言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

中国は「異形の大国」か?

2011-01-06 | 日記
櫻井よしこ 『異形の大国 中国』 ( p.1 )

 2007年11月、ジェイティフーズが中国河北省の「天洋食品」製造の冷凍餃子を輸入。12月28日、千葉市で冷凍餃子を食べた母子が食中毒症状を起こす。08年1月5日、兵庫県高砂市の家族3人が同じく食中毒症状に陥った。1月22日、千葉県市川市の家族5人も食中毒症状。女児は生死の境をさ迷った。29日に、千葉、兵庫両県警が冷凍餃子から殺虫剤のメタミドホスを検出。検出されたメタミドホスは130PPM、餃子1キロに換算すると130ミリグラムという、基準の100~400倍にも達する高濃度だった。残留農薬のレベルとは桁違いであり、食品テロの可能性が強いと推測される。30日、警視庁が事件の捜査開始を発表した。
 その後、中国製冷凍餃子などが原因と疑われる健康被害の訴えが、報告がなかった徳島県を除く全ての都道府県に及んでいることが判明した。
 輸出元の天洋食品は河北省が管理する国有企業で最優秀企業のひとつだ。天洋食品と河北省は事件発覚直後から、中国側での毒物混入はあり得ないとの全面否定を打ち出し、2月15日には合同で会見した。天洋食品の底夢路社長が「自分たちこそ最大の被害者」と涙ながらに訴え、河北省輸出入検査検疫局長らも、中国における製造工程には何ら問題はなかったと強調した。
 監督責任者の河北省と監督される企業が揃って身の潔白を主張し、事実上、毒物は日本で混入されたと日本を非難したのだ。ただこの時点では、中国公安省 (警察庁) は沈黙を守った。
 さて、千葉と兵庫で別々に販売された冷凍餃子の動きである。両製品は天洋食品工場の冷凍庫で4日間、一緒に保管された後、別々の日に出荷され、横浜港と大阪港に入港した。天洋食品の冷凍庫を出た後、二つの商品の接点は全くない。両製品に日本で毒を入れるとすれば、犯人は横浜港と大阪港、もしくは千葉県と兵庫県で別個に作業しなければならない。加えて、警察庁の科学捜査で、餃子のメタミドホスは、その不純物の多さから日本製ではないことが確認された。また、大阪府枚方市では、密封袋の内側から同殺虫剤が検出された。つまり、毒物は冷凍餃子が密封される前、天洋食品の加工プロセスで混入されたとほぼ断定出来る物証が揃ったわけだ。
 それだけに日本側には、まさか中国がシラを切ることはないとの見方があった。独自の調査を展開中の公安省は、河北省政府や企業とは異なる結論を出すだろうと期待された。だが2月28日の中国公安省の記者会見は物の見事に日本側の期待を裏切った。刑事偵査局の余新民副局長は「(メタミドホスが)中国国内で混入された可能性は極めて小さい」と言ってのけたのだ。
 同副局長は日本の警察に現場への立ち入りや証拠物の提供を申し入れたが、同意を得られなかったとして「深い遺憾」さえ表明した。毒物が餃子の袋の外側から内側に浸透することが、独自の実験で確認されたと述べ、枚方市で密封袋の内側から殺虫剤が見つかったとしても、中国国内犯行説の裏づけにはならないとして日本の主張を退けた。
 同会見は国営テレビで生中継され、中国国民の間には、日本人犯行説が沸騰する結果となった。

(中略)

 2002年のSARS(新型肺炎、重症急性呼吸器症候群)発生のとき、中国政府はまず、中国での発生を徹底的に隠蔽し、他国に責任転嫁した。05年春の反日暴動で、日本大使館には石とともに夥しい数のビンやペットボトルが投げられ、日本側は多大な損害を受けた。中国の官憲は日本大使館への攻撃を見守るだけで制止しなかった。国際法違反の暴力・破壊行動について、今日に至るまで中国政府の謝罪はない。どんなに明らかな証拠があっても、彼らは決して認めないし謝らない。事実の歪曲は、中国共産党政権の性格そのもので、中国の歴史を貫く太い柱だ。
 一例は本書でも触れたチベット侵略である。独立国のチベットを中国は軍事侵略で領有し、「平和解放」だと主張して現在に至る。


 中国は決して非を認めないし謝らない。事実を歪曲することは中国共産党政権の性格そのものである。毒餃子事件は一例にすぎず、中国はチベットに対する侵略を「平和解放」だと主張しているのである、と書かれています。



 (決して)非を認めないし謝らない、というのは、中国にかぎった話ではないと思います。



 日本においても、役人は「なかなか」非を認めないと言われています。また、私の知るかぎり、日本の弁護士にも「非を認めないし謝らない」傾向がみられます。

 たとえば私の経験した事例、すなわち、
  1. 弁護士さんから「勝手に」私の銀行口座に入金されたので、
  2. (礼儀に反しないように暗に)「迷惑なのですが…」と私が伝えた際には無視しておいて、
  3. その後「金をやったんだから」と、暗に「あること」を表沙汰にしないよう私に要求し、
  4. 私がそれに同意しなかったところ、
  5. 「なんだ~あ? あれは? 迷惑だと言ってるのと同じじゃないか!! 温情だーーーっ!!」と弁護士さんに怒鳴られた、
という事例を考えてみても、「自分の都合で」入金したにもかかわらず「温情」である、と主張しており、「事実のすり替え」がみられます。

 また、この弁護士さんは、
  1. 「今まで築き上げてきたものを失いたくないんだ!!」と怒鳴ったにもかかわらず、
  2. その後、「何のことでしょうか?」ととぼけており、
「事実のごまかし」もみられます。



 つまり、「事実の歪曲」は、中国政府だけにみられる行為ではありません。



 とすれば、「事実の歪曲」「隠蔽」「シラを切る」「責任転嫁」があるからといって、中国が「異形の大国」であるとはいえないことになります。どの国にも(どの人にも)、程度の差こそあれ、「事実の歪曲」「隠蔽」「シラを切る」「責任転嫁」がみられるのであれば、すべての国・人が「異形」であるということになるでしょう。

 もちろん、中国においては、その「程度がひどい」ということはいえるかもしれません。しかし、中国では「程度がひどい」というにすぎないことを、忘れてはならないと思います。



■関連記事
核兵器や軍事力がなければ対等な交渉ができない
弁護士法 56 条に定める「品位を失うべき非行」の基準
橋下徹弁護士が懲戒処分 (光市母子殺害事件弁護団事件)
弁護士による「詭弁・とぼけ」かもしれない実例

コメントを投稿