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◆高村祭(2009/5/15・第52回)。
高村祭・第2部(午後)は、12時から、地元の人による高砂の舞、花巻高等看護専門学校生によるコーラスではじまった。
コーラスの曲目は、歌詞に高村山荘がうたわれている「花巻の四季」と、高村光太郎が作詞した「最低にして最高の道」「リンゴの詩」の3曲だ。
最低にして最高の道
もう止さう。
ちひさな利慾とちひさな不平と、
ちひさなぐちとちひさな怒りと、
そういふうるさいけちなものは、
ああ、きれいにもう止さう。
わたくし事のいざこざに見にくい皺を縦によせて
この世を地獄に住むのは止さう。
こそこそと裏から裏へ
うす汚い企みをやるのは止さう。
この世の抜駆けはもう止さう。
さういふ事はともかく忘れて
みんなと一緒に大きく生きよう。
見えもかけ値もない裸のこころで
らくらくと、のびのびと、
あの空を仰いでわれらは生きよう。
泣くも笑ふもみんなと一緒に
最低にして最高の道をゆかう。
(文部省『中等国語一[後]』昭和21年8月発行より)
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コーラスのあと、地元婦人会や参会者による「歌と踊り」が、午後2時まで延々つづくことになっていたのだが、歌う人、踊る人が予想外に少なく、急遽、短縮して、午後1時に終了。
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★高村祭終了。詩碑の前で記念撮影をする参会者たち(2009/05/15/13:25)
◆いつもいっていることだけれども、たとえば、三沢市の寺山修司記念館は、ある統一的な視点で、寺山の生涯のトータルをカバーしようとしている。
記念館に身を置くと、その視点と姿勢を(ま、それを受け入れるか受け入れないかは別にして)強く感じる。
しかし、光太郎について、これをやろうとすると、なかなかむずかしい。
父光雲と光太郎、留学と光太郎、智恵子と光太郎、大東亜戦争と光太郎、独居・農耕自炊生活と光太郎……などから、統一的に論じる視点をみつけだすことは、わたしにはできない。
◆だから、高村光太郎記念館&高村祭は、そういうものからはあっさり開放されて(ま、あきらめて)、光太郎がここ(旧稗貫郡太田村山口)の小屋(7坪少々)で独居・農耕自炊した7年間(昭和20年~27年)に限定して物語ろうとするのがいいのではないかと思っている。
光太郎のトータルの一部としての「独居・農耕自炊生活」……ととらえるのではない。
また、「独居・農耕自炊生活の光太郎」とそれ以前の光太郎……ととらえるのでもない。(←どうしても、この傾向が出てくる)
スパッと、「農耕自炊生活の光太郎」に限定し、独立させてとらえるのだ。
そうすることによって、もしかしたら、光太郎という人間の統一的な視点が得られるのであれば、それはそれでいい。
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★光太郎が7年間、独居・農耕自炊した7坪半の小屋の内部。見つめていると、吹雪の音が聞こえてくる。
◆今回、はじめて高村祭に参加して、いちばん心打たれ、クラクラとしたのが、光太郎ゆかりの小学校の児童たち、中学校の生徒たち、看護専門学校の生徒たち、地元のサークル会員たちによる高村祭だったことだ。
宮沢賢治学会イーハトーブセンター副代表理事の森三紗氏の特別講演「高村光太郎と宮沢賢治」も、希望をいえば、小・中学生の光太郎に関する学習発表会くらいのほうがいいかもしれない。
また、高村光太郎と宮沢賢治は、まったく別モノとして、切り離して考えたい。
ムリな関連づけは、互いに不幸だ。
◆蛇足になるが、太宰治という人も、統一的に論じる視点を見いだしにくい人だろう(*^_^*)。
わたしは、サラッと、前期(『晩年』『ダス・ゲマイネ』)、中期(『富嶽百景』『老ハイデルベルヒ』)、後期(『斜陽』『人間失格』)と分けてとらえている。
そして、中期の作品群を最も高く評価している(大好きだ(^_^)v)。
他は、関知しない(^_^)vという姿勢だ。
(「高村祭」は、もう少し、つづく。)
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