日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

おもてなし日本における労働生産性とは

2016年02月06日 09時28分49秒 | 日々雑感
 日本の労働生産性は、2014年には、経済協力開発機構(OECD)加盟34カ国中22位であり、主要7カ国中では最下位であった。この最下位の記録は1994年から連続20年続いているとのことである。

 さて、労働生産性の定義の仕方には色々あるようであるが、国民総生産(GDP)を一労働者の一時間に換算し直した数値が話としては分かり易いし、OECDもそのようにしているようだ。しかし、労働者の定義や労働時間の定義等を考え出すと、この順位には余り意味がないと思えてくるが、一応の目安にはなるだろう。

 GDPは国内で生産された付加価値の合計額と定義されるが、GDP=国内消費額+国内投資額+純輸出(輸出額から輸入額を差し引いたもの)で計算される。つまり、付加価値と言っても、モノを生産している側だけではなく、モノを消費している側も関わり、更に投資額も関わっている。投資額とは、住宅など買ってもすぐには無くならず長年使い続けるものや、企業が工場を建設したり、機械を買ったお金の合計額であるそうだ。純粋にモノを作って付加される価格だけでは無いので、頭が混乱してくる。

 中国はGDPが米国に次ぎ世界第2位になったと大喜びであるが、その約半分は政府が行う国内でのインフラ等への設備投資らしいので、そう威張れた2位ではない。しかも中国は人口が極めて多い。GDPが日本の2倍になっても、人口は10倍であるので、労働生産性はかなり低いことであろう。

 さて、日本のサービス業において労働生産性が特に低いと言われる。特に、飲食業や小売業においてだ。確かに、小規模の経営が多く、効率が悪い面は多々ある。しかし、お客さんにはいつでもどこでも礼儀正しくきっちりと相手をしてくれる。商品とは関係の無い天気の話から政治の話まで付き合い、無駄な時間を費やしてくれる。

 石川県和倉温泉の加賀屋の“おもてなし”はよくテレビにも登場するが、その基本は、“お迎えのときから、お帰りになるその時まで、小さな気配り、心配を重ねる”ことだそうだが、従業員一堂が並んでお客様をお迎えする “おもてなし” は行き過ぎの感である。私であれば、背中がこそばゆくて、裏からこっそり入りたくなる位だ。しかし、加賀屋の“おもてなし”は行き過ぎとしても、少なからずこの傾向は日本の隅々まで生きている。この、“おもてなし”の行為は、宿泊代に多少上乗せされるかも知れないが、十分ではないだろう。米国や英国では、客が居ようが居まいが、時間になれば、店仕舞いを始めるのが普通であり、その方が効率はよいに違いない。しかし、日本では買おうが買わまいが客が居れば長時間付き合ってくれる。労働生産性が低くなるのは当然の帰結である。

 2020年の東京オリンピック・パラリンピック招致では “おもてなし日本 ” をアッピールして、獲得した。サービス業における労働生産性の低さは、おもてなし日本を表す指標として逆に誇るべきかも知れない。
2016-02-05(犬賀 大好-205)