言語空間+備忘録

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不正の傍観者

2009-06-28 | 日記
荒井一博 『終身雇用制と日本文化』 ( p.159 )

 特に日本の組織の倫理を問題とするときには、「傍観者」の問題を避けて通ることはできない。日本の組織には、不正が行なわれていることを知りながら傍観している者が多数存在する(他国に存在しないといっているわけではない)。

(中略)

 傍観することはその不正を是認することを意味する。不正に間接的に加担していることになる。一般的な「常識」は、雇われている者であるから傍観するのも仕方がない(前章で触れた不正を行なった者も雇われていた者である)、あるいは昇進を考えたら傍観せざるをえないという考え方であろう。しかしながら、このように考えているかぎり、組織はよくならないし、そもそも組織の改革などを口にすることができない。このような考えを抱かせない文化が、質の高い文化と呼べるものであろう。組織忠誠心を持つがゆえに多数に反対する、ということはいくらでもありうる。前章の不祥事は傍観者によっても促進された。
 傍観者が存在する理由は二つある。一つは個人的な損得である。他者の非倫理的行動が自己の利益と直接的に関係しないときは、それを指摘しても個人的には何の得にもならない。かえって嫌がらせを受けるかもしれない。したがって黙っていることになる。これが「貸し」になることもある。傍観は個人的には合理的であるが、そこには陰湿性が潜在する。もう一つは、組織を改善する上でもっと重要な理由で次の議論とも関連するが、組織が倫理を明確にしていないことである。倫理が曖昧であれば、非倫理的と考えられる行動をみても論理的に指摘しにくい。倫理が明確であれば、自信を持ってそれを指摘することができよう。部下が上司の不正を指摘することもできる。組織の倫理が明確であれば、非倫理的な行動自体も少なくなるであろう。


 不正を是正しようとせず、傍観する者がいる。傍観者が存在するのは、
  (1) (倫理よりも) 個人的な損得を優先するから、
  (2) 倫理が明確でないから、
である、と書かれています。


 その通りだと思います。

 傍観者にみられるのも、「自分さえよければよい」 といった考えかたではないかと思います。「自分さえよければよい」 から、( 倫理よりも ) 個人的な損得を優先する、と考えられるからです。

 ここで思い出されるのは、「「あいまいさ」 に潜む意図」 などに述べた、「具体的な行為をあいまいにしながら」「絶対、絶対、絶対、絶対、絶対に許されない」 などと非難したり、「一方的にカネを振り込む」 行為など ( これらは非倫理的行為だといえます ) を、一部始終とはいわないまでも、かなりの程度、知っていながら、「傍観し、ときには積極的に加担していた」 楓真紀子弁護士です。楓弁護士は 「みんな、自分がいちばんかわいいんじゃない!」 と、なかば叫ぶように、強く言っていたからです。

 念のために書きますが、「みんな、自分がいちばんかわいいんじゃない!」 というのは、言葉が発せられた状況、および、言葉の言いかたからみて、「みんな自分がいちばんかわいいのでは 『ない』 」 ( 否定 ) ではなく、「みんな自分がいちばんかわいいに 『決まっている』 」 ( 断定・強調 ) です ( 楓弁護士において、反論があればコメントいただければ対応します ) 。


 ( 社会正義を追求すべき ) 弁護士ですら、倫理よりも、個人的な損得を優先しているくらいですから、他の職業の人であれば、なおさら、損得を優先している、と考えられます。

 近年、賞味期限偽装など、さまざまな不祥事が発覚しましたが、そこには、「不正を知りながら、いままで黙っていた」 社員や、「不正を知りながら、加担していた」 社員が多数、存在しているはずです。彼らの行動は、まさに上記のとおり、個人的な損得を優先するから、と考えられます。


 したがって、「不祥事とインフォーマル・グループ」 で述べたように、人間が変わらないかぎり、状況は変わらない、と考えられるのですが、上記 (2) に応じ、倫理を明確化する作業は、「小さな、しかし大きな」 一歩になるのではないかと思います。その際、「倫理性の判断規準」 が参考になると思います。
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