prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ラストキング・オブ・スコットランド」

2007年03月29日 | 映画
政権をとった直後の演説でアミン(フォレスト・ウィテカー)が軍服姿で槍を持つところがちらっとあるが、実物のアミンがスーツ姿(!)でやはり槍を持って「アチョリ族の戦いの踊り」を踊っているブキミな写真を見たことがある。
言っては悪いが前近代的なアフリカの部族社会に近代社会のエゴイズムと兵器が持ち込まれて暴力が増幅された残虐さと混乱の象徴みたいな人物だったな、と改めて思う。
人食い場面といった扇情的なシーンはなくても、本当に怖い。これで腎不全で病院のベッドで死ねたのだから、なんだか納得がいかない。

アジア系の住人を追放するのに主人公の医者が反対すると俺のやることに口を出すなと言い、それで経済的な大打撃を受けるとなんで止めてくれなかったと怒り、止めましたというとなんでやめるまで止めなかったとくる。なんだか「ドラエもん」でのび太が寝坊してママに「起こたのに起きないからよ」と叱られ「起きるまで起こさないからだ」と言い返すのと同じリクツで、「子供」と言われるのがよくわかる。
「恐るべき子供」というほど文学的ではなく、思慮が浅く気分屋で残酷でエゴイスト、という悪い意味で幼児的な的な部分だけで動いているみたい。

PLOがハイジャックした飛行機の乗客が軟禁されていたウガンダのエンテベ空港をイスラエルの特殊部隊が急襲したサンダーボルト作戦は有名だが、それがああいう具合にストーリーに絡んでくるとは思わなかった。

主人公の医者がスコットランド人でイングランド人とごっちゃにされるのをひどく嫌う。そのくせ白人だから命が助かるのであって、イギリス人が政治的にアフリカにちょっかいを出しているのがはっきりわかるのと併せてなんともいえない感じ。

フォレスト・ウィテカーは「バード」で同じく実在の人物チャーリー・パーカーを演じているが、外観は特に似せようとはしていないのにどっちもひどくそれらしい。
(☆☆☆★★)




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