えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

「未来賞」は辺見丹

2018-12-31 15:21:15 | 歌う
大晦日の昼過ぎに届いた「未来」、2018年度の🌟未来賞 を伝えている。

平成6年生まれの辺見丹、昨年10月「未来」に入会、新しい選者の紀野恵欄に所属している。応募作品は63編、選考委員は大島史洋、佐伯裕子、池田はるみ、笹公人、黒瀬珂瀾、山崎聡子

💐 受賞作「亡霊たち」より5首

🔘水道管充たしてくさりゆくみづは
管もろともにくさらせてをり

🔘火の揺れるたびにあなたのよこがほにあなたやあなたではないだれか

🔘でもあれは人影だつたと言つたきり黙れば黙るほど長い橋

🔘町ひとつ焼き尽くし終へなほ熱を持て余すやうに夏の夜のかぜ

🔘暗転のそのひとときに映りこむわれのかたちの亡霊めいて

選考会は9月22日、猛暑の記憶が
生々しい頃である、次席の二人に比べて辺見丹の一連30首には暑さが魔のように漂っている。

来年の1月27日の未来新年会で平成6年生まれの青年に会えることを楽しみにしている、辺見丹さん、私にビタミンCをたくさんくださいネ。


「本を聴く」

2018-12-29 15:03:01 | 歌う
▼ わが街の駅前通りの書店には立ち読みびとが樹木のように

三店はあったはずの書店がいつの間にかひとつしかない、やはり出版不況か、私もほとんど立ち読みびと、でも新たな潮流「本を聴く」人々が急増しているらしい。

日本最大級の「オ一ディオブック配信サービス」の会員は約55万人、来年は100万人を目指す。子育てをしている女性の利用が急増している。子供に添い寝をしながら耳にイヤホンをはめ本を聴く、朝刊朝日のこの記事を読みながら私も本を聴きたいと思った。

40過ぎまでは私の視力は抜群だった。が老眼になるのも早かった。パソコンやスマホが老眼を加速、読書 、特に夜は控えるようになった。読みたい本は山ほどある。本を「聴く」ことができたら私の夜はさぞ充実するだろう。

▼何なりと話してごらん聞きますよ私の耳は退屈している

私は長年、目を働かせ過ぎた。そして耳を怠けさせていた。これからは目を休養させて耳を働かせればいいのだ。

メモの魔力

2018-12-26 13:45:33 | 歌う
14万部突破! という、『メモの魔力』は派手な本の広告だ。著者は31歳の前田裕二。いま最も注目される起業家による渾身のメモ術、これも広告・

🔘 1行のメモが一生を変える。
□メモを「第2の脳」として活用する
□記録ではなく「知的生産」のためにメモをとる
□メモの本質は「ノウハウ」ではなく「姿勢」
□就活て書いた「自己分析ノ一ト」30冊、□は広告の一部である。

歌人の端くれの私は常にメモ帳同伴である。気付いたこと、思いついたことは逃がさないようにしている。それなのに先日マクドナルドに置き忘れ、戻ったときはなかった。お店の人は「さあ」と、私のメモ帳は私以外には価値がない、走り書きの短歌の破片だ、でもそれらの言の葉はほとんど思い出せない。

△白い壁、白いテ一ブルその上のメモには何も書かれていない

作文の秘訣

2018-12-24 13:51:06 | 歌う
昨23日朝日折々のことばは貴重な言葉、目に沁み心に染みる歳晩の言葉、

作文の秘訣を一言でいえば、自分にしか書けないことを、だれにでもわかる文章で書くということだけなんですがね。井上ひさし

懐かしい人の言葉、あの『ひょっこりひょうたん島』の台本を書いた井上ひさし、いつの間にか世を去っている。

鷲田清一は彼は生前よく「むずかしいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを面白く」とも語った。と述べている。

自分にしか書けないことを書いていると私はつい一人よがりになってしまう。だれにでもわかる文章を書きたいがなかなか書けない。書きたいことの整理整頓ができていないからだろうか。

☀ ぼんやりと、ただぼんやりとしていたら今日のひかりは去ってしまった

歌集「迂回路」を読む

2018-12-20 13:46:10 | 歌う
桜木由香歌集『迂回路』をいただいたのは1週間前、あとがきを読むと彼女は若い頃にカトリックに入信しようとしたが、結局52歳のとき夫の余命宣告を受けたとき。『迂回路』という歌集名の由来がわかる。聖夜が近づいた今がこの歌集を味わうのにふさわしい。

歌集『迂回路』より7首抄出


🌸新宿が黄砂にかすむ日の昏れをあこがれのやうに時報鳴り出づ

🌸みんなみの海に台風ひとつ生れきみは訣れを告げて逝きたり

🌸さうなのか 生きてゐること狂ほしと三陸にくる刻刻の春

🌸雨あがり海より深き夕暮れの
街をよぎりぬ自転車漕いで

🌸踊らうかたつた弧りでをどらうか風に吹かれて山茶花赤い

🌸特急の車窓にみどり湧く五月母逝き夫の逝きにし五月

🌸扉を押せばちがふわたしに逢へさうな茶房の窓はあをぞら映す

桜木由香は1947年生まれ、「未来」では桜井登世子氏に師事、「まろにゑ」にも所属している。静かでスリムで素敵な方です。