1月 31日

2018-01-31 04:59:01 | Weblog
               ( 芹・芹摘、芹の水・根白草 )



芹摘みし籠を舳先に渡し舟             栗田やすし



長城やみんなみさして芹の水            沢木欣一



芹摘むと風よりひくくかがまりて          細見綾子



田芹摘む鵜山の裾の水明り             下里美恵子



芹青む富士湧水のきらめきに            栗田せつ子



子が摘みし芹一握り白和へに            八尋樹炎



朝粥に散らす丹波の芹清し             都合ナルミ



湧水の甘き匂ひの芹を噛む             武田稜子



芹青む川の水引く寒天場              渡辺昌代



芹摘むやまづ野仏に手を合はせ           関根近子



ふるさとの夕日にまみれ田芹摘む          今泉久子



翔つ鷺の脚より垂るる芹の水            上村龍子



小流れを少し崩して芹を摘む            雨宮民子



畦川の流れゆたかや芹青む             日野圭子



白粥にたつぷり刻む根白草             矢野愛乃


 
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1月 30日

2018-01-30 04:54:12 | Weblog
                (  ものの芽・草の芽・名草の芽  )



観音に瀬音高まる芽木の里            栗田やすし



海越えて芽ぐむものなき野のひかり        沢木欣一



川べりの芽木にふれゆく男の子          細見綾子



虎御前の墓を囲めり名草の芽           下里美恵子



ものの芽に撒くや閼伽井の残り水         内田陽子



風木舎跡ほつほつと名草の芽           栗田せつ子



ものの芽に光の雫とどまれり           国枝洋子



向き替ふる鯉が揺らせり菖蒲の芽         山本正枝



白檀の香焚く御堂牡丹の芽            市江律子



稽古着の舞妓触れ行く柳の芽           東口哲半



靴も下駄も同じ片減り萩芽吹く          山 たけし



ものの芽の明るさに置く乳母車          福田邦子



ものの芽の薄紅にけぶりをり           中根多子



竹馬で猿が踏みゆく名草の芽           谷口千賀子



韮の芽の雨に匂へり陶干場            山本光江



鉄砲狭間欠けし窪みに草芽ぶく          鈴木真理子



名草の芽をちこち生ふる子規の庭         巽恵津子



明日葉の若芽つややか流人塚           高橋孝子




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1月 29日

2018-01-29 04:42:32 | Weblog
                        (  蕗の薹  )



蕗のたう屈みて摘めり石道寺           栗田やすし



蕗の薹見つけし今日はこれでよし          細見 綾子



蕗の薹のせてピアノの蓋くもる           林 徹



小振りなる渋民村の蕗の薹            都合ナルミ



風化仏くちの笑みのみ蕗の薹           山 たけし



子規庵の庭に眩ゆき蕗の薹            長江克江



蕗の薹茎立つ信玄火葬塚             武藤光晴



大富士を仰ぎては摘むふきのたう         谷口千賀子



万葉の径にほほけし蕗の薹            服部鏡子



地震跡の崖の崩れに蕗のたう           上杉美保子



四高跡庭に一群れ蕗の薹             市原美幸



母がりに通ひし道や蕗の薹            栗生晴夫



蕗のたう水の光を満面に             中川幸子



蕗のたう沢音尖る峠道              山下善久



ころげ出しごとくに一つ蕗の薹           片山由美子



蕗の薹踏まれて棟木上りけり            江戸一江

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1月 28日

2018-01-28 08:00:18 | Weblog
               (  甘蔗の花・花甘蔗・砂糖蔗の花  )



海風やまだいとけなき甘蔗の花         栗田やすし



花甘蔗に風のざわめく激戦地          国枝洋子



摩文仁路や日暮れて甘蔗の花白し        儀間千恵子



甘蔗の花真青な空へほぐれけり         砂川紀子



甘蔗の風石敢当に来てまがる          栗田せつ子



甘蔗倒し慣れぬ手付きの旅の人         平 千花子



花甘蔗にニライカナイの風渡る         倉田信子



甘蔗の花うすむらさきに風揺るる        小島千鶴



バス停は高床造り甘蔗の花           高橋孝子



糸数壕出てみな無口甘蔗の花          坂本操子



花甘蔗の風に染糸干されをり          福田邦子
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1月 27日

2018-01-27 04:54:59 | Weblog
                (  枯菊・冬菊・寒菊  )



くくられて冬菊の香の衰ふる         栗田やすし



菊枯るる一本づつが立ちてゐる        細見綾子



枯菊を焚いて父の忌過ごしをり        下里美恵子



枯菊焚く煙の青し東慶寺           矢野孝子



寒菊に淡き日差しや子規の庭         鈴木真理子



枯菊を焚きて匂ひの深かりし         菊山静枝



一張羅の着物着て逝く冬の菊         山 たけし



枯菊を焚く無住寺に人集ひ          森 靖子



冬菊や納屋に鵜籠と薪積まる         坂本操子



枯菊のつよき香放ち折られけり        近藤文子



傾城の墓へ冬菊あふれさす          角田勝代



冬菊の日を溜めゐたる白さかな        梅田 葵
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1月 26日

2018-01-26 04:47:31 | Weblog
                (  日向ぼこ・日向ぼつこ・日向ぼこり  



耳遠くなりしと母の日向ぼこ          栗田やすし



居こぼれて日向ぼこりの尼ぜかな         阿波野青畝



みどり児の足先ぴんと日向ぼこ          今井千鶴子



クッキーのかけらが膝に日向ぼこ        梅田 葵



榾を焚く煙まとひて日向ぼこ          上杉和雄



繕ひの針の手休め日向ぼこ           太田滋子



百歳の姉の愚痴聞く日向ぼこ          森 妙子



日向ぼこ億てふ詐欺の話など          山下 護



棒切れを咥へ新鵜の日向ぼこ          倉田信子



屋根の上猫うす目して日向ぼこ         花田紀美子



縁側に母いつもゐて日向ぼこ          伊藤貴美子



働きし海見て海女の日向ぼこ          森田とみ



日向ぼこ母の小さき背をさすり         垣内玲子



日向ぼこ汽笛が鳴れば顔もあげ          中村汀女



アンパンの臍よりたべて日向ぼこ         安藤涼二
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1月 24日

2018-01-24 04:27:20 | Weblog
                 (  笹鳴・笹子・藪鶯  )



父眠る軍人墓地や笹子啼く           栗田やすし



笹鳴のまことに稚し焼け山に          細見綾子



笹鳴や満月登る富士の肌             澤木欣一



笹鳴の舌の強さよ藪の中             滝沢伊代次



息かけて拭く窓硝子笹子鳴く          清水弓月



笹鳴や句碑に夕日の移り来し          国枝洋子



鳴き移る唐津窯場の夕笹子           八尋樹炎



笹鳴やみどり増したる句碑の苔         梅田 葵



奥宮へ七百余段笹子鳴く            矢野孝子



笹鳴きや御堂の裏の茂みより          松平恭代



畑隅に捨て大根や笹子鳴く           武藤光晴



生垣に笹子来てゐる杓子庵           矢野愛乃



石香炉のみの拝所笹子鳴く           武田稜子



笹鳴や妹と出合す母の墓            舩橋 良



笹鳴や十能の火を書院まで           大峯あきら



笹子鳴く真昼やさしき甲斐の山         飯田龍太
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1月 23日

2018-01-23 06:16:59 | Weblog
               (  雪達磨・雪兎・雪仏・雪像・雪まろげ  



幼子の手に載せてやる雪だるま         栗田やすし



朱の盆に載せて丹波の雪うさぎ          草間時彦



バスを待ち旅の父子の雪まろげ          太田土男



青草のひとすじ混じる雪まろげ         梅田 葵



キャンパスの陰に居残る雪だるま        竹長脩行



産土にのつぺらぼうの雪達磨          奥山ひろみ



雪だるま備長炭のへの字眉           上杉和雄



雪うさぎ郵便受にかしこまる          中野一灯



門前に背丈のちがふ雪だるま          岩本千元



雪兎ほのとうす紅夕あかね           山 たけし



廃校の朝礼台に雪だるま            尾関佳子



雪だるま庭に設けて客招く           牧田 章



雪兎一夜兎になりすます             宇多喜代子



雪うさぎ天よりとんで来たるかな         染谷悦子




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1月 22日

2018-01-22 04:20:23 | Weblog
                (   雪・大雪・雪晴・しづり雪・雪催ひ  )



炉の燃ゆる音や雪夜に眠られず           栗田やすし



行商の荷に油紙能登の雪              沢木欣一



雪合羽汽車に乗る時ひきずれり           細見綾子



みちのくの雪に発つベルまだ鳴れる         中村汀女



谷へ落つ窯神様のしづり雪             矢野孝子



雪霏霏と造り酒屋の一の蔵             石原筑波



尿前の関一面の雪明り               栗田せつ子



ひた登る雪吹き溜まる沢伝ひ            中野一灯



雪分けて摘みしと青菜朝市に            倉田信子



東京の雪を見てゐる十二階             斉藤真人



つるはしで凍雪砕く三之町             市原美幸



雪舐めて鏡花の道のバス待てり           梅田 葵



しばらくは結晶のまま肩の雪            塩原純子



雪となる雨が重たし加賀の夜            江口ひろし



雪折れの松の折れ口匂ひたつ            福田甲子雄



雪踏んで雪より低く寝まりけり           吉田鴻司



雪に生き抜きてその墓も雪囲            能村登四郎



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1月 21日

2018-01-21 03:44:50 | Weblog
               (  寒雀・凍雀・ふくら雀・冬雀  )



青竹の切り口の水寒雀             細見綾子



書庫守に午報明るし寒雀            沢木欣一



日だまりをふくら雀にゆづられて        片山由美子



冬雀父とゐるとき子はしづか           福永耕二



中村座跡日溜りに寒雀             佐藤とみお



寒雀群れ来てさわぐ弁士塚           栗田せつ子



群れてとぶ一茶の寺の寒雀           上村龍子



酒蔵の軒をこぼるゝ寒雀            下里美恵子



船番所趾に弾めり寒雀             関根切子



落柿舎の低き籬や寒雀             河村惠光



寒雀群れて木の葉の舞ふごとし         関根近子



だしぬけに竹叢揺らす寒雀           三井あきを



寒雀雨にたむろす橋の下            石原進子



青銅の屋根に弾めり寒雀            菊池佳子



寒雀弾む牛舎の深庇              中村修一郎



ミシン踏む窓をかすめて寒雀          中山ユキ



観世音寺田へ寒雀あそばせて          吉田鴻司



幼子の忘れスリッパ寒雀            飯田龍太




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