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日本民主主義を機能させないための三つの策謀

2017年06月16日 08時55分59秒 | 政治経済、社会・哲学、ビジネス、

                  

 

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                 「植草一秀の『知られざる真実』」

                             2017/06/15

 

 日本民主主義を機能させないための三つの策謀

            第1768号

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安倍自公政権の本性をむき出しにした共謀罪強行採決が実行された。

参議院の委員会採決をすっ飛ばして、委員長が本会議で中間報告し、本会議で
採決を強行するという暴挙が示された。

参議院委員会での審議時間はわずか17時間50分。

衆議院の審議もまったく不十分だったが、それでも時間数では30時間25分
だった。

参院法務委員会で採決を強行すれば、当然のことながら、委員会室は採決を阻
止しようとする野党議員の実力行使と怒号で騒然とした状況になる。

他方、安倍政権は森友・加計・山口の「アベ友三兄弟」疑惑に対して、まった
く説明責任を果たしていない。

「逃げ」の一手で、巨大疑惑に蓋をしようとする姿勢が鮮明である。

7月2日には東京都議選が投開票日を迎える。

都議選告示は6月23日だ。

国会会期を延長すれば、都議選告示のあとに国会論戦が繰り広げられ、

「アベ友三兄弟」疑惑に対する政権追及が勢いを増す。

そのなかで共謀罪創設の法案審議が進められ、委員会での強行採決、本会議で
の各種法案可決阻止のための議会戦術が用いられることになる。

これらの模様がテレビメディア等を通じて主権者に流布されることを恐れて、
安倍政権は暴走を加速させた。

「共謀罪」は犯罪の行為と犯罪結果があってはじめて処罰するという日本の刑
法の基本原則を破壊するものである。

「組織犯罪集団」が犯罪の「準備行為」に着手した段階で罰するというものだ
が、市民と組織犯罪集団の線引きも、「準備行為」の定義もあいまいである。

つまり、通信傍受や尾行などの手法で警察組織が市民を常に監視下に置くこと
を合法化する「弾圧法制」であると言わざるを得ない。



特定秘密保護法

刑事訴訟法改悪

共謀罪創設

はセットである。

これによって、「弾圧法制」が完結する。

新・治安維持法

と呼んで差し支えない。

戦争法制によって、日本は戦争をする国、戦争を推進する国に変質した。

他方、安倍政権は市場原理にすべてをゆだねるという搾取=弱肉強食を熱烈推
進している。

TPPを前面推進し、「働き方改革」の美名の下に、労働者の処遇悪化、地位
の不安定化を促進する各種制度改悪を強行推進している。

「戦争」と「搾取」が安倍政権政策の基本であるが、この政策を遂行する上
で、最大の障害、最大の邪魔者が

「市民」=「主権者」=「国民」

なのである。

邪魔になる市民、国民、主権者を排除するための枠組みが

弾圧法制

であり、

この弾圧法制が

特定秘密保護法・刑事訴訟法改悪・共謀罪創設

で完結する。

かむろてつ氏による指摘、

安倍政権「真・三本の矢」は

戦争・搾取・弾圧

は見事に安倍政権の本質を衝いている。



6月11日の渋谷ハチ公前での『共謀罪に反対する緊急渋谷街宣』における宮
台真司氏のスピーチに、私と思われる人物の事例が取り上げられたが、言葉が
一部省略されているので補足しておく。

宮台氏は、山口敬之問題について、

「握って奴隷にするんだ。

一見、公共の電波で中立を装っている人間が、そのような形で操られているん
だ。

操られることを拒否すると、名前を言っていいのかな。

なんとか一秀さんみたいに挙げられてしまうっていうことが起こる。」

私は日本の警察・検察・裁判所の前近代性を強く批判し続けている。

最大の問題は、警察・検察の巨大すぎる裁量権である。

その巨大すぎる裁量権とは、

1.犯罪が実在するのに犯罪者を無罪放免にする裁量権



2.犯罪が存在しないのに、無実の人間を犯罪者に仕立て上げる裁量権

である。

宮台氏の言い回しが誤解を招きかねない部分があるので、重要な事実を明記し
ておく。

安倍暴政は弾圧法制を完全に手中に収めた。

今後は、

「犯罪が存在しないのに、無実の人間を犯罪者に仕立て上げる」

行為が激増することになるだろう。

これが「新・治安維持法」の本質である。



その都議選が悲惨な状況にある。

自公と第二自公が議席の大半を占有する可能性を高めている。

安倍暴政は民主主義の機能を麻痺させるために三つの策略を同時並行で推進し
ている。

第一は、野党第一党の民進党の「ゆ党」化である。

第二は、共産党と創価学会の離間工作である。

第三は、「ゆ党」としての「第三局勢力」の人為的な創出である。

この三つの謀略が実行されている。



この国会で共謀罪がろくな審議もせずに強行採決で制定されたことの、第一の
戦犯はもちろん安倍政権自身であるが、この暴走を止めなかった勢力がいるこ
とを見落としてはならない。

この通常国会では、安倍暴政の腐敗臭が日本中を覆い尽くした。

鼻を突く、一億総嘔吐を招くような、強烈な腐敗臭が日本中を覆い尽くした。

この醜態に際して、野党が健全に機能していたなら、安倍政権は完全に退場さ
せられていた。

森友疑惑は何も解明されていない。

国有地不正払い下げ事案の疑いが極めて強い。

1881年の北海道開拓使官有物払い下げ事件と同類の巨大不正事案が発覚し
た。

この事案に対して、安倍首相が、

「自分や妻が関わっていたら、総理大臣も議員も辞める」

と口を滑らせた。

安倍政権崩壊が確定したと言える。



その後に明らかになった事実によって、森友学園の国有地取得に安倍昭恵夫人
が深く関与したいたことが、ほぼ明白になった。

したがって、安倍首相の辞任が秒読みになったのである。

野党は、すべての事案に優先して、

安倍昭恵の直接の説明を求める

べきだった。

このことを最優先して、野党が結束して、すべての国会審議を拒絶したなら、

主権者国民は野党の行動を全面支援したはずだ。

安倍昭恵氏が公開の場での説明に追い込まれたなら、森友学園による国有地取
得問題への関与を証言したと考えられる。

そうなれば、安倍政権は確実に終焉していた。



この決定的な機会を握りつぶしたのは誰か。

それは、

民進党

である。

蓮舫・野田佳彦・山井和則の民進党執行部が、安倍昭恵氏による公開の場での
説明機会設営に死力を尽くさなかった。

森友学園の籠池泰典氏は、近畿財務局と森友学園の間の土地取得交渉の詳細は
森友学園の顧問弁護士である

酒井康生弁護士

が知っていると証言した。

国会は値引き交渉の詳細について、酒井康生弁護士を国会に招致して問うこと
を行うべきであった。

また、加計学園疑惑では、官邸からの圧力を記述した省庁内部の文書の存在を
前文部科学事務次官の前川喜平氏が証言した。

前川氏は国会での証人喚問に応じる考えを明言した。

前川氏の国会招致実現を執拗に要求するべきだった。

しかし、民進党の要求は「ジェスチャー」のみで、まったく実効性を伴わな
かった。

民進党が疑惑追及に蓋をした最大の協力者なのである。



第二の策謀は共産党と公明党との間の離間工作だ。

公明党は「平和と福祉」の看板を掲げてきたが、いまや完全に安倍暴政支援機
関に成り下がってしまっている。

日本の民主主義を封殺しようとする勢力は、共産党と公明党の接近を妨害する
とともに、公明党を権力傘下に引き入れる工作を展開し、これを実現した。

日本支配勢力にとって、共産党と公明党の離間と、公明党の抱え込みはきわめ
て重要な意味を持ち続けている。

そして第三の策謀が、「ゆ党」としての「第三極」勢力の人為的創出だ。

支配勢力が最初に最大の資源を投下したのが橋下徹氏であり、いま最大の資源
を投下しているのが小池百合子氏である。

都議選で自公と都民ファーストで議会議席の大半を占有できれば、これが国会
議席占有のモデルケースになる。



したがって、私たちが目指さなければならないことは、

本当の野党

たしかな野党

勢力の結集である。

民進党のなかのBadな部分を切り離し、本当の主権者勢力の結集を図る。

安倍暴政は完全に腐敗し、完全に緩み切っている。

なにをやっても主権者国民は立ち上がらない。

暴政を排除しないと高を括っている。

主権者国民をなめ切っているのだ。

これを許すわけにはいかない。

主権者が連帯し、明確な政策公約の旗の下に結集し、必ず次の選挙で主権者国
民のための政権を樹立しなければならない

 
 
 
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