prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「マグニフィセント・セブン」

2017年02月12日 | 映画
七人がさまざまな人種の混成部隊で互いの立場の違いからくる葛藤があったり女性が活躍するのも時代の変化を取り込んでいて、しかも全員恰好よく決めているところは古典的。
西部劇で南北戦争が絡むと大抵面白くなる、と言ったのは小林信彦だが(「シェーン」や「駅馬車」といった超大物がそうだ)、これもそうで、今でも内戦のわだかまりを引きずっているのだろうな。
クロースアップの多用や、ガトリング銃が出てくるところ、デンゼル・ワシントンが助っ人を引き受ける動機づけなどマカロニ・ウェスタン調。

中盤のアクションでは街を占拠していた悪者たちを追い出し、クライマックスの戦いでは攻めてくる軍勢を街を砦にして戦うという戦い方が、狭い場所で押し合いへし合いしていた原典とはいかにも対照的で土地の広さと銃の有効射程の差で見せ場を組み立てている。

冒頭で教会が焼かれるのが悪役の非道さを強く印象づけるとともに、その周辺で繰り広げられる戦いの中で各キャラクターの罪があがなわれるといったニュアンスを出した。

敵が資本力・政治力を盾に土地を買い占め街の住人を追い出そうとする権力悪になっているのは、「天国の門」で非難された要素を娯楽映画の枠にうまく収めた。

先住民を敵と味方の両方に割り振ったのはずいぶん気を使っている感じ。善玉がレッドハーベストとはなんという名前かと思うが、ダシール・ハメットの「血の収穫」の原題であり、黒澤明の「用心棒」の元でもある。弓矢を次々と射る姿がすこぶる恰好いい。

そういえば、スタローンがやったランボーは先住民の血が入っている設定だったはずで、二作目から弓矢を使うのも関係あるのかもしれない。
(☆☆☆★★)

マグニフィセント・セブン 公式ホームページ

映画『マグニフィセント・セブン』 - シネマトゥデイ

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