NEST OF BLUESMANIA

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音曲日誌「一日一曲」#332 ジョニー・ウインター「Mojo Boogie」(Alligator)

2024-03-03 07:49:00 | Weblog
2024年3月3日(日)

#332 ジョニー・ウインター「Mojo Boogie」(Alligator)






ジョニー・ウインター、86年リリースのアルバム「3rd Degree」よりオープニング・ナンバー。J・B・ルノアーの作品。ウインター自身とディック・シャーマンによるプロデュース。

昨日取り上げたJ・B・ルノアーが50年代初頭にJ.O.B.レーベルでシングル・リリースしたナンバーである。原題は「The Mojo」。そのご、66年にアルバム「Alabama Blues!」で再録音しており、「The Mojo Boogie」と改題している。

オリジナルはサックスの入ったジャジィなバンド・サウンド、再録音はアコースティック・ギターとドラムスのシンプルなアレンジ。

ウインターによるカバーはルノアーとはかなり趣きを変えて、彼の激しいスライド・ギター・プレイを前面に押し出したアレンジとなっている。

ウインターはこの曲をステージでもよく演奏しており、ライブ映像も残っている。例えば、87年のスウェーデンにおける演奏。ここではベーシストが同時にハープも吹いているのが、やたらと目を引く。しかも、なかなかの巧者である。アメリカって、本当にミュージシャンの層が厚いよな。

歌詞の一部を紹介しておこう。

I been to New Orleans, I sure had a wonderful time
I been to New Orleans, I sure had a wonderful time
I was high, high as a Georgia pine

You know, the gypsy carried me down on Rampart Street
I seen everybody that I wanted to meet
She said, “Hey Johnny., stop and listen to me,
“They got somethin’ that knock you off a your feet

Its called the mojo boogie
Its called that Mojo boogie
“They call it mojo boogie, begin to slide on down”

ニューオーリンズに行ったときは、サイコーの時間を過ごせた
ニューオーリンズに行ったときは、サイコーの時間を過ごせた
まるで、ジョージアの松の木みたいにハイだったぜ

ジプシー女がランパート・ストリートに連れてってくれた
そこで会いたい人全員に会った
彼女は言った、「ねえジョニー、聞いて。あいつらはあんたを打ちのめすような何かを持ってるわ」

それはモジョブギ
それはモジョブギ
「それはモジョブギ、滑り落ちていくわ」(筆者による拙訳、一部訳ワカメなのはご勘弁を)

この歌詞を読めば、誰もが当然、ある曲のことを思い出すだろう。そう、マディ・ウォーターズの「Got My Mojo Workin’」である。

ジプシー女が登場し、怪しげな占いをしてラッキー・アイテム、モジョを渡してくれるという話。あるいは同じマディの「I’m Your Hoochie Coochie Man」にも似たようなくだりがある。

それらの曲に共通して登場するのが、本曲のモチーフでもある魔法のアイテム「モジョ」だ。

人を惹きつけ、意中の女性をやすやすと落とせるというこの「モジョ」の正体は何なのか?

インターネットの辞書によれば、ブードゥー教における呪術ということになっているが、それ以上の詳しいことはよく分からない。ブードゥー教に入信していない部外者は、推察するしかない。

正体がよく分からないからこそ、この「モジョ」という言葉には、我々を引き付けてやまないものがある。

そして上記のマディの曲や、ライトニン・ホプキンスの「Mojo Hand」、そしてルノアーの「The Mojo」といった曲を生み出すモチベーションとなったのだ。

ウインターもまた、この「モジョ」への興味からルノアーの曲を取り上げようという気になったのだろう。

ノリの良さはピカ一のシャッフル。キャッチーなメロディ・ライン。意味深な歌詞。陽性のブルースの魅力を凝縮したような一曲である。ぜひ、一緒に口ずさんでみて欲しい。




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