三橋貴明 『高校生でもわかる日本経済のすごさ!』 ( p.96 )
日本は輸出大国だと思われているが、実際には、日本のGDPは99%以上が「内需」で構成されている、と書かれています。
この事実は重要だと思います。
というのは、日本のGDPの99%以上が「内需」で構成されているとすれば、「ノーベル平和賞と、中国の立場」で引用した見解、すなわち
中国は日本がいなくても経済的に問題はないが、
日本は中国がいなければ経済的にやっていけない
といった見解は、事実に反していると言えるからです。
「資本財中心の輸出と、日本の技術力」で引用・考察した内容をも考えれば、事実は逆であり、
日本は中国がいなくても経済的に問題はないが、
中国は日本がいなければ経済的にやっていけない
というべきである、と考えられます。
このことからわかるのは、日本にとって、対中政策の自由度は高い、という事実です。経済的に、日本は中国なしでやっていける以上、対中政策にはかなりの自由度が認められます。逆に中国にとっては、対日政策の自由度はさほどないことになります (「中国は見かけほど強くないかもしれない」参照 ) 。
したがって、日本は中国に遠慮しすぎる必要はなく、中国に対して毅然とした態度をとってよいし、また、とるべきである、と考えます。
■追記 ( 2011-11-22 )
「日本のGDPは99%以上が『内需』で構成されている」と著者(三橋貴明)は書いていますが、これは「2008年」については、という話です。毎年そうだというわけではありません。しかし、2008年以外の年においても、日中の輸出依存度を比べれば、日本の輸出依存度のほうが「かなり低い」ことには変わりなく、「中国は日本がいなくても経済的に問題はないが、日本は中国がいなければ経済的にやっていけない」という主張が成り立たない以上、「日本は中国に遠慮しすぎる必要はなく、中国に対して毅然とした態度をとってよいし、また、とるべきである」という私の主張(結論)には問題がないと考えます。
図2-6は日本の名目GDP (支出面) について、高度成長期からバブル崩壊までの百分比の推移をグラフ化したものです。日本の高度成長が「個人消費」「政府最終消費支出」そして「公共投資」の三大支出項目が増大し、膨らむ国内需要に対応するために「民間企業設備投資」が拡大した結果、達成されたことが分かります。
GDP上の外需、すなわち純輸出 (※輸出-輸入) は、平均1%未満という極めて小さいシェアでしか推移していません。ちなみに、日本の純輸出がGDPに占める割合が絶頂に達したのは、1986年の4・0%でした。輸出大国 と思われがちな日本ではありますが、意外にもGDP上の外需 (純輸出) が5%に届いたことは、戦後はただの一度もないのです。
二十世紀のみならず、直近の数値を見ても、日本の純輸出は極めて小さい値で推移しています。例えば日本の輸出対GDP比率が過去最高を更新した2007年でさえも、日本の純輸出はGDPの1・7%を占めるに過ぎません。同年の主要国の純輸出対GDP比率を見ると、中国が9・4%、ドイツが7・1%、ロシアが8・7%、シンガポールが28・9%となっており、一体全体日本のどこが外需依存なのか、筆者はますます理解ができなくなってしまいます。
翌年の2008年に至っては、日本の純輸出対GDP比率は0・14%と、ほとんど誤差レベルにまで縮小してしまいました。同年の純輸出が占める割合が1%未満ということは、日本のGDPは99%以上が「内需」で構成されているという、衝撃の事実を意味しているのです。
日本は輸出大国だと思われているが、実際には、日本のGDPは99%以上が「内需」で構成されている、と書かれています。
この事実は重要だと思います。
というのは、日本のGDPの99%以上が「内需」で構成されているとすれば、「ノーベル平和賞と、中国の立場」で引用した見解、すなわち
中国は日本がいなくても経済的に問題はないが、
日本は中国がいなければ経済的にやっていけない
といった見解は、事実に反していると言えるからです。
「資本財中心の輸出と、日本の技術力」で引用・考察した内容をも考えれば、事実は逆であり、
日本は中国がいなくても経済的に問題はないが、
中国は日本がいなければ経済的にやっていけない
というべきである、と考えられます。
このことからわかるのは、日本にとって、対中政策の自由度は高い、という事実です。経済的に、日本は中国なしでやっていける以上、対中政策にはかなりの自由度が認められます。逆に中国にとっては、対日政策の自由度はさほどないことになります (「中国は見かけほど強くないかもしれない」参照 ) 。
したがって、日本は中国に遠慮しすぎる必要はなく、中国に対して毅然とした態度をとってよいし、また、とるべきである、と考えます。
■追記 ( 2011-11-22 )
「日本のGDPは99%以上が『内需』で構成されている」と著者(三橋貴明)は書いていますが、これは「2008年」については、という話です。毎年そうだというわけではありません。しかし、2008年以外の年においても、日中の輸出依存度を比べれば、日本の輸出依存度のほうが「かなり低い」ことには変わりなく、「中国は日本がいなくても経済的に問題はないが、日本は中国がいなければ経済的にやっていけない」という主張が成り立たない以上、「日本は中国に遠慮しすぎる必要はなく、中国に対して毅然とした態度をとってよいし、また、とるべきである」という私の主張(結論)には問題がないと考えます。
2010年2月のデータで日本の輸出依存度は17.4%、つまり、内需は82.6%だ。
「平均1%未満」は推移、(対前年比)だ。
これは三橋氏本人もそう述べてるぞ。
http://www.gci-klug.jp/mitsuhashi/2010/04/20/009180.php
「日本のGDPの 99 %は『内需』である」とかいい加減な極論だすな。
そういうのが要らん誤解を生む。
三橋さんは「推移(対前年比)」だとは言っていません。私が引用している部分を読んでください。三橋さんが「2008年に至っては、日本の純輸出対GDP比率は0・14%と、ほとんど誤差レベルにまで縮小してしまいました。同年の純輸出が占める割合が1%未満ということは、日本のGDPは99%以上が「内需」で構成されているという、衝撃の事実を意味しているのです」と書いているので、私は、そのように書いたのです。
「私の結論」(?)に問題があったとすれば、「2008年に至っては」の部分を省略し、あたかも「毎年」日本の純輸出対GDP比率が1パーセント程度であるかのように書いたことでしょう。
たしかに、その部分については私に非があります。御指摘、ありがとうございます。
ところで、
> 「日本のGDPの 99 %は『内需』である」とかいい加減な極論だすな。
> そういうのが要らん誤解を生む。
「だすな」というのは「禁止命令」ですが、どうして私があなたに「命令」されなければいけないのですか? 「そういうのが要らん誤解を生む」とも書かれていますが、あなたは日本が中国に毅然とした態度をとったら都合が悪いのでしょうか? つまり、中国ビジネスで儲けたいのに日本が中国に毅然とした態度をとったら困る! 日本が中国に媚びてくれないと困るんだよ! ということですか?
もしそうなら、そのように「はっきり」述べてください。もしそうではないなら、
あなたの文章には、常識面というか、言葉遣いの面に問題があるのではないかと思います。あなたのそういう文章(態度)も要らん誤解を生むかもしれませんよ。
文章の書き方がわるいよ。
抜けてる部分を指摘されたからと言って
違う論点から反論するのもどうかと思うけど。
誤解を持つ人がいるのは事実なんだから
そこを認めて訂正するとかした方が建設的だと思う。
しかし今日、訂正を「追記」の形で加えておきました。ご意見ありがとうございます。
日本は輸出立国ではないという話は本当ですが、
そこから結論を導くには短絡的です。
(思考停止になります)もっと思考しましょう。
ジョーンズ「マクロ経済学」をおすすめします。
いつも簡潔かつ重要なコメントをくださり、ありがとうございます。経済学の先生がコメントしてくださると、とても勉強になります。
ご紹介いただいた本は、あとで書店に予約を入れておきます。
ここ数か月、このブログは政治・国際関係の話になっていますが、来月には経済の話に移行します。為替の基本的な内容を解説している本を引用しつつ、経済について考えたいと思っています。その際にもぜひ、ご教示ください。よろしくお願いたします。
タイトルからして判断できるのでレスをば。
内需にカウントされる設備投資
これは輸出が伸びることで伸びます
逆に輸出が減れば設備投資は減ります
つまり、GDPの内訳にある設備投資は
実は輸出にも依存してるんですね。
あとですね、消費、これなんですが
例えば輸出産業は電気ガス水道を使いますよね
これらの消費支出もGDPにカウントされてるんですが、輸出が減れば生産が落ちますんで、こうしたエネルギーの消費も落ちますわね。
ということは、実は輸出が減るとエネルギー面での消費も減るってことでしてね
さらに、輸出が減れば財の搬送も減りますわね
すると、海運業も含めた運送会社の仕事も減って経営が悪化=従業員の首切りや賃金カットという流れにつながり、それが個人消費をも落ち込ませる。
つまり、この面からも微々たるものだとはいえ、内需とやらに影響を及ぼしているわけです。
いやはや、現実の世界は実に複雑怪奇でして、
三橋クンみたいに単純にGDPに占める輸出の割合が~、で論じられる話ではないのですがね。
なんか、簡単すぎやしません?彼の主張って。
簡単というか、浅いというかw
しかし、あなたがおっしゃられたとおり、「微々たるものだとはいえ、内需とやらに影響を及ぼしている」といえる程度なのではないかと思います。全体的にみれば、(三橋さんの)主張の方向性は間違っていないのではないでしょうか?
日本は外需より内需が圧倒的に大きいのは確かです。
そして、外需と内需には相互関係があるのも確かです。
ならば、デフレ対策をし内需を拡大しながら、マイルドなインフレに持っていき、円安誘導をすれば、外需にも大きな好影響がでます。
1ドル=70円台から120円台に持っていけば、それだけで外需が拡大するでしょう。
それで良いのでは?