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歌人・沖ななものユーモア

2016-08-02 09:53:04 | 歌う

           歌人・沖ななものユーモア

 都知事になった小池百合子は「おひとりさま」、歌人の沖ななもも「ひとりさま」阿川佐和子も内館牧子も「おひとりさま」である。過去のことは知らないが現在は結婚していない。独身が彼女たちを成功させたように思えてしまう。結婚は夫だけでなく様々の人間と繋がる。人間とかかわることは世の中を知り賢くなるが、些末なことに振り回されかねない。自分のやりたいことに集中できなくなる。自分を粗末にしかねない。

 沖ななもは1945年茨城県生まれ。第一歌集『衣装哲学』で現代歌人協会賞を受賞。その後埼玉文芸賞受賞。この春には第十歌集を刊行した。著名な結社の代表以外に10冊も歌集を出せる女の歌人は少ない。結婚という「しがらみ」は女を委縮させるような気がする。 

         八月号「未来」の「今月の歌」    沖ななも

    「燃えない」の籠にすとんと落としつつ燃せば燃えるとおもうこのごみ

    目覚ましの鳴る前に目覚める習慣のいつか目覚めぬ日の来るまでは

    みずからのライトにみずからのゆく先を照らしつつバイク一台行けり

    十年余捨てずにおきしが考えて一度着て捨つ母のパジャマを

             ※    ※    ※    ※

 以上の作品について未来の新鋭・岡崎裕美子が次のように書いている。

 「このところ、沖ななもは精力的だ。昨年末に第九歌集を、この春第十歌集を歌集を発表した。ここにはひとり暮しの心境が淡々と描かれ「これぞただごとの歌」といった風情である。ユーモアを交えて自らに向き合う姿は何かすがすがしくもある」

 「コンビニ人間」で芥川賞の村田沙耶香もおひとりさま。ユーモアのある小説だといわれている。気持ちに余裕がれば無理のないユーモアが生まれるのではないか。小池百合子の演説やコメントのユーモアも圧勝へ導いたのかもしれない。       

            8月2日 松井多絵子