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インド北東部 インフラ整備の狙い

2015-03-09 07:30:00 | 報道/ニュース

2月24日 キャッチ!


インドの北東部とは首都ニューデリーから約1500キロ離れた8つの州からなり人口約4,500万。
周りを中国、ミャンマー、ブータン、バングラデシュに囲まれている。
この地域はモンゴル系の住民が多いのが特徴で
チベットやミャンマーの言語に近い言葉を話す人々も多く
少数民族の数は100以上にのぼる。
去年5月に就任したモディ首相はこの地域と東南アジアとを結びつける政策の実行を明言し
日本も具体的な支援に向けて準備を始めている。

インド北東部 ミゾラム州アイゾール。
「ミゾラム」は高地に住む民族の土地という意味の通り
標高約1,000mの山の斜面に町が広がっている。
地元民「ミゾ」の先祖は16世紀に国境を接するミャンマーから移住してきた中国系の人たちだとされている。
経済的につながりが深いのもミャンマーである。
ミャンマー製、さらには中国で作られた日用品など様々なものが国境経由で運ばれてくる。
北東部の課題はインフラ整備である。
インドからの独立や自治を求める少数民族と政府軍などとの戦闘が長引いたため
特に道路の整備が遅れてきた。
北東部の1人当たりのGDPは全国平均を約30%下回っている。
この現状を変えようとしているのが経済手腕への期待が高いモディ首相である。
去年12月には北東部の祭りに首相として10年ぶりに出席し
インフラ整備に力を入れる方針を強調した。
(インド モディ首相)
「私は北東部の経済発展に優先的に取り組みます。」
インドの経済発展を実現するため北東部のインフラを整備し
成長が続く東南アジアとの結びつきを強う目ようとするモディ首相。
インドが1990年代から掲げてきた東南アジアなどとの関係を重視するルックイースト政策を
アクトイースト政策
に改め実行に移すと意気込んでいる。
このインドの動きを後押しするのが日本。
去年9月 両国は北東部と東南アジアを結ぶインフラ整備の協力で合意した。
1月からはJICA(国際協力機構)が日本から道路建設の専門家を派遣。
インド側から協力を求められている合わせて1200キロを超える幹線道路などの整備に
円借款の供与が可能か調査を始めている。
調査対象のひとつがミゾラム州とミャンマーを結ぶ約370キロの国道である。
人や物資を運ぶ重要な道路だが路面状況が悪いうえに土砂災害が頻繁に起きている。
(タクシー運転手)
「道路の状態が悪くて危険です。
 パンクすることが多いし車も長持ちしません。」
調査を指揮するのは日本や海外の山岳道路を指揮してきたベテラン技術者である。
地滑りが起きそうな危険な場所を探したり
水はけを良くする排水溝の状況を確認したりして
どうやったら安全で走りやすい道路に改良できるかを調べている。
(トラック運転手)
「道路の状態が良くなれば暮らしも良くなります。」
(日本工営 片桐英夫さん)
「ノウハウをすべて出し切って
 インドのために日本の技術を紹介するために限りなく挑戦したい。」

インドはこれまでルックイースト政策を掲げながらも東南アジアとの結びつきを強める動きは乏しく存在感が薄かった。
モディ首相としてはアクトイースト政策をでこの現状を変えることを目指し
インフラ整備はもちろん政治的な関係強化も進めようとしている。
去年11月のASEAN首脳会議でモディ首相は南シナ海の領有権問題について中国をけん制する発言をした。
専門家はインドは中国の影響力の拡大を警戒する立場からも
積極的に政治・経済両面で東南アジアとの結びつきを強めていくと指摘している。
(オブザーバー研究財団 ジョシ特別研究員)
「東南アジアなどの重要性が高まるにつれインドは連携を強めようとする。
 中国がインド洋に進出するように我々も国益を守るため行動する可能性がある。」
ただインドは中国との経済的な関係も深く過度に刺激したくないのも本音で
アクトイースト政策が今後どのような変化をもたらすかはもう少し時間をかけてみていく必要がある。
日本としても間接的に大国インドの東南アジアへの接近を後押しすることで中国とのバランスを取る狙いがあるとみられる。
1月に岸田外相がインドのスワラジ外相と会談した際もこの北東部のインフラが議題のひとつになった。
JICAの現地調査は今年10月まで行われ
その後 円借款の内容が具体化する予定である。
インフラ整備を急ぎたいインド政府と日本政府の思惑は一致しており
インド北東部の開発のスピードが速まる可能性がある。





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