遠い森 遠い聲 ........語り部・ストーリーテラー lucaのことのは
語り部は いにしえを語り継ぎ いまを読み解き あしたを予言する。騙りかも!?内容はご自身の手で検証してください。
 



語り部として 戦争を語り継ぐにあたり  口承   ……    実際に体験した方から聴いたことをまとめ   その方に語りを聴いていただくことで 語ることを目指してきた。

だが そうすると  偏りが生まれる。銃後の方は  なんとか  話してくださる。だが  戦地で ひとを殺したり   あまりに 過酷な苦しみを舐めた方が  自ら 語ってくださることはなかった。

山形の高橋さんもそうだった。今まで 語ったことはない。墓場までもってゆくつもりだった。そうおっしゃりながら   一昨年   満蒙開拓義勇軍の体験を語ってくださった。けれども  わたしは  もっとある  核心は語ってくださってはいない。そう感じて あとひとたびと思っていた。心が通じ合わないと語ってはくださらないからだ。10回以上通って 漸く  重い口を開いてくださった方もいた。

 

ところが、再訪が叶わぬまま  高橋さんは亡くなった。今は   長野の関さんと埼玉の荒井さんの元に通っているが  いつ本題に入れるかまだわからない。わたしがほんとうに聴きたいこと のちのひとに伝えたいことこそが  体験者にとっては  もっとも隠したい 話したくないことだから。ー

 

けれど いのちの終わりが 近づき  阿部政権によって 戦争への梯子段が 次々外され 磐石と思われた平和が脅かされるようになって   語りはじめたひともいる。満州黒川開拓団の女性もそうだった。戦後  満州にソ連が侵攻し  その兵隊たちは気も荒い囚人もいたから  関東軍の幹部から見捨てられ置き去りにされた開拓団の人たちは大変なことになった。王道楽土  五族協和は 口先のモノ  土地は中国人から奪ったものだったから  中国人に対して過酷だった開拓団は報復も覚悟しなくてはならなかった。

開拓団の運命を決めたのは 団長など指導者だった。根こそぎ動員で開拓団に残っていたのは老人女子どもだった。多くの開拓団で集団自決が選択された。決めたのは男である。

さて   黒川開拓団では生き延びて日本に帰るために ひとつの選択がされた。ソ連兵に守ってもらうために   16から20歳の乙女をソ連兵に差し出したのである。70年以上 秘していたそのことを犠牲になった女性が語りはじめた。乙女たちは知らされることなく慰安所に連れていかれた。酒の接待と信じて。穢いもののようにソ連兵に扱われおかあさん おかあさんと声をあげながら乙女たちは耐えた。自分の娘のことを想う…. 泣かないではいられない。母はそのとき  何を思ったか……

零下30度   終えたあと 洗浄したけれど  性病に罹るもの続出という。

 

前述の高橋さんの話では   慰安所に 連れていかれたことがあるという。そこには畑作業中  拉致されたという 現地人の少女が三人いて  相談にのってやったという。逃げた方がいいと勧め  少女たちは 逃げる   と言ったという。果たして  逃げ切れただろうか。

また 別の青少年義勇軍の方の話では逃げる途中  川の前で  ソ連兵に女性をわたすよう日本兵に要求され 同行の女性三人が お世話になったからと  自ら身を差し出したが  二人は帰らなかったと言う。同じようなことは 満州のあちこちであったことだろう。

 

男の戦争と女の戦争は違う。決めるのは男だ。政府の戦争と国民の戦争は違う。国民の運命を決めるのは政府だ。

 

わたしは語りつづける。戦争を生きたひとの人生を。もはや 聞き書きで受け継ぎ 伝えられるものがたりは限られるだろう。あとは調査  書承によるしかない。今まで 特攻の真実    少年兵   学徒勤労動員  学童集団疎開   戦争孤児   大空襲   民間徴用船   満蒙開拓青少年義勇軍   開拓団  シベリア抑留   レイテ島  硫黄島   風船爆弾など 語ってきたが   従軍看護婦   慰安婦    残留日本兵  まで 語りたい 伝えたい。亡くなった方々の供養のために。そして その方々が望んだ平和のために。ふつうの暮らしのために。

戦争に大義などない。大東亜戦争にひかりがあるとすれば  インドネシア  ベトナムの獨立と 戦後72年の平和だけだ。多くの涙 苦しみ  死 と 引き換えの 平和。政治を私するもの   国民の  男たちの女たちの子どもたちの血の滴る苦しみなど 屁とも思わぬ男たちの手で戦争は起こされた。日本人ばかりではない。その末裔が日本を世界を動かしている。画策している。



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