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NHKドラマ 真珠湾からの帰還を きのうビデオで見ました。昨年12月放映されたものですが 地デジがないので 見るのははじめてで衝撃でした。


1941年12月7日真珠湾攻撃に失敗した特殊潜航艇「甲標的甲型」


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抜粋
1941年12月8日、真珠湾攻撃の第一撃は空からの攻撃と考えられていますが、じつはその数時間前に、二人乗りの5隻のミニ・潜水艦「特殊潜航艇」=甲標的が、それぞれの母艦から出動していました。

大本営発表では「空母を撃沈した」と報道され、翌年3月6日に、海軍がいきなり、戦死した9人を「軍神」として扱うことを発表します。戦時中、9軍神の「9」という数字に疑問をもった国民はたくさんいます。5隻の特殊潜航艇ならば、2x5で10人ではないかと。しかし、海軍からその説明は一切ありませんでした。

それは、恥辱の対象とされた捕虜、しかも、太平洋戦争での「捕虜第一号」となった酒巻和夫さんのことを公にしたくなかったからです。酒巻さんは、終戦後に、捕虜収容所で暮らしたアメリカから帰国し、数年後に「捕虜第一号」という本を書き上げますが、その後は、マスコミにはほとんど一切、自らの戦争体験を語ろうとはしませんでした。

結局 戦意高揚を図った 海軍の意図は的中しました。大きくなったら、『絶対僕も海軍に』と思った少年たちが大勢いたのです。1942年は、全国で、軍神関連の小説「海軍」、そして映画が大ヒット。4月8日には東京の日比谷公園で海軍葬が営まれ、数万人もの人が訪れたと言われています。

けれども 戦後 1941年12月8日の真珠湾攻撃において、5隻の特殊潜航艇はなんら戦果を出せなかったことが明らかになりました。このドラマの主人公坂巻中尉は それを知らず 生き残り捕虜になった自分を恥じ、責め 地獄の日々をおくることになります。中尉に去来するのは岩瀬大佐の遺したことば「」

ドラマに登場した岩宮緑さんは、当時17歳でした。いわみや旅館は、最初の10人だけではなく、その後も特殊潜航艇の訓練のために訪れる軍人たちのための常宿となるのですが、緑さんは、当時は東京の洋裁学校の生徒でした。夏休みの帰省中に最初の10人の世話をしていたのです。そして、上記の海軍葬のとき、緑さんは東京にいたのですが、そのときのことが「特潜勇士と軍神宿」(あきつ出版)に書かれています。要約して紹介します。

「岩佐さん、古野さん、横山さんと、砲車一台に白木の箱一個が乗せられて次々と目の前を通り過ぎていく。私は声を押し殺して泣きました。おそばに行って焼香したい、ご遺族の前にいってお話をしたいという気持ちで一杯でした。でも、新聞社の人につかまったならば、軍の秘密がばれてしまうのでは、と思ったとき、ぐっと辛抱し、一人ひとりのお名前を声を殺して呼びながら伏し拝みました」

軍の秘密とは、もちろん、特殊潜航艇の計画の全容のことです。緑さんたちは全容とまではいかなくても、その一部を知り得る立場にいたのです。

酒巻さんは終戦の翌年の昭和21年(1946年)5月に、いわみや旅館を訪れますが、「特潜勇士と軍神宿」によれば、こう言ったそうです。
「皆さんも、色々なことを私に尋ねたいと思うでしょうが、私はその話をしに来たのではないから、すまないが、何もお尋ねくださいますな」
 
酒巻さんはいわみや旅館に2泊したのですが、おそらくは、一人だけ生き残ってしまった自分を責めながらも、思い出の部屋で皆と語り合ったのでしょう。

ドラマでは、緑さんが酒巻さんとダンスをしていましたが、それが本当にあったかは分かりません。ただ、緑さんが「(特殊潜航艇の乗組員だった)岩佐中佐が、手を取ってくれて『世が世なら』と言ってくれた」と語る場面がありましたが、あれは本当です。

 故人とはいえ、個人のプライバシーに関わる詳細はここでは書けませんが、「特潜勇士と軍神宿」によると、岩佐中佐のその言葉は、それこそ、いわみや旅館を去る前の最後の夜。

『世が世であればね。もう少し早く貴女を知っていたらね』この言葉を緑さんは忘れたことはなく、「それだけで私は満足でした」と書かれています。

今年は真珠湾攻撃から70周年。つまり、九軍神の70周忌です。死んだ人たちは、軍神でも片棒担ぎでもない。普通の若者でした。 20代で死ぬのが当たり前のときがあった。繰り返してはなりません。

坂巻中尉は トヨタに入社 ブラジルトヨタの初代社長になり81歳で亡くなりました。緑さんも一度結婚し 死に別れて実家に戻り 81歳で亡くなりました。

以上

岩佐大佐を演じていたのは平幹二郎さんのご子息ですね 声でわかりました。人の声は不思議です。骨格もあるのでしょうが 親兄弟 姉妹の声が似てしまうのは 日ごろ耳にするうち 抑揚や癖などまで知らずにコピーしてしまうのかもしれません。


 




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