言語空間+備忘録

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雇用問題の根源 ( 転職は可能か )

2009-08-31 | 日記
内橋克人とグループ2001 『規制緩和という悪夢』 ( p.52 )

 平岩研究会のメンバーだった連合顧問の山田精吾はこう考えている。
「私は繊維の組合の出身ですからね。繊維や石炭という産業の労働者が、製造業などの新業種へ構造転換していくのを見てきました。だからそれはできないことではないんです。ただし、その失業の過程の受け皿である社会的政策をきちっとしておかなくてはならない。そのことが重要なんです」
 しかし、ワシントンにある日本経済研究所の所長、アーサー・アレクサンダーはこう指摘する。
「日本が、戦後、繊維やアルミニウムなどの非効率産業の労働者の転換をうまくやっていけたのは、年間の成長率五パーセントという、全体のパイが広がっていったからこそできたことなのです。三菱重工業の資料を私は検討させてもらいましたが、彼らは、実にうまく、系列内で、従業員を非採算部門から採算部門に移していっていた。つまり、日本の会社は同じ系列内、企業内で、非効率部門から効率部門に労働力を移していくことで終身雇用制を維持してきたのです。しかし、それがもう一度できるか? 私は、三菱マテリアルの永野健さんに最近聞いたことがあります。彼はもうそれはできないと言っていた。そうです。なぜなら、日本の成長は七〇年代のアメリカのようにピークをうち、全体のパイはこれ以上広がっていかないからです」


 規制緩和によって、非効率な産業部門の競争が厳しくなり、人員整理がなされたときに、労働者は転職が可能かどうかについて、正反対の見解が紹介されています。



 規制緩和を行えば、競争が厳しくなりますから、当然、効率化のために、人員削減がなされます。終身雇用制が崩壊するのも、ここに原因があります。

 それでは、労働者は転職 ( または業種転換 ) が可能なのか、それを検討しなければならないのですが、上記、ふたつの見解は、正反対の内容になっています。それでは、どちらの意見が適切なのでしょうか。

 両者の結論は、労働者が ( 異なる業種の ) 新たな仕事に移ることは可能である、不可能である、と、正反対ではあります。しかし、仔細に見れば、

   連合の山田さんは、労働者には柔軟性があるから、異なる業種 ( 職種 ) の仕事に移れる、

と言っており、

   三菱マテリアルの永野さんは、新しい仕事がない以上、労働者の転換は不可能である

と言っているのですから、両者の意見は、なんら矛盾していません。



 上記、ふたつの意見を併せ考えれば、「要は、新しい仕事があるのか、ないのか、が重要であり、( たとえ別業種であれ ) 仕事があれば、なんら問題はない」 と考えられます。それでは、新しい仕事はあるのでしょうか。これについて、現状をみると、「規制緩和の第一次的効果」 で述べたように、なかなか 「新産業」 が生まれてこない。ここに、問題の原因があります。

 したがって、雇用対策として、「公的教育訓練・就業支援制度」 も必要ではありますが、それ以上に、新産業を生みだすことが重要だと考えられます。「雇用対策としての道路建設」 は一時的なものにすぎず、新しい産業が生まれてこないかぎり、雇用問題はなくならない。

 新しい産業をいかにして生みだすか。それが鍵になると思います。
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