3月 1日 弥生

2020-02-29 14:00:53 | Weblog
                    桃の花・桃畑・桃の村・緋桃・源平桃・花桃


     花桃は、モモの中でも花が特に美しいものを選抜したものですが、
     実桃と異なり、結実しても食用に適した実が成りません。
     又、八重咲の品種では、結実すら有りません。
     実桃の花には花粉が無いものが多いのですが、花桃では、八重咲などの一部の種類を除き、
     大半の品種の花に花粉が有ります。
     其の為、実桃の小規模な家庭栽培では、実桃の受粉樹に花桃を利用することが可能です。
     (果樹としての経済栽培では、受粉樹にも実が成る品種を使います)



     ふだん着でふだんの心桃の花           細見綾子


     お湯割りを好みし師たり桃の花          栗田やすし


     山際は風の袋路桃の花              梅田 葵


     桃咲くや一気にふえし子の言葉          栗田せつ子


     弁慶桃咲けり惟然の住みし庵           丹羽康碩


     嬰の手のいつも万歳桃の花            伊藤範子


     手の平の温きナースや桃の花           武藤光晴


     肩車して花桃の影の中              利行小波


     傷舐める母のまじなひ桃の花           山 たけし


     民話聞く馬籠の宿に桃の花            伊藤登美江


     咲き満ちて夕日あまねし桃畑           夏目悦江


     うす紅に靄ふ山裾桃の村             山下智子


     漆練る小窓明るし桃の花             尾関佳子



          



     うたた寝のわれも杜子春桃の花           森澄雄


     桃の花加へ背負籠ひと揺すり            岡本眸


     人仰ぎ犬駈け過ぐる桃の花             星野立子


     神棚に榊と雛の桃の花               高野素十


     桃咲いて三歳の子の小弁当             林 翔


      旅にして昼餉の酒や桃の花             河東碧梧桐




          



     三月やモナリザを売る石畳           秋元不死男


     いきいきと三月生る雲の奥           飯田龍太
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2月 29日

2020-02-28 13:27:39 | Weblog
                     二月尽・二月果つ


     厨芥車滴り長し二月尽              沢木欣一


     みづうみの水に手ふれて二月尽          細見綾子


     雨あとの畦のもろさよ二月尽           下里美恵子


     杼を通す音軽やかや二月尽            岸本典子


     わが名記す護摩木の炎二月果つ          山下 護


     ママレード琥珀に煮詰む二月尽          岡田佳子


     検診のスリッパ響く二月尽            武田明子


     竹林の濡れて明るし二月尽            中山ユキ


     桟橋に僧衣の二人二月尽             小栁津民子


     座禅堂に干さるる草鞋二月尽           廣島幸子


     二月尽句友と出湯へ一夜旅            山下智子



          



     二月尽利休の心温ねけり             阿波野青畝


     昨日句会ありし畳や二月尽            山口誓子


     瀬の岩へ跳んで銭鳴る二月尽           秋元不死男


     老友の睦むあはれや二月尽            福田蓼汀


     川幅のいくばくふとり二月尽           能村登四郎


     ますぐなる幹に雨沁む二月尽           福永耕二
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2月 28日

2020-02-27 13:05:37 | Weblog
                     ミモザの花・ミモザアカシア・ギンヨウアカシア


     ミモザという植物はありません。あの黄色いぽんぽんの花は、
     アカシアの花です
     正式名称は〇〇アカシアです 〇〇の種類はかなり多いようです
     元々は南半球の植物で雨の少ない地域で生えてるものが多いとか
     (またまたネットの知識です



     ミモザ咲き遠き母との日を想ふ          栗田やすし


     陶房の窓いつぱいにミモザ咲く          下里美恵子


     ミモザの黄女子学院のガラス窓          武藤光晴


     ゴンドラの花嫁抱ふ花ミモザ           溝口洋子


     誕生日瓶にミモザを溢れ挿す           大嶋福代


     ミモザ咲く明るき道を赤子見に          長江克江


     町筋に咲き満つミモザ夕茜            山下善久


     伊豆晴れて海へしだるる花ミモザ         金田義子


     窯小屋の屋根に枝垂るる花ミモザ         沢田充子


     坂の上にひろごる町や花ミモザ          栗生晴夫


     退院の朝ミモザの咲き始む            牧野一古



          
          



     花ミモザ港にクイーンエリザベス         佐土井智津子


     転居してよき隣人と花ミモザ           山田弘子


     ミモザ見てつぎつぎくぐる冠木門         飯田龍太


     水割りの水にミモザの花雫            草間時彦


     青空の喝采浴びし花ミモザ            池田裕子


     野外劇はじまるミモザ降る下に          星野立子


     ミモザ咲く島に醤油屋佃煮屋           谷中隆子




          

     
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2月 27日

2020-02-26 12:34:41 | Weblog
                      チューリップ


     チューリップ喜びだけを持つてゐる          細見綾子


     幼子の一歩踏み出すチューリップ           奥山ひろみ


     チューリップ買ひ衷心の鎮まりぬ           若山智子


     チューリップしばらく蹤いてくる仔犬         山 たけし


     チューリップのみな咲きそろふ日和かな        利行小波


     チューリップつぼむ力のまだありぬ          近藤文子


     露地裏に三頭身のチューリップ            武田明子


     チューリップチェコの花瓶にあふれしめ        村崎妙子


     ひとつだけつんと横向くチューリップ         遠藤齋子



          



     チューリップみんな笑つて写さるる          石川文子


     鉛筆で書く音静かチューリップ            星野立子


     湖を前小便小僧チユーリツプ             阿波野青畝       


     チューリップ散る一片はゴッホの耳          有馬朗人


     はるかなる風車は回るチューリップ          岩崎照子


     アラヂンの火といふチユーリツプ焔上ぐ        山口青邨



          
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2月 26日

2020-02-25 13:32:38 | Weblog
                     野蒜・野蒜摘む


     国分寺跡へのびるを摘みながら          細見綾子


     猪垣の一坪畑や野蒜萌ゆ             中村修一郎


     渡し守畦の野蒜を摘みくれし           栗田せつ子


     大獅子の台座の野蒜つみにけり          平 千花子


     草くぐり来し水音や野蒜摘む           中野一灯


     鈴鹿嶺の風くる土手に野蒜掘る          国枝洋子


     野蒜生ふ長者屋敷の在りし跡           武藤光晴


     蔵王嶺の雲脱ぐ日和野蒜摘む           近藤文子


     野蒜摘む匂ひ漂ふ陶干し場            澤田正子


     七面の氷場跡や野蒜摘む             石川紀子


     晴れ渡る伊吹の裾や野蒜摘む           利行小波


     雨あとの土の匂ひや野蒜つむ           松平恭代



          



     ゆく雲の幅だけ翳る野蒜摘            能村登四郎


     野蒜摘む老婆の爪のひび割れて          夏目雅子


     汗ばみて指美しや野蒜籠             石橋秀野


     野蒜など摘み来てすぐに洗ひ置く         高木晴子


     白鷺の翔び交ふ下や野蒜摘む           石田あき子


     雲影をいくたびくぐる野蒜摘           福永耕二
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2月 25日

2020-02-24 16:47:04 | Weblog
                      黄水仙・喇叭水仙


     そよ風に首振るばかり黄水仙           栗田やすし


     廃れ家の庭に咲きたり黄水仙           中山敏彦


     黄水仙雨に明るき碧の句碑            市江律子


     スキップの稚児の靴先黄水仙           小田二三枝


     黄水仙午後の日差しの柔らかし          大津千恵子


     路地奥の地蔵に供ふ黄水仙            大原悦子


     黄水仙朝日に雫震へをり             中山ユキ


     休日の茶房明るし黄水仙             佐藤喜美子



          



     さきがけの喇叭水仙より糾す           櫂未知子


     黄水仙家の中まで水照りてきて          下鉢清子


     母恋ふておろかに泣けり黄水仙          岡本眸


     半生の手記ぼろぼろに黄水仙           三橋鷹女


     喇叭水仙軍楽隊の楽変はる            平井伊都子


     黄水仙瞠きて咲く殉教碑             中山純子


     喇叭水仙希臘の壷に挿し剰り           草間時彦


     母にだけ言ふ悲しみや黄水仙           野島禎子



               
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2月 24日

2020-02-23 13:18:30 | Weblog
                    馬酔木の花・花馬酔木・あせび・あせみ・あせぼ


     馬酔木は有毒植物の一種で牛馬が食べると痺れて酔ったようになるのでこの名前に
     なったということです。写真は自生のものでピンクの馬酔木は園芸品種です
     一番下にある写真は西洋イワナンテンよく似た花房を付けていますが
     花期は四月初旬です



     人遠し馬酔木の下のくぐり水           細見綾子


     笹小径下る馬酔木の香を浴びて          栗田やすし


     舞姫の歌碑に木洩れ日花馬酔木          上田博子


     山門をくぐる馬酔木の花にふれ          笹邊基子


     花あせび蓑虫庵の縁先に             小田和子


     継ぐ人の絶えし旅籠や花馬酔木          小澤明子


     大寺の畳廊下や花馬酔木             高橋ミツエ


     花あしび池ささ濁る直也の居           井沢陽子



          



     来しかたや馬酔木咲く野の日のひかり       水原秋櫻子


     中尊寺道白珠の馬酔木咲く            秋元不死男


     馬酔木咲く向うで欠伸夢の僧           金子兜太


     月よりもくらきともしび花馬酔木         山口青邨


     奈良の夜は女人の匂ひ花あしび          飴山實


     花馬酔木供へ隠るる行者像            右城暮石


     樒かとまがふ山路の馬酔木かな          河東碧梧桐




          
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2月 23日 天皇誕生日

2020-02-22 14:37:55 | Weblog
                    沈丁花・沈丁・瑞香(ずいこう)・丁字


          家の近くの植物園でも咲きだしました


     母の声思ひ出せずよ沈丁花            栗田やすし


     沈丁花はじめて匂ふ夜の外出           細見綾子


     杖抱いて眠れる人や沈丁花            河原地英武


     沈丁や路地の奥なる地蔵尊            中村修一郎


     昨夜の雨上がりて香る沈丁花           小島千鶴


     沈丁や記憶の母の割烹着             武藤光晴


     沈丁花固き蕾に雨の粒              辻 桂子


     窓少し開け沈丁の風待てり            上杉美保子


     沈丁や夕映え淡き壬生の路地           伊藤範子


     公園の淡きともしび沈丁花            山下帰一


     沈丁の香を曲り来て子規の墓           武田稜子


     黒塀に沈丁の香や神楽坂             多々良和世




          



     こちらむく丁字の風になやましき         阿波野青畝


     沈丁花どこかでゆるむ夜の時間          能村登四郎


     人憶ふ極まりに青丁字かな            岡本眸


     一歩ゆき一歩もどりて丁字の香          星野立子


     疲れゐて沈丁の香をすぐまとふ          加倉井秋を


     沈丁の小枝小枝の花簪              山口青邨




          
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2月 22日

2020-02-21 20:40:11 | Weblog
                    猫柳・えのころ柳


     来て見ればほゝけちらして猫柳          細見綾子


     鵜蹟に下りやはらかき猫柳            栗田やすし


     引き売りの荷に猫柳一抱へ            山下智子


     芦ノ湖の水ひたひたと猫柳            夏目隆夫


     猫柳川はひかりを流しをり            丹羽一橋


     猫柳呆けて川の水にごる             渋谷さと江


     毛先まで光あつめし猫柳             高岸弘子


     水郷の中洲に光る猫柳              市川美智子


     猫柳ほほけ野川の水嵩む             荻野文子


     ねこやなぎ活けて如庵の静もれり         石原進子


     白壁の土蔵住ひや猫柳              水野時子


     旭光や雨だれ弾く猫柳              月光雨花



          



     頁繰る二月の季寄せ猫柳             星野立子


     猫柳女の一生野火のごと             三橋鷹女


     猫柳柴にまじりて金ンの蕊            飯田龍太


     万葉の古江の春や猫柳              水原秋櫻子


     猫柳妻が近づく匂ひあり             加藤秋邨


     猫柳紅さへふくみ銀鼠              山口青邨




          


     
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2月 21日

2020-02-20 15:44:01 | Weblog
                    小綬鶏


     散策の楽しみに野鳥との出会いがあります。人間の勝手で季語になって
     しまっていますが、眼白(夏)翡翠(夏)頬白(春)鶺鴒(秋)鵯(秋)四十雀(夏)等など・・・
     今の季節でも見かけ、その声も楽しませてくれます。
     平日の鎌倉は意外と人も少なく、野鳥を楽しむには最高です。
     時たま草むらからシャシャと掃くような音がします,眼を凝らしてみると小綬鶏が
     草の中を嘴で掻き分け、虫や木の実を漁っています。最初は雉鳩だろうと思って
     いましたが,よく見ると小綬鶏でした。 俳句をするようになって野鳥への感心も
     深まりこれも俳句のまわりを楽しむことなのでしょうね。



     小綬鶏に呼び起こされし寮泊まり         栗田やすし


     小綬鶏の妻恋ひ節のちよつと来い         沢木欣一


     小綬鶏の声つつぬけや絵付小屋          澤田正子


     小綬鶏や黒き砂噴く富士の水           平松公代


     小綬鶏の鋭声響けり政子の井           栗田せつ子


     小綬鶏や日の斑ゆたかに波郷句碑         伊藤範子


     小綬鶏や明治の巡査身じろがず          武藤光晴



          



     小綬鶏に呼ばれどほしや昼の酒          矢島渚男


     はけの径小綬鶏の声せはしかり          佐久間俊子


     小綬鶏や朝日うつろふ旅の膳           下村ひろし


     小綬鶏の鳴く少年の隠れ小屋           中西しげる


     空白み小綬鶏愛を高らかに            林 翔


     小綬鶏や同じ苗字の家つづき           中村幸子
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