まい、ガーデン

しなしなと日々の暮らしを楽しんで・・・

静嘉堂文庫美術館 《御所人形》

2024-03-18 08:40:12 | 展覧会

17日の昨日は彼岸の入り。
仏花立て、水菓子とまんじゅうを供えて手を合わせる。
3、4年前までは毎年佐渡の実家に帰り、墓参りをして仏壇に供物を供えたのになあ、
などと詮無いことを思ったりして。
なに、それは帰る理由だったりで本当は春の山野草を見たかったのよ、というのもある。
まことに不肖な娘である。

佐渡の行事はたいていが月後れ。
ひな祭りも今頃の商店街ではショーウインドウにお雛様を飾って、道行く人たちの目を
楽しませていた。今年はどうなのかしら。

さて。
静嘉堂文庫美術館、お雛様を愛でて次なるは御所人形を。
岩﨑小彌太の還暦を祝し京都の人形司・丸平大木人形店に特注した「木彫彩色御所人形」
それはそれは愛らしい、愛しい。
ひとつひとつのお人形を見るだけで、ひとりでに顔が緩んでくるというもの。
人形ひとつでこんなにも和やかな気持ちになるかと思ったりして愛でる。
顔の表情、動作や仕草の面白さ、衣装の豪華さ、頭につけている兎は何ぞや、なんてことを
想像しながら毎日パソコン開いて写真を見ているの。
ひとつくらいお持ち帰りしても分からないな、なんて邪な気持ちはなしよ。はい。

(確認したつもりですが、私のことだから配列人形が違っていたらごめんなさいです)

木彫彩色御所人形 鯛車曳

木彫彩色御所人形 楽隊

木彫彩色御所人形 宝船曳

木彫彩色御所人形 輿行列

木彫彩色御所人形 餅つき

御所人形 お福の花見

私、「お福の花見」こちら見たら、太ってることなんて大したことないどうでもいいことだな
なんて、みんなとてもふくよかでおおらかなんですもの。楽しんだもの勝ちだわって。
ぜひともこんな花見がしたいもんだわね。

と、御所人形をあれこれ見ていたら、すっかり忘れていた仁清さん、
野々村仁清 「色絵吉野山図茶壺」

もちろん美術館所蔵の曜変天目(稲葉天目)は見逃しませんでした。

それにしても、撮影はスマホでのみOK。なぜかしらね。

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静嘉堂文庫美術館 『岩﨑家のお雛さま』

2024-03-17 08:28:06 | 展覧会

昨夜雨が降ったようだ。地面が濡れている。
寝る前、空を見たら西の方に半月がひっくり返って浮かんでいた。
ややオレンジがかっていて、満月とは違った趣きでしばし見とれる。

さてと、上野から東京へと戻って、丸の内にある静嘉堂文庫美術館へ。
ここも行きたかったのよ、移転してから始めての訪問、ってその前の場所世田谷にも
行っていないのにねえ。
美術館が入っている明治生命館の建物は丸の内散策の折に何度も目にし、重厚な建物に
ただただすごいなあと驚嘆していたわけ。それが中に入れるんでしょ、美術館でしょ、
期待も膨らもうというもの。これまでも何回かの展覧会で行こうとは思ったけれど、
今ひとつ背中を押すものがなかったの。
それがこのたび、上野まで行くんだからついでにとお得意のフレーズが出て訪問。

『岩﨑家のお雛さま』
文字通り、三菱第四代社長・岩﨑小彌太(1879~1945)が孝子夫人(1888~1975)のために
京都の人形司・丸平大木人形店(丸平)で誂えた「岩﨑家雛人形」の展示。
小ぶりで気品があってそれでいて可愛らしい。
ああ、私にもこのような人形をプレゼントしてくれる夫がいたらなあ、と思ったかどうかは
内緒。

 

当日券で館内へ。展示室が少なくほどよく小さな美術館、これくらいでちょうどいい広さ。

 

 

 

    

 

 

 

 

愛らしいぬくもりを感じるお雛様に癒されて。
お目当ての御所人形はまた。

 

 

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『特別展 中尊寺金色堂』そして 上野公園

2024-03-16 09:10:07 | 展覧会

13日、ようやく東京国立博物館の『特別展 中尊寺金色堂』を観ることができた。
行きたかったのよ、仏様たちにお会いしたかったのよ。

ずっとずっと前、いつのことか夫と中尊寺、毛越寺に旅行に行ったことがある。
どうしてそこへ行こうとなったのかも覚えていない。歴史にも庭園にも仏様たちにも
さして興味がなかったころだから、見学したものすべてがおざなりだったわけ。
だいたいが「毛越寺」のことを「もうえつじ」と言って夫にさんざんバカにされた
んだから、あとは推して知るべしね。
今なら毛越寺の浄土庭園なんてゆっくり味わって歩くわ。(ほんとか)
ひとつも覚えていない中尊寺もしっかり見学するわ、金色堂だってなめるように見ると思う。
無知は恐ろしい。

そんなこんなで今回の展覧会はとても楽しみにしていたのよ。

 パンフレット

東京国立博物館本館

8KCG映像パースイメージ
幅約7メートル×高さ約4メートルの大型ディスプレイ上に原寸大の金色堂を再現

特別室に入った途端、こちらの映像がぐっと迫ってきてその迫力に圧倒される。
思わず手を合わせたくなるほどの美しさ神々しさ。見入ってしまったわ。たかがCG映像
と侮るなかれ、度肝を抜かれたのだから。ずっと見ていたかったけれどひとまずおいといて。

9時半開館のすぐだったから入場者は少なくゆったりと一つ一つの仏像を鑑賞できる。
前から横から後ろからぐるりと、好きな角度で、贅沢だ。

(中央)国宝 阿弥陀如来坐像(あみだにょらいざぞう)
(右)国宝 観音菩薩立像(かんのんぼさつりゅうぞう)
(左)国宝 勢至菩薩立像(せいしぼさつりゅうぞう)

(右)国宝 持国天立像(じこくてんりゅうぞう)
(左)国宝 増長天立像(ぞうちょうてんりゅうぞう)

いちばん好きな二天像 腰を大きくひねって躍動感に満ち満ちて なんともいえない
衣装の造形も素晴らしいのよ ため息が出るってわけで

 

国宝 地蔵菩薩立像(じぞうぼさつりゅうぞう)

国宝 金銅迦陵頻伽文華鬘(こんどうかりょうびんがもんけまん)

(仏像は全てHPの写真をお借りしました 撮影は禁止です)

金色堂模型 縮尺5分の一 (撮影可)

もう一度大型ディスプレイの映像を観て、十分堪能して外に出てみるとこの光景。

10時過ぎで最後尾20分待ちならよしだわね。

風がビュービュー吹き荒れる上野公園を突っ切って。

東京スカイツリーが。
幼稚園児たちの遠足の列、外国人ツアー客、などなど賑わう上野公園でして。

 

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東京国立近代美術館 『生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ』

2023-11-04 09:05:13 | 展覧会

毎度毎度、もうこれ以上はほっておけないとようやく腰を上げて外掃除を。
今朝は本当に気持ちがいい、やる気満々で木を整えたり草を引っこ抜いたり。
ま、私のことだからほんのちょこっとね。
道路を掃いていたら、オクガワサン息子とわんこ散歩に出会って。そうよ、
わんこはしっかりご褒美のおやつをおねだりしていたわ。
そしたら、連休で来ていた娘さん夫婦がやはりわんこ散歩に出てきた。
いつも何するにも一緒の仲良し夫婦、娘さんが立ち話していた我らに玄関先
から朝の挨拶。
誰との立ち話かってモリタサン。ゴミ出しに出てきたモリタサンとミカン剪定談義。
道路掃除で今日1日分の会話ができたわ。

 

29日日曜日、チュッパ一家とのランチを早々に終えて。
娘は気を遣ってコーヒーでも飲もうかと言うけれど、チュッパは仮装してお友達の
家に行くから母親が準備してあげるのがいいに決まっている。
私も時間に余裕があった方がいいからそこで分かれて。で、東京国立近代美術館。

「メイキング・オブ・ムナカタ」か。どういう意味なんだろうと、脳みそが足らない頭で
考える。すぐに、まあいいや、って。ここでも作品を鑑賞すればいいや、とそっちに。

HPには、「世界のムナカタ」として国際的な評価を得た版画家・棟方志功(1903-1975)
棟方の生誕120年を記念し、各地域の美術館(富山県美術館、青森県立美術館、
東京国立近代美術館)が協力して開催する本展では、棟方と各地域の関わりを軸に、
板画、倭画、油彩画といった様々な領域を横断しながら、本の装幀や挿絵、
包装紙などのデザイン、映画・テレビ・ラジオ出演にいたるまで、時代特有の「メディア」
を縦横無尽に駆け抜けた棟方の多岐にわたる活動を紹介し、棟方志功とはいかなる
芸術家であったのかを再考します、とある。 

そうね、棟方、といえばすぐにいくつかの作品が目に浮かぶものね。
なにがなんでも観たいというほどでもないが(怒られる)本物に触れてみたい。
私の心に何か変化は起きるのか、なんて大げさだけれど。

大作が多くあった中で、私の好きな作品を。

《市民体操》

《観音経曼荼羅》

《大和し美し「倭建命の柵」》

華厳譜《風神の柵》

 《鐘溪頌》

 

《湧然する女者達々》

《華狩頌(はなかりしょう)》

 《弁財天妃の柵》

 

《飛神の柵》

後は自画像 どれもこれもかわいらしさに溢れていて 天真爛漫な感じがすごくいい

 武奈加多胡慶志図(むなかたこけしず)

 

中でもこれがいちばんかな。

老眼のため本の挿画をよく見ることができないのは残念だったけれど、
今も、撮ってきた写真を見返すほどに心に残っている。どう生きるかって
しっかり現れるのね。

 

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アーティゾン美術館 《山口晃》

2023-11-01 07:46:32 | 展覧会

佐渡から帰りの寄り道。
疲れていなかったら寄り道しようと思っていて東京駅近辺でどこに行こうかと。
最悪でも丸の内仲通り歩いてランチして帰る、後はと、そうね、近いアーティゾン美術館だ。
山口晃さん、どこかで見たな聞いたなの記憶がある。ま、アーティゾン美術館は好きだから
そこに決めた。息抜きにちょっと立ち寄ればいいののいい加減さ。

山口晃、1969年東京都生まれ、群馬県育ちの日本画家。
大和絵や浮世絵のようなタッチで、非常に緻密に人物や建築物などを描き込む画風で知られる。
古今の都市の風俗を1つの風景の中に織り交ぜた細密描写の作品は山口の代名詞となり、
近年では、東京メトロ日本橋駅のパブリックアートや東京2020パラリンピック公式アート
ポスターを制作。とある、そうか。

今回の企画展「サンサシオン」だの「ジャムセッション」だのわけ分からないから、ただ単に
絵を楽しむだけ。細密描写の絵に近づいて部分をじっくり見て、いろいろ発見してにんまりする、
それだけね。充分。

東京圖1・0・4輪之段 2018-2023 

真ん中に皇居

 部分

《テイル オブ トーキョー 2023年》

銀座よね

 部分

服部時計店の屋上は

 部分

 部分

江戸と現代が混在 実に楽しい

《日本橋南詰盛況乃圖 》

 部分

 部分

お江戸に今の高島屋か うーんそうきたか

《善光寺御開帳遠景圖》 2022‐2023

 部分

 部分

細密画のほかにも

ランドルト環 2023年

モスキートルーム インスタレーション

白い壁と床と照明で構成された「ホワイトキューブ」の中で白い壁をじっと見つめていると
飛蚊症のように黒いものが見える

こんな漫画も面白くて
他にもエッセイマンガ「すゞしろ日記」が多く展示されていて、写真撮ったけれど写りが悪く
読みにくいからパス。
とても面白いのに紹介できなくて残念

 

 

同時開催の「読書する女性たち」
ほかの画家の作品がタイトルの意図通りの絵なのに

アンリ・マティスの作品だけ 
私 ほんとは本を読むなんて嫌いなの 疲れたわ あああ
に見えた私の眼はどうかしているわね

 オダリスク

樹間の憩い

自宅に帰る前のほんのわずかの時間、別の世界に過ごせて満足。

 

 

 

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神奈川歴史博物館 特別展『足柄の仏像』

2023-10-10 08:56:34 | 展覧会

昨日は雨が1日中降り続いた。
玄関ドアも開けず一歩も外に出ず。食べて寝てカレンダーづくりをちょこっと。

そんなんでも昼寝で眠ることができるから不思議。
私、昼寝しようと横になっても眠ることはできなかったのよ。それがこのところ
知らないうちに寝てしまう。昼寝できるんだとうれしくなるわけ。
夜だってトイレに立っても、すぐに寝て4時半から5時に目が覚める。嬉しくなるわ。
1回目が覚めたらもう眠れなかったからね、睡眠時間ほぼ4時間、5時間寝ると
あらあ今日はよく寝たと思って。同じく睡眠不足のシンチャンママと慰めあってたからね。
それがこのところ、足して6時間も眠っていられるわけよ。もう1日が得した気分。
原因は分からないけれど、いいわいいわこの調子でこれからもいってね、って。
そういって知らないうちに目が覚めなかったりして。まその時はその時ってことね。

 

HPをチェックしていて、この特別展は絶対行かねばならぬと手ぐすね引いていた待っていた。
私にとって足柄地域は全く縁もゆかりもない場所。およそわざわざ訪ねていくことはない。
まして、神社仏閣に立派な仏像がたくさんあるなんて思いもよらなかった。いい機会だ。

【特別展】『足柄の仏像』


HPによると、
現在の小田原市・南足柄市・中井町・大井町・松田町・山北町・開成町・箱根町・真鶴町・
湯河原町の2市8町にあたる。
この地域の仏像は、長年地元の人々に大切に守り伝えられ、現在でも地域に密着した信仰の
よりどころになっている、と書かれているが、それは拝見するとよおく伝わってくる。

鎮座すれば目の高さくらいの手ごろな大きさ、木造作りの温かみ、思わず撫でたくなるような
親近感、どの仏像も威圧するものがひとつもない。こんな仏様なら毎日拝もうかと大切にして
いきたくなろうというもの。
そのため通常は非公開や公開の日時が限られていることが多いというのもうなづける。

撮影は禁止なので、特に好きになった写真をHPからお借りした。

 

阿弥陀如来立像 鎌倉時代 小田原市・本誓寺

 

万巻上人坐像 平安時代 箱根町・箱根神社

 男神坐像 平安時代 箱根町・箱根神社

 女神坐像 平安時代 箱根町・箱根神社

薬師如来坐像 平安時代 小田原市・法輪寺

阿弥陀如来坐像 鎌倉時代 南足柄市・龍福寺

 千手観音菩薩立像 永禄5年 箱根町・興福院

北条時頼坐像 南北朝時代 大井町・最明寺

他にも、眉根にしわを寄せて口をへの字に結んでいる男神立像があったのよ。
こんな男性そこら辺にいるよな、と顔が浮かんだら可笑しくて。
そして一番のお気に入りは「菩薩遊戯座像」HPに写真がなくて残念で。
ガラスケースに入っていても分かる細工の細かさ、優美なお姿ポーズ、お顔。
お持ち帰りしたい。

関内や桜木町に行ったら、もう一度立ち寄って拝見して来よう。

帰り道、馬車道通り館内ホールの前。ジャズ演奏。

 

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茅ヶ崎 『小津安二郎』展覧会 本

2023-09-25 08:53:33 | 展覧会

春に神奈川近代文学館で「小津安二郎」没後60年の展覧会が開催されていた、が、
どうにも足が向かなくて結局観ることなく終わってしまった。
うーん、行っておくべきだったなと軽く後悔していたのよ。
もう少し若かったころに「東京物語」を観て感動して
以来、小津監督関係の本を
読み漁ったのにな。興味津々の人だったのにな。

近隣の美術館で何かないかと検索していたら「茅ヶ崎美術館」で
開館25周年記念 生誕120年 没後60年 小津安二郎の審美眼
が開催されている。期間も長い、美術館はアクセスもいい、今度こそ行ってこようと。
それにつけては、茅ヶ崎館関係の本を読んでおこうと、確か私持っていたなと本棚を。
ハードカバーの本はほとんど処分したが、小津さん関係の本は何冊か取っておいたはず。

『小津安二郎と茅ヶ崎館』石坂昌三著  少しずつ

読み返して茅ヶ崎館と小津安二郎とのかかわりを復習。何度読んでも小津さんに惹かれる。

ところどころを抜粋。

小津語録

「どうでもよいことは流行に従い
重大なことは道徳に従い
芸術のことは自分に従う」

茅ヶ崎館、小津の部屋は中二階、一番海寄りの角部屋二番である。八畳一間のバスもトイレも
ない素朴な部屋だ。窓からは、松林とツツジ、金雀枝の庭が見えた。

一見何の変哲もない、茅ヶ崎館のこの部屋に小津は戦後の十年間、毎年百五十日から二百日も
滞在しシナリオを書いた。
この部屋で書いたシナリオの中に、『晩春』『麦秋』最高傑作『東京物語』の三大名作がある。
原節子が主演したこの三作品は、いずれも主人公の名を「紀子」といったため、『紀子三部作』
と呼ばれた。

小津語録

「脚本を書いているときが、一番楽しい。それを配役する段になってがっかりする。現場で俳優を
動かして見て、もう一度がっくり来る」

監督の撮影現場の出で立ち、白い帽子、白いワイシャツ、グレーのズボンに白タビのいつも決まった
同じスタイルだった。

 このスタイルね

 このスタイル

(web拝借)スタッフは小津さん用に茣蓙を持って待機していたそうだ。

巨匠は王様だった。カメラの位置を決めるのも、小道具の位置も、俳優の位置も、カメラを
覗いたままで「笠さん、もうちょい観音寄りだ。お銚子は二センチ前に。あっ行き過ぎた」
演出もやはり、カメラを覗いたままで「原さん、コーヒーをスプーンで右回し二回かき回してから、
静かに目線を上げてセリフをいう。じゃあ、テストいってみましょう」

ほぼ全作品に出演した笠智衆さんはその著書『小津安二郎先生の思い出』」の中で書いている。
小津演出は、箸の上げ下げからオチョコの置き方、ご飯をゴクンと飲み込むのどの動かし方
まで、それこそ一から十まで決めていくものでした。あまり細かいのでなんだかロボットに
なったような気分になり・・・
そうだろうなと素人の私でさえそう思う。これじゃ笠さんはNGを出す王様になるわけだ。
小津組の中で一発OK組ももちろんいて、笠さんはあこがれたそうだ。
杉村春子さん、佐分利信さん。
俳優の演技を許さなかった小津監督だが、杉村春子さんだけは別格で好きなようにさせていた、
と別の本でも読んだ記憶がある。やっぱりそうなのか。

もうひとつ。
笠さん、ある場面での動作に
「そりゃあちょっと不自然じゃないですか」思い切って抗議してみたら、
「笠さん、僕は、君の演技より映画の構図の方が大事なんだよ」と、一蹴されてしまいました。
って。まさしく「芸術のことは自分がに従う」そのもの。

「小津先生は、原節子と初めて会った時、少年のように頬をポッと紅く染めた。」
伝説のように語り伝えられている。

小津は昭和三十年『早春』の脚本を茅ヶ崎館で書いたのを最後に、野田が兄から譲り受けた蓼科の
山荘を仕事場にして、茅ヶ崎へ再び戻ることはなかった。
茅ヶ崎館では「明日からいきますから」という、ちょっと鼻声の小津の電話のかかるのを待ち続
けたが、ついにかからなかった。

「秋日和」(1960)頃からは、五十七歳の小津の日記に「大変草臥れた」の記述が、目立つようになる。
そうよ、小津さんエピソード私の十八番。秋日和撮影の時、あまりに撮影が延びるのでスタッフが
脚本の表紙の「日」に1本縦線を入れて「秋田和」にした、というエピソード。
そうなんだ、当の小津さんも草臥れていたんだ。

小津安二郎

明治36年(1903)12月12日深川に生まれる。
昭和38年(1963)12月12日還暦の誕生日に死去。

そんな地元であるかのような茅ヶ崎での展覧会。

 

 高砂緑地を通り抜け

 茅ヶ崎美術館

館内は撮影禁止 下の2点は許可 いずれも小津さん直筆

 

 

茅ヶ崎館 小津さんの部屋を再現

以下はパンフレットを

期待が大きかったからかしら、ちょっと物足りなかったことは内緒。

 

 

 

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『ヨシタケシンスケ展かもしれない』続き

2023-08-17 08:43:09 | 展覧会

それにしてもヨシタケサンのスケッチは小さい。展示物は老眼鏡かけても読みにくい。
おまけに絵も文字も薄いときているから、なかなかに思う作品にたどりつけない。
もうもう見逃したもの多々。
そんなぼんくらばあさんではヨシタケサンの「頭のなか」をご覧下さいと言われても、ね。
はい、たどりつけないのです。
それでも写真を撮った中で見やすい(あくまでも読めるに限定よ)好きだなと思ったスケッチを。

デビュー作『りんごかもしれない』のスケッチかしら。
読んでいないのであくまでも「そうかもしれない」でね、ちがっていたらごめんなさい。


(照明が入っていて邪魔になるところはご容赦を)

ヨシタケサン、面白い。
座右の銘は「ものは言いよう」 夢は「現状維持」 そっか。
中学時代は、おこられるのがキライなので、人の言うことはよくきく。
ってこういう中学生いるよね。
実は、私もそうだった、今も怒られるのは嫌い、人が怒っているのを見るのも嫌い。
私は怒れない。怒らない人は甘く見られるってわかっていても怒れない。いいの。

 

ヨシタケサン、けっこうめんどくさいな。そこがいいのかな。

くすっと笑える

ヨシタケサンのひみつ

絵本界のスティーブ・ジョブズ?ファッションは常に同じ。半袖か長袖かの違い。
「同じ服も坊主頭もそうですが、決めなきゃいけないことが減るって、結構大きなことで。
いちいち自意識と相談しなくていい、迷わなくって済むっていうのは、すごく楽なんですよ」

すごく共感するけれど、私が実行したらただの不精。

 

 

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新潟万代島美術館 『ヨシタケシンスケ展かもしれない』

2023-08-16 08:35:54 | 展覧会

9日、佐渡に帰るために佐渡汽船行きのバスに乗っていた。
と、朱鷺メッセ通過のときに見たのが館内にある「万代島美術館」の展覧会ポスター。
『ヨシタケシンスケ展かもしれない』



ややや、帰りの立ち寄り先はここだ、と即決。
私、絵本は苦手だからヨシタケシンスケさんが書かれた絵本も読んでいない。
唯一「つまんない つまんない」の1冊だけ、よ。
そんな人が観ていいのか、と思うけれど、そんな人だからいいのよ、なんて。
朝1番の高速船に乗れば10時開館に十分間に合う、おつりがくる。
当日券販売だからチケットもOKね。3番に並んだわ。

 

  

    

会場内にはこんなパネルもあった

 もちろん座りましたよ

で、ヨシタケサンの小さな小さなスケッチに圧倒される。

複製が2000枚

1枚はこの大きさ ヨシタケサン 会社員時代にスケッチしているのがばれないようにすぐに
手で隠せる大きさで描いていたら それが習慣になってしまったんですって

ほかにもアイディアスケッチがたくさん展示されていたけれど あまりに小さくて
写真では何が何だかわからず紹介できないの 残念

で、唯一読んだ絵本「つまんない つまんない」 面白かったわ。その原画(複製かもしれない)
があったので、手元の絵本と比べてみた。

ヨシタケサン、色のセンスがなさ過ぎて、色付けは他のデザイナーが担当しているそうよ。

 お得意だけれど誰も撮ってくれない

 

大学時代の作品 もうこういう世界だったのか 

展覧会はとてもユニークで面白かった。子供たちも大勢来館していた。
で、これからヨシタケ作品を読むか、って、それはちょいわからない。

 

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東京都美術館 『マチス展』

2023-07-19 07:38:08 | 展覧会

パソコンもないしなあ、どうやって時間を過ごそうかなあ、植物関係は端境期だからなあ、
なんてグダグダ考えていた。
もうずっと観たい展覧会を面倒だの理由でパスしてきて、いいかげん立て直せねばとは思っ
ていたの。見逃したもの多々けっこう悔しくて。
で、マチス展こそは、と猛烈な暑さの中頑張って上野まで行ってきた。
マチス、好きな画家に入る。家にはポストカードがあるから以前にも行っているのね、きっと。

それにしても、今回の展覧会で初期のころの作品や彫刻、素描を鑑賞できてよかったわ。
マチスの特徴的な赤の作品はそれだけで心に訴えかけてくるものもあったし、ヴァンスのロザリオ
聖堂の4K画像の映像は全部見なかったけれど、行きたいなあなんて夢見たり。
暑い中、意を決して行ってよかった。やっぱり引っ込んでいたらだめだ、これからも。

「人物画と静物画」の展示室だけは撮影OK。昨年、京都でせっかくのアンディ・ウォーホル作品を、
スマホカメラ操作がうまくできないのと疲れで放棄したことがいつまでも悔やまれて。
だから、今回はほぼほぼ全部撮影。繰り返し見ている。

 赤いキュロットのオダリスク

 

 ニースの室内、シエスタ

 

 グールゴー男爵夫人の肖像

 

 夢

 

 座るバラ色の裸婦

 

 鏡の前の青いドレス

 

 ラ・フランス

 

 立っているヌード

 

 若い女性と白い毛皮の外套

 

 赤の大きな室内

 

 緑色の大理石のテーブルと静物

 

 黄色と青の室内

 

 緑色の食器戸棚と静物

 

 マグノリアのある静物

 

お持ち帰りしたい作品は、梨の名前のようなタイトルの「ラ・フランス」

 

 

 

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