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参入規制の緩和と独占禁止法

2009-09-01 | 日記
内橋克人とグループ2001 『規制緩和という悪夢』 ( p.81 )

 ところで、もともと独占禁止法は、市場の自由放任に委ねていると、規模の大きいものが、競争相手を駆逐し、市場が寡占化し、最終的には独占状態にいたるという「市場の失敗」を防ぐために作られた極めて資本主義的な法律である。
 これは、産業が規制下におかれている場合の寡占状態と、産業が自由化されている場合の寡占状態とでは意味がまったく違うことからきている。
 中谷氏らは、「規制下では、安易に運賃が上げられていた」と書いているが、これはまったく逆で、規制下にあっては運賃の値上げについては文字通り、航空委員会(CAB)の厳しい規制があり、航空会社は勝手に運賃を上げることはできなかった。が、航空自由法は、この運賃の規制を撤廃したのである。こうした自由市場で寡占、あるいは独占となれば、利益を極大化する企業のレーゾン・デートルからいって、当然のことながら運賃を上げる。いくら上げようと勝手である。
 前回、規制緩和前の十年の運賃の下がり方と、規制緩和後十年の運賃の下がり方を比較したが、規制緩和後二年で二六パーセントも運賃が下がったにもかかわらず、十年の平均をとると、規制緩和前の運賃の下がり方の方が大きかったのは、一九八〇年代半ば以降、寡占化の進行にともなって、運賃の低下にブレーキがかかったからだ。


 規制緩和は、独占禁止法の精神に反している、と示唆したうえで、安易な値上げがなされるのは、規制緩和前ではなく、緩和後である、と書かれています。



 これを読むと、説得力を感じます。しかし、私たちに身近な、日本のタクシー運賃を考えれば、規制緩和前の値上げが 「安易ではない」 とまで言い切ってよいものか、やや躊躇します。実際には、タクシー業界内部では値上げ回避の努力がなされており、「安易な値上げ」 ではないのかもしれませんが、利用者には 「安易な値上げ」 と受け取られていたかもしれません。

 規制緩和後、航空運賃の低下にブレーキがかかったのは、寡占の弊害が現れたからであり、規制緩和直後は運賃が大幅に下がっている。とすれば、規制緩和によって運賃は下がるけれども、その後、寡占が進行すると、弊害が現れる、というにすぎないのですから、「コンテスタブル・マーケットの論理」 に書いたように、

   参入規制は緩和し、寡占の弊害が現れたなら、そのときに、価格の上限を規制すればよい、

と考えるのが、もっとも適切なのではないかと思います。



 そもそも、

   「参入」 規制の緩和が 「独占」 禁止法の精神に反するはずはない

のであり、問題になりうるとすれば、新たな事業者の参入ではなく、大型商業施設によって地域の商店街が壊滅状態になる場合など、他地域で同業を営む既存の大企業が、小さな市場に乗り込んでくる場合ではないかと思います。これについては、別途、考察します。
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