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自由貿易の利点と弊害

2011-02-17 | 日記
アーサー・B・ラッファー、ステファン・ムーア、ピーター・タナウス 『増税が国を滅ぼす』 ( p.36 )

 二〇〇七年八月、オバマは自由貿易の存続にかかわる重大な発言を行った。
「安いTシャツを買ったら、誰かが失業する。それがわかっていたら、みなさんは安いTシャツを欲しいとは思わないでしょう。誰かが失業しないようにするためなら、Tシャツにもうすこしお金を出してもいいと考えるのではないでしょうか。アメリカ人ならきっとそう考えるにちがいありません」(*26)
 ほんとうにそうだろうか。もう一歩進めて考えてみよう。アメリカ人労働者の雇用を維持するために、アメリカ人は国産自動車に「もうすこしお金を出してもいい」と考えるとしよう。プラズマテレビについても、家電や衣料品や食品についても、そう考えるとしよう。その行き着く先は何か。答えはもうわかっている。アメリカでは国際競争力のない製品が作り続けられることになるのだ。そうなれば輸出はできない。すると、雇用はどうなるだろうか。
 貿易保護主義は民主党の専売特許ではない。たとえば共和党の大統領候補マイク・ハッカビーは、保護主義を訴えてアイオワ州党員集会で勝利を収めた。
 だが貿易障壁や関税によって誰よりもひどい目に遭うのは、貧しい人々である。そして自由貿易がもたらす物価下落の恩恵を誰よりも多く享受するのも、この人たちだ。二〇〇一~〇六年に食品、衣料品、家電などが軒並み値下がりしたが、これは、グローバルな競争が価格押し下げ圧力として働いたからである。中国からの安価な輸入品のおかげで家計が楽になるのは、ウォルマートで買い物をする庶民なのだ。あらゆる社会保障プログラムをひっくるめた以上に貧困軽減に貢献したのは自由貿易であり、輸入品を扱うウォルマートのような量販店である。大統領も、ナンシー・ペロシ下院議長も、ハッカビーも、労働組合の幹部も、なぜこんな簡単なことがわからないのだろうか。


 保護貿易主義をとれば競争力のない製品が作り続けられることになる。そうなれば、雇用は失われ、価格の高い製品を買わざるを得なくなる。自由貿易こそが、雇用を維持し、物価を下げる。自由貿易でもっとも恩恵を受けるのは、貧しい人々である、と書かれています。



 著者の主張が「正しい」といえるためには、自由貿易の下で、アメリカ人の雇用を生み出す(新しい)仕事が次々に生まれなければなりません。

 しかし、本当に次々に雇用を生みだせるものでしょうか。この部分に、やや疑問があります。



 一般に、先進国では物価も給与も高い傾向にあります。したがって、自由貿易を続ければ「要素価格均等化の定理」によって、

   たしかに物価は下がるが、
   同時に給与も下がる

ことになります。

 それでは、どこまで給与水準が下がるのか。「アジア各国の賃金例」に引用したデータを見てください。衝撃的な数字が並んでいます。現実問題として、

   いかに物価が下がろうとも、こんな給与水準はイヤだ、

という人が多いのではないかと思います。



 もちろん、発展途上国では作れない高度な製品もあり、先進国にも国際競争力のある仕事はあります。国際競争力を失い、いままでの仕事がなくなった人は、べつの新しい仕事、国際競争力のある仕事に就けばよい、とも考えられます。

 しかし、発展途上国といえども、いつまでも現状に安住しているわけではありません。着実に、技術水準を上げて先進国の仲間入りをしようとしています。

 とすれば、先進国にある国際競争力のある仕事は、次第に失われてしまう傾向にある、と考えてよいと思います。



 とはいえ、保護貿易主義をとれば (著者が述べているように) 国全体の競争力が失われてしまうこともあきらかだと思います。難しい問題なので、さらに考えたいと思います。



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