、短期金利をマイナスにし、長期金利がゼロ%程度に抑える等、今の大規模な金融緩和策を維持することを賛成多数で決めたとのことだ。

 黒田総裁は今の物価上昇が景気の下押し圧力になっていると指摘した上で ”今金融を引き締めると、さらに景気の下押し圧力になり日本経済がコロナ禍から回復しつつあるのを否定して、経済が更に悪くなってしまう”と緩和策を続行する正当性を主張した。

 日銀の目指した異次元金融緩和は、景気が良くなり⇒企業が儲かり⇒従業員の給与が上昇し⇒購買力が高まって⇒物価が上昇する、とのストーリに従い、物価上昇率2%を目標としていたが、最近の状況を給与の上昇が伴わない悪い物価上昇と従来のストーリーを否定する言い方に変化してきている。

 しかし、ゼロ金利政策をいつまでも続けるわけには行かない。ゼロ金利政策で市中にお金をばらまき投資を促し景気を回復させるはずであったが、景気は回復せず、不動産と株価の高騰があっただけだ。岸田新政権は ”貯蓄から投資”へと成長戦略を重視した新しい資本主義を提唱しているが、投資資金が増えたところで世の中の景気が良くなる訳ではないことは、異次元金融緩和の成り行きが示している。

 日本国債や優良企業が発行する社債は、利回りが適切であれば国民にとって有効な投資先であるはずだが、ゼロ金利政策が投資意欲を阻害する原因にもなっている。

 また、日本の産業界は異次元金融緩和が長期に亘っているためゼロ金利を前提に運営している企業が多いとのことであり、黒田総裁の利上げは経済を悪化させるとの言はその通りらしい。

 西欧諸国の利上げは加熱した経済を冷却させることが目的であるのに対し、日本では今以上に冷却させることが出来ないとのことだろう。しかし、ゼロ金利政策は続ければ続けるほど円安の進行等副作用がどんどん大きくなる。いつかの時点で、この政策を転換させなくてはならないだろうが、景気回復の目途は立っていない。2022.06.22(犬賀 大好ー824)

出生率の向上を図るために早婚の推奨を

2022年06月18日 09時17分52秒 | 日々雑感
 厚生労働省は1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は2020年には1.34となり、5年連続の低下となったと6月4日発表した。

 日本では結婚してから出産する場合が大多数であるため、未婚化が進むと出生率が低下する。未婚化・少子化進行の背景としては、「雇用・経済情勢の悪化」や「進学競争の激化、教育費負担の増加」、「仕事と育児の両立の困難」といった様々原因が考えられている。

 終戦直後すべての日本人は貧乏であったが、一家の子供の数は多かった。しかし、経済的に恵まれている現代において少子化が進むと言うことは経済的な理由のみで子供の数が決まるわけではない。

 日本の現状を所得の高い世帯ほど子沢山率が高く、所得が低い世帯ほど1人しか持つ余力がないと分析している人もいる一方、母親の最終学歴が中卒、高卒、大卒と上がるにつれて、子供の数が少なくなっているとの調査結果もある。両者を信ずると、母親が高学歴になるほど一家の所得が低くなるとのおかしな結論になるが、少子化の原因は一言では片付けられない様々な要因が絡み合っている為であろう。

 昔から”貧乏人の子沢山”の諺がある。この諺の解釈はいろいろなされているが、ダーウィンの”種の保存の法則”に則った解釈が興味深い。すなわち、食生活が豊かになり、生活が安定すると成年男子の精子の数が減少すると言うのだ。逆に生活が苦しく生きていくのがやっとの環境においては精子の数が増えると言うわけだ。

 欧州や北米、オーストラリア、ニュージーランドで精子の数が1973年以来、60%近く急減したとの分析結果があるそうだ。原因は環境ホルモンではないかとの推測があるが、時代とともに生活が豊かになっていると解釈すれば、貧乏人の子沢山も納得できる。

 しかし精子の生殖能力は精液量、精子濃度、総精子数、運動率、直進運動率、総運動精子が関係しているとのことで、最近の精子数の減少があったとしても、少子化の原因になっているとは断定できないとも言われている。

 ただ、おおよそ35歳から精液量と精子運動率は有意に低下すること、女性の妊娠率も35歳を過ぎると急激に低下することは事実としてわかっており、少なくとも晩婚化が少子化の一因になっているのは間違いなさそうである。

 これを踏まえれば、出生率の改善には如何に結婚年齢を下げるかがポイントとなり、これに向けた施策が有効と思われる。出会い・結婚・妊娠・出産の支援、幼児教育の無償化等、社会全体で子どもを支える体制つくりが重要と思われる。

 政府は「子ども家庭庁」を創設し、これまでは厚生労働省や内閣府の子ども部局などを中心に複数の省庁が子どもをめぐる政策を一つの役所にすることで、スムーズに子ども政策を進めようとするのもその一環であろうが、縦割り行政をどこまで打破できるか極めて心配だ。
2022.06.18(犬賀 大好ー823)

日本の労働人口減は外国人労働者で補えるか

2022年06月15日 09時30分15秒 | 日々雑感
 2020年に生まれた子どもの数は過去最少の約84万人で、一方同年の死亡者数は約137万人となり、死亡者数から出生数を引いた自然減は約53万人と過去最大となるそうで、日本の人口減は顕著である。

 戦後、日本の生産年齢人口は増加を続け、1955年頃から1973年頃までの高度経済成長期を経て1995年にピークの8726万人に到達したが、それ以降は減少を続け、2015年には7728万人となり、2065年には4529万人とピーク時のほぼ半数になると予測されるとのことだ。生産年齢人口とは、15歳以上65歳未満の人口で、生産活動の中心にいる年齢層のことであり、現在の出生数の減少は15年後の生産年齢人口の減少に直接結び付く。

 日本の経済発展のためには生産年齢人口を増加する必要があるが、現在の日本は若者の減少、晩婚化や出生率の低下があり、負のスパイラル状態に陥っている。岸田内閣は少子化対策・子ども政策を ”わが国社会の真ん中に据えていく”と位置付け、子ども政策の司令塔となる「こども家庭庁」を来年4月に創設する予定だが、この類の話は前々からあったが一向に改善されていない。こども家庭庁も掛け声倒れになる恐れ十分である。

 さて、生産年齢人口の減少を外国人労働者でカバーしようとする動きもある。2020年末の在留外国人数は約289万人で、その内、外国人労働者数は同時期で172万人と過去最高を更新し約60%の人々が就労していることになる。また、日本の生産年齢人口は2020年約7612万人であるので、生産に従事する者の約2%を外国人労働者が占めていることになる。

 これまで政府は外国人労働者を技能実習制度の下で受け入れてきたが、深刻な労働力不足を打破するため、2019年4月より「特定技能」という在留資格を創設し、単純労働と言われる業種で外国人を積極的に受け入れる方向に舵を切った。政府はずっと単純労働外国人は入れないと主張してきたが、背に腹は代えられない状況になったのだ。

 技能実習生は3年もしくは5年経過後本国へ帰る必要があるが、特定技能1号の滞留期間は1年であるが、6か月又は4か月ごとの更新で通算で上限5年までとなっている。しかし、特定技能1号よりも高い技能をもつ外国人が取得できる就労ビザに特定技能2号があり、在留期間上限なしとのことだ。日本に定住する外国人労働者が増えてくる。

 現在技能実習に基づく入国が手っ取り早い手段ではあるが、その希望者は年々減っているとのことだ。台湾もまた日本と同様に外国人労働者に依存しており、労働環境は日本より良いとのことだ。ベトナムからの技能実習生は真面目で一生懸命働くとの評判であるが、残念ながら日本はベトナム人からも選ばれない国になりつつあるそうだ。技能実習生制度を特定技能制度に変えたところで、早晩、日本離れを起こすのではないかと懸念する。

 外国人労働者は生産面では自動化等により何とか補える可能性もあるが、消費者としての立場もある。本格的な移民政策を導入しないと人口減の進む日本は経済的にじり貧状態に陥るだろう。2022.06.15(犬賀 大好ー822)