言語空間+備忘録

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搾取されているのは、じつは、資本家かもしれない

2009-07-09 | 日記
竹森俊平 『資本主義は嫌いですか』 ( p.6 )

 先にも述べた前著、『1997年―世界を変えた金融危機』(朝日新書)では、シカゴ大学で五〇年にもわたり教鞭を執り、一九二一年に古典的名著といわれる『リスク、不確実性および利潤』を出版した経済学者フランク・ナイトの思想に触れた。

(中略)

 発生確率が予想できる危険を「リスク」といい、それが予想できない危険を「不確実性」というというのが、今日の標準的な用語法にもなっている「リスク」と「不確実性」についての彼の考え方である。彼に言わせれば、価格を引き下げてライヴァルから市場を奪おうとして企業が熾烈な競争を展開している「市場」において、企業家は確率予想のできない危険、すなわち「不確実性」の領域に踏み込むことによってのみ「利潤」を得られる。なぜなら、事業にかかわる危険が、確率予想のできる「リスク」だけであるならば、事業についての収入と生産費の期待値が計算できてしまうからだ。そうだとすると、収入の期待値が生産費の期待値を上回り、平均的には「利潤」がその事業に見込まれるという場合には、企業間の熾烈な競争が継続するだろう。その結果、収入の期待値は生産費の期待値にまで下がって、平均的には「利潤」は消滅せざるをえないのである。
 それに対して、危険についての確率予想のできない「不確実性」の領域に踏み込むなら、企業家は、時に「利潤」を得られる。なぜなら、「不確実性」の領域では、「利潤」についての確率予想も成り立たないから、いかに強力な競争の力をもってしても、「利潤」がゼロまで下がるとは断言できないからだ。ある企業家が、他の者から見ればあまりに無謀な事業に乗り出している場合には、他の者はその企業家に「競争」を挑もうとしない。それゆえ、その企業家が運良く「利潤」を、しかも「膨大な利潤」をつかむということもありえる。
 これはもちろん、「不確実性」に挑戦する企業家に、必ず「利潤」が保証されているということではない。計算の立たない危険に身をさらしているのだから、むしろほとんどの企業家は「利潤」を実現できないまま市場から退出する。ナイトはこれについて面白いことを言っている。予想のできない世界のことなので、あくまでも自分の直感にすぎないと断った上で、彼は、「企業家は平均的には利潤を得る代わりに、損失を蒙っている」という推測を述べるのである。彼がそう主張する理由は単純明快だ。「企業家とは、本来、自惚れの強い人間がなる職業だから」と言うのである。


 経済学では、危険を 「リスク」 と 「不確実性」 に分ける。利潤を得られるのは 「不確実性」 である、と書かれています。



 危険とは、もちろん、利潤を得る際に必要な ( 冒さなければならない ) 危険です。したがって、

 経済学では、「利潤を得る ( お金を儲ける ) のは難しい」 と考えていることがわかります。おそらく、世間一般の感覚もおなじだと思います。



 さて、「計算の立たない危険に身をさら」 さなければ利潤は得られない ( =お金を儲けるのは難しい ) 、とするならば、

 資本家が労働者を搾取している、という考えかたは、成り立たないのではないかと思います。労働者は、会社が赤字であろうが黒字であろうが、給与を得られることが保証されているのであり、そこには、「計算の立たない危険」 はありません。それにもかかわらず、法によって手厚く保護されています。資本家からみれば、これほど不合理なことはありません。

 社会通念に反していることを承知のうえで書きますが、

 「実際には、労働者が資本家を搾取している」 と考えられないでしょうか。みずからは、利潤が得られるかどうかわかりもしない 「計算の立たない危険」 に身をさらしているにもかかわらず、給与を支払わなければならない。また、法による制約も課されています。


 搾取されているのは、じつは、資本家かもしれない。そう考える余地もあるのではないか、と思います。
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