12月 1日

2020-11-30 16:57:17 | Weblog
                       十二月


     武蔵野は青空がよし十二月          細見綾子


     植木屋の妻の訃知りぬ十二月         沢木欣一


     竹割つて鵜籠つくろふ十二月         栗田やすし


     白目剥く達磨の列や十二月          河原地英武


     本棚の奥まで日差し十二月          下里美恵子


     鰐の背を束子で洗ふ十二月          小長哲郎


     靖國の大樹見てゐる十二月          伊藤範子


     先生ともんじや焼食ぶ十二月         国枝洋子


     雑踏の中の一人や十二月           山 たけし


     藍甕の泡のきらめく十二月          福田邦子


     球根を植ゑて始まる十二月          児玉美奈子


     鎌錆びて軒に転がる十二月          武藤光晴


     へそくりが本を飛び出す十二月        ころころ



          


          



     病める日は病める句をなし十二月       大串 章


     十二月医者に持薬のあることも        飯田龍太


     削るほど紅さす板や十二月          能村登四郎


     味噌送りくれしが便り十二月         石川桂郎


     踊り子と終の電車の十二月          清水基吉


     尼の荷のまことにちさき十二月        黒田杏子


     路地歩く癖はなほらず十二月         谷口桂子




               


                   個人の努力の段階を過ぎた」と言えども密にならない
           
                  手洗い・うがい・そしてマスクの着用で自分と大切な人を守りましょう



     


     
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11月 30日

2020-11-29 18:18:59 | Weblog
                       白菜・山東菜・山東白菜


     白菜の尻つややかに積まれあり       下里美恵子


     白菜を着けこむ庭や湖見ゆる        福田邦子


     四つ割りの白菜山の日に並べ        中村たか


     白菜を供へ明かるき飛鳥仏         沢田充子


     白菜の尻を朝日に並べ干す         国枝洋子


     括られて白菜影を濃くしたり        夏目悦江


     色褪せて白菜畑にころがれり        佐藤きぬ


     大白菜ばさつと割りて縁に干す       青山美佐子


     白菜の四ツ割干せる陣地跡         二村満里子



          



     山の神と云はれ白菜漬上手         渡辺恭子


     灯の洩れるあかるさ拾ひ白菜売       中山純子


     鍋煮立つしゆんと白菜放り込む       星野 椿


     白菜の一山値札つきさして         深見けん二


     白菜を離島の如く採り残す         能村研三


     寄鍋の白菜雪のごとくなり         山口青邨


     水あがる白菜夜雲真珠色          石田あき子



               

                 個人の努力の段階を過ぎた」と言えども密にならない
           
                  手洗い・うがい・そしてマスクの着用で自分と大切な人を守りましょう



     
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11月 29日

2020-11-28 14:55:53 | Weblog
                        日向ぼこ・日向ぼつこ・日向ぼこり


     耳遠くなりしと母の日向ぼこ          栗田やすし


     榾を焚く煙まとひて日向ぼこ          上杉和雄


     クッキーのかけらが膝に日向ぼこ        梅田 葵


     繕ひの針の手休め日向ぼこ           太田滋子


     日向ぼこ億てふ詐欺の話など          山下 護


     棒切れを咥へ新鵜の日向ぼこ          倉田信子


     屋根の上猫うす目して日向ぼこ         花田紀美子


     木目浮く有楽の縁に日向ぼこ          山下智子


     客待ちの靴屋の爺の日向ぼこ          吉田幸江


     百歳の姉の愚痴聞く日向ぼこ          森 妙子


     胸もとにこぼれし黄粉日向ぼこ         鈴木みや子


     縁側に母いつもゐて日向ぼこ          伊藤貴美子



          



     日向ぼこ汽笛が鳴れば顔もあげ         中村汀女


     みどり児の足先ぴんと日向ぼこ         今井千鶴子


     居こぼれて日向ぼこりの尼ぜかな        阿波野青畝


     欲ばりな嫗いつまで日向ぼこ          黒田杏子   


     日向ぼこ頬杖といふ杖もあり          村越化石


     ここに母居たらと思ふ日向ぼこ         下村常子


     人でなくなるだんだんに日向ぼこ        奥坂まや


               

            「個人の努力の段階を過ぎた」と言えども密にならない
           
           手洗い・うがい・そしてマスクの着用で自分と大切な人を守りましょう


               
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11月 28日

2020-11-27 13:53:04 | Weblog
                        冬桜


          冬咲く桜の事・冬桜は十二月から翌年一月にかけて咲く
          白色の一重咲きで木も小さい
          寒桜は緋寒桜のことで彼岸桜の変種



     冬桜野の梅よりも疎なりけり        沢木欣一


     久遠寺の庭にかそけき冬桜         栗田やすし


     山林に一樹明るき冬桜           中山敏彦


     冬桜淡々として影持たず          上田博子


     戦闘機低く飛ぶ町冬桜           国枝隆生


     冬桜咲きて天守の影やさし         金田義子


     冬桜へぼ飯の早や売り切れし        田畑 龍


     冬桜一閑張の盆の艶            安藤幸子


     秩父路の札所巡りや冬ざくら        花村すま子


     読経果て静もる寺や冬桜          牧 啓子


     一山を薄桃色に冬桜            河井久子


     しづもれる湖東三山冬ざくら        栗生晴夫




          



     涵徳亭はや灯点りし冬桜          清崎敏郎


     冬ざくら一枝に一花一蕾          岸田稚魚


     母癒えて言葉少なや冬桜          岡田日郎


     つくづくと淋しき木なり冬桜        角川春樹


     たましいのいくたび撓う冬桜        寺井 谷子


     つぶやきの息にくもれる冬桜        上田日差子


     冬桜三十畳を拭きあげて          夏井いつき



          


           「個人の努力の段階を過ぎた」と言えども密にならない
           
           手洗い・うがい・そしてマスクの着用で自分と大切な人を守りましょう
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11月 27日

2020-11-26 14:19:06 | Weblog
                        マスク

          マスクは三冬の季語ですが、今年に入ってから春も夏も秋もそして冬も
          マスクが手放せない状況になってしまいました
          風邪・インフルエンザだけでなく新型コロナウイルスの感染をたった一枚の
          ウレタン・布・不織布で減少させてくれます しっかり着けて自分を
          周りの人を守りましょう



     宝くじ売場にマスクして並ぶ        栗田やすし


     桃色の大きなマスク遅刻生         河原地英武


     白マスクはづして母の咳き込める      丹羽康碩


     挨拶をマスクの二人目で交はす       中山敏彦


     眉と目の賢く見ゆる児のマスク       服部富子


     終電車マスクばかりを吐き出せり      篠田法子


     マスクしたまま居眠りの三限目       荒深美和子


     女医さんの鼻を隠さぬマスクかな      兼松 秀


     マスクして立ち読みしたり古本屋      与後玲子


     マスクして駅長の目の良く動く       漆畑一枝


     時刻表見るときマスク外しけり       山たけし



          



     マスクしてゐても猫にはわかるらし     北川沙羅詩


     遠くよりマスクを外す笑みはれやか     富安風生


     マスクして少年切に漫画読む        石塚友二


     マスクして人に逢ひ度くなき日かな     稲畑汀子


     マスクして一言居士が樹を撫で       秋元不死男


     修道尼澄める瞳もてるマスクかな      森田 峠


     咳こぼすマスクの中の貌小さし       吉田鴻司



          
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11月 26日

2020-11-25 12:57:13 | Weblog
                        酉の市・酉の町、・三の酉・熊手市


          十一月の酉の日を順に一の酉、二の酉、三の酉となります 酉の日は十二日ごとですから
          六日以降に一の酉があるとその年は二の酉までと言うわけです
          と言うわけで26日は三の酉になります
          昔から三の酉がある年は火事が多いと言われています
          浅草の大鷲神社では三の酉の日にだけ火除けのお札が授与されます
          今年は東京浅草の鳳神社の酉の市、コロナ禍にあり三密を避ける為に
          参拝をするには入場証が必要となりました



     裸火に熊手の千両箱光る          佐藤とみお


     青テント小さき熊手飾りをり        鈴木みすず


     裸灯におかめ眩しき酉の市         森垣一成


     リヤカーに熊手積みゆく酉の市       菊池佳子


     おかめ市ギャルの売子の長睫        武藤光晴


     裸灯におかめ艶めく酉の市         中野一灯


     大熊手掲ぐ女の力こぶ           篠田法子


     丼をはみ出す海老や酉の市         ころころ



          

            神社で頂く掻っ込み(熊手)



     世の中も淋しくなりぬ三の酉        正岡子規


     お多福の一人笑や酉の市          酒井土子


     三の酉母の縫糸買に出て          古賀まり子


     一と二はしぐれて風の三の酉        百合山羽公


     どぜう屋に老の気勢や酉の市        本郷和子


     三の酉舌に冷たき鮨の貝          野沢節子


     横降りの雨の手締や三の酉         金原登志子



          


          


              撫でおかめ

          

        その云われは神社の公式HPによればおでこをなでれば賢くなり
        目をなでれば先見の明が効き、鼻をなでれば金運がつく向かって右の頬をなでれば恋愛成就
        左の頬をなでれば健康に口をなでれば災いを防ぎ、、顎(あご)から時計回りになでれば物事が丸く収まると云う
        おかめはお多福とも言われ福が多く幸せを招く女性の象徴という事から縁起が良いとされ
        酉の市の縁起熊手にも江戸より飾り付けられています。
        おかめとは天宇津女命(アメノウズメノミコト)のことと言われております
        神様なんですね

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11月 25日

2020-11-24 13:55:27 | Weblog
                        三島忌・憂国忌

        11月25日は作家 三島由紀夫の忌日です。三島由紀夫は1925(大正14)年1月14日 東京生まれ。
        1970(昭和45)年の今日、三島由紀夫が楯の会メンバーと自衛隊の市ヶ谷駐屯地に乱入し、
        自衛隊のクーデターを呼びかけて割腹自殺した事件はまだゝゞ生々しく記憶に残っています。享年45歳。
        はや50年が過ぎました
        角川大俳句歳時記には三島忌・由紀夫忌・憂国忌と載っていますが、「貴族趣味の傾向があった三島は、
        俗の文芸である俳句にはほとんど関心を示していない」と触れていました。
        その俳句の季語になるとは思ってもみなかったでしょう



     市ヶ谷に正午のラッパ憂国忌        鈴木みすず


     いてふ散る御幸通りや憂国忌        武藤光晴


     小刀で鉛筆削る憂国忌           菊池佳子


     憂国忌冬の金魚のみじろがず        ころころ




          

            事件のあった陸上自衛隊 市谷駐屯地


     憂国忌初こがらしを浴びせけり       百合山羽公


     三島忌や書棚の奥の古日記         長田一臣


     少年の耳輪の揺れや憂国忌         黒川江美子


     三島忌や空のプールに日の差して      片山由美子


     かけちがふボタンどこまで憂国忌      増田 史


     定型詩ばかりのノート憂国忌        皆吉 司


     爆ぜさうな石榴の一つ憂国忌        近藤明美



           
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11月 24日

2020-11-23 13:45:12 | Weblog
                        一葉忌・樋口一葉の忌日
                     ( 編集の都合で一日遅れの記載になりました )


          11月23日は小説家・歌人として明治期に活躍した樋口一葉(1872~1896)の忌日
          母と妹を養いながら小説家として立つ決意をし、半井桃水の指導を受けながら、
          『闇桜』『たま襷』『別れ霜』『五月雨』などの小説を執筆した。
          『大つごもり』『たけくらべ』『にごりえ』『十三夜』など今も読み継がれる作品や
          多くの和歌を残している。本名 奈津 24歳8か月の短い生涯でした



     荷札小さき古本届く一葉忌            栗田やすし


     竹筒に禿びたる小筆一葉忌            佐藤とみお


     一葉忌暗き三和土のしみ抜き屋          矢野孝子


     百円で甘酒飲めり一葉忌             栗田せつ子


     水仙のやはらかに伸ぶ一葉忌           鈴木みすず


     一葉忌出さずじまひの恋の文           幸村志保美


     路地裏の厨点せり一葉忌             神谷洋子


     あかときの髪の湿りや一葉忌           山本玲子


     短めの鉛筆並べ一葉忌              長崎眞由美


     一葉忌すとんと暮れて飯が噴く          鈴木みや子


     売薬の薬入れ替ふ一葉忌             荻野文子


     一葉忌母にまだある糸切り歯           ころころ



          

            一葉が18歳から21歳まで住んでいた本郷菊坂に生活用水として使っていた井戸
            一葉井戸と呼ばれています



     廻されて電球ともる一葉忌            鷹羽狩行


     一葉忌冬咲く花の鉢並べ             瀧 春一


     惜しまれて消ゆる銭湯一葉忌           吉田京子


     おはじきに入れて貰ひぬ一葉忌          服部くらら


     一葉忌折目を六ツに薬包紙            秋元不死男


     一葉忌濡れ手で緊むる夕の髪           川島千枝


     頼まれし妻の足袋買ふ一葉忌           福永耕二



         
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11月 23日

2020-11-22 16:32:27 | Weblog
                      枯蓮・蓮の骨・枯はちす


     暖かき枯蓮の色日暮れても            沢木欣一


     夫婦住む平穏小池蓮枯らし            細見綾子


     鰻田につづく蓮田の枯れ尽くす          栗田やすし


     夕ぐれの風吹けば鳴る蓮の骨           下里美恵子


     山積みの蓮の骨焚く輪中村            国枝隆生


     蓮枯れて水面の空の細切れに           伊藤範子


     放生池くの字に曲る蓮の骨            廣島幸子


     風に鳴る音の乾けり枯蓮             河村恵光  


     城堀に枯れ初めにけり蓮の骨           大平敏子


     己が影水面に見つめ蓮枯るる           金田義子


     枯蓮を焚く火走れり立田村            金原峰子


     枯蓮田この静けさの身に及ぶ           鈴木みや子


     枯はちす音符のやうな影ゆるる          小澤明子



          



     枯蓮のうごく時きてみなうごく          西東三鬼


     枯蓮の風に押されて独り言            西村和子


     薬師寺や破れぬまゝに蓮枯るゝ          松藤夏山


     蓮の枯極まる朱き浚渫機             岡本 眸


     蓮枯るる弁才天は燭あまた            山口青邨


     蓮枯れて晴れのむら雲姫路城           飯田蛇笏


     氷るには美しかりし蓮の骨            吉田鴻司



          
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11月 22日

2020-11-21 13:38:47 | Weblog
                       返り花・帰り花・狂ひ花・忘れ花・狂ひ咲き


     ぐみの木に返り花あり花川戸        細見綾子


     水戸公の二畳の書斎返り花         栗田やすし


     山の日の翳りやすさよ返り花        下里美恵子


     師の句碑へ登る径の辺帰り花        夏目隆夫


     湖北路や影うすうすと返り花        河村惠光


     返り咲く桜ひと花一揆の地         上杉和雄


     甲斐の武士果てしいくさ場返り花      神尾朴水


     思惟仏に八重山吹の返り咲く        倉田信子


     埋門跡たんぽぽの返り花          掛布光子


     補聴器の姉と筆談帰り花          上田博子


     龍馬駆けし土手に桜の返り花        市原美幸


     吉野への標ほぐるる帰り花         野島秀子


     踏絵見し心鎮むる返り花          牧 啓子



          



     帰り咲くつつじやさしや紅さして      山口青邨


     忘れ花わがマドンナも猫背かな       小原樗才


     いつもこのここの桜の返り花        右城暮石


     たしかなる老木の命返り花         下村梅子


     人ごゑの遠のきゆくや返り花        角川春樹


     帰り花母の言の葉詩に近し         加藤知世子


     茗荷畑ありしあたりか忘れ花        横井也有



          
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