NEST OF BLUESMANIA

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音曲日誌「一日一曲」#333 ジ・インプレッションズ「I’m So Proud」(ABC)

2024-03-04 06:50:00 | Weblog
2024年3月4日(月)

#333 ジ・インプレッションズ「I’m So Proud」(ABC)






ジ・インプレッションズ、1964年のヒット・シングル曲。メンバー、カーティス・メイフィールドの作品。ジョニー・ペイトによるプロデュース。

ジ・インプレッションズは58年テネシー州チャタヌーガにて結成されたルースターズが前身の、黒人コーラス・グループ。シカゴに移って、ジェリー・バトラー、カーティス・メイフィールドを加えて「ジェリー・バトラー&ジ・インプレッションズ」となった。62年にバトラーが脱退。以後はメイフィールドがリードする3人体制となった。

63年リリースの「It’s All Right」が全米4位の大ヒット、人気を不動のものとする。本日取り上げた「I’m So Proud」は翌64年に出した一連のヒット曲のひとつで、R&Bチャート14位、全米14位と、黒人、白人共にアピールしたナンバーだ。63年のアルバム「The Never Ending Impressions」所収。

筆者はもちろんリアルタイムでこの曲を聴いて知っている訳ではない。なにせまだ小学1年、洋楽のヨの字も知らなかった頃だからだ。

初めて聴いたのは、オリジナルではなく、ベック・ボガート&アピス(BBA)の武道館ライブ盤のカバー・バージョンでだった。73年、高校1年の頃だ。

BBAのメンバー、ティム・ボガート、カーマイン・アピスが生み出すコーラス・ハーモニーが実にカッコよくて、「いったい誰の作品?」という疑問がわいた。調べると、カーティス・メイフィールドとある。

当時メイフィールドは72年の映画「スーパーフライ」の主題曲などのヒットで人気のソロ・シンガーであり、筆者もその存在を知っていたが、その彼が60年代にはインプレッションズというグループにいて、その立役者であったことも初めて知ったのである。

この「I’m So Proud」は、いかにもストレートなラブ・バラード。Proudという言葉は「誇らしい」「誇りに思う」などと訳されがちだが、この曲の場合はもう少し軽いニュアンスで「喜びに思う」ぐらいの感じだ。要するにベタベタな恋人讃歌。

メイフィールドの高めの声を主軸に展開される、この上なく甘いコーラス。バックの3連サウンドも、いかにも万人受けのするジェントルなアレンジ。こりゃ、ヒットするわな。

BBAのリズム隊、ボガート&アピスもヴァニラ・ファッジ時代からこういうソウル・ナンバーを好んでカバーしていたし、ベックも黒人音楽全般を愛好していたからこそ、武道館でもこういうナンバーをハード・ロックに交えて演奏したんだろうな。

ジ・インプレッションズはこの曲のリリース後も、「Keep On Pushing」「Amen」そしてロッド・スチュアートら多数のカバーを生んだ「People Get Ready」といった名曲を生み続けた。

70年にメイフィールドが独立した後も、メンバーを入れ替えつつ81年までアルバムを出しているが、メイフィールドの歌声、ソングライティングの才能が生かされた62年から70年までの3人時代が、やはり彼らの全盛期。

伸びやかでスウィートなハーモニーを、とくと楽しんどくれ。

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