徒然地獄編集日記OVER DRIVE

起こることはすべて起こる。/ただし、かならずしも発生順に起こるとは限らない。(ダグラス・アダムス『ほとんど無害』)

参考資料 キング・クリムゾン事件

2005-02-08 18:20:01 | Works
<「キング・クリムゾン事件」とは、かつてのイギリスの有名なロックグループが、この名を書名に使い、レコードジャケットや写真など約二百枚を「無断掲載」した本について、この発行元のエフエム東京を訴えた事件である。一審(東京地裁)ではキング・クリムゾン側の主張を認め、四十万円の損害賠償と販売差し止めの判決を下し、わが国で初めて出版物に「肖像権」(パブリシティ権)を認容し話題となった。ところが控訴審(東京高裁)では逆転し、一審判決を破棄する判決を下したのである。上告審の最高裁も東京高裁の判決を支持し、芸能人・タレントに「肖像権」(パブリシティ権)は事実上ない、という判例を残したのである。>

<著名人は、自らが大衆の強い関心の対象となる結果として、必然的に、その人格、日常生活、日々の行動等を含めた全人格的事項がマスメディアや大衆等(以下「マスメディア等」という。)による紹介、批判、論評等(以下「紹介等」という。)の対象となることを免れない。また現代社会においては著名人が著名性を獲得するに当たってはマスメディア等による紹介等が大きく与って力となっていることを否定することはできない。そしてマスメディア等による著名人の紹介等は本来言論、出版、報道の自由として保証されるものであり、加えて右のような点を考慮すると、著名人が自己に対するマスメディア等の批判を拒絶したり自らに関する情報を統制することは一定の制約の下にあるというべきであり、パブリシティ権の名の下にこれらを拒絶、統制することが不当なものとして許されない場合があり得る>(キング・クリムゾン事件控訴審判決文)

<また「出版の自由」と「肖像権」(パブリシティ権)関連ではもうひとつ判例がある。サッカーの国際的スター・中田英寿の事を書いた『中田英寿 日本をフランスに導いた男』(ラインブックス刊)に対して、中田側がプライバシー侵害、著作権侵害、そしてパブリシティ権で訴えたものである。中田側は肖像権も含めたパブリシティ権をメインに争いたかったと思われるが、そうはならなかった。一審の東京地裁は、プライバシー・著作権侵害で総額四百万円の賠償を下したが、パブリシティ権では中田側の請求を全部棄却し認めなかった。控訴審も一審判決を支持した。>
鹿砦社
「芸能界は犯罪天国」(鹿砦社)あとがきより

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