9月 1日

2020-08-31 13:05:42 | Weblog
                         風の盆・おわら祭・八尾の廻り盆

          毎年9月1日から3日まで富山県八尾で行われる民族行事。
          風の神を鎮め豊作を祈り,胡弓の音にあわせて越中おわら節を
          躍る男踊り,女踊りの艶やかさは必見です
          2020年は新型コロナウイルス感染拡大防止に伴い、前夜祭を含め中止となりました
          中止となるのは1945年の第二次世界大戦が終戦した年以来という事です



     飛騨やまめ焼きし母者よ風の盆         細見綾子


     街裏に瀬波の白き風の盆            沢木欣一


     少年が真顔で踊る風の盆            沢田充子


     雪洞の灯のやはらかし風の盆          武藤光晴


     編笠に後れ毛靡く風の盆            坪野洋子


     踊る手のしなやかに伸び風の盆         大石久雄


     簪のやや揺れてをり風の盆           三井あきを


     風の盆果てたる闇に水の音           奥山ひろみ


     手を合はす指しなやかに風の盆         新野芳子


     網笠を買ふて加はる風の盆           山口登代子




          



     月の面に風の彩ある風の盆            岡本 眸


     土不踏高く上らず風の盆             阿波野青畝


     加はりし胡弓の咽ぶ風の盆            清崎敏郎


     町裏の灯なき吊橋風の盆             野澤節子


     月に見せむと爪立ちて風の盆           鷹羽狩行


     日ぐれ待つ青き山河よ風の盆           大野林火




          
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8月 31日

2020-08-30 13:35:12 | Weblog
                         南蛮ギセル・思草・おらんだぎせる・きせる草


     おらんだぎせるといふ花ありし絹の径      細見綾子


     思草触れば横にくび振れり           河原地英武


     きせる草伊良湖港の岬山に           夏目隆夫


     万葉の径の静けさ思ひ草            国枝洋子


     南蛮ぎせる庭の芒に潜み咲く          山口茂代


     うす紅のひしめき合ひて思ひ草         福田邦子


     咲き残る南蛮煙管紅の濃し           上田博子



          



     思草いろをはじめのいろはうた         森 澄雄


     額に皺よせて南蛮煙管かな           川崎展宏


     穂すすきにむらさきにじむ思ひ草        石原八束


     重ね着のいちばん下は思草           直江裕子


     異草にまぎれてかなし思ひ草          富安風生


     夜々を咲くなんばんぎせる芸者の死       高井北杜


     姨捨やいつも横向く思ひ草           栗原春人



          
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8月 30日

2020-08-29 14:56:22 | Weblog
                        時鳥草・杜鵑草・油点草・ほととぎす


     はなびらに血の斑ちらしてほととぎす      沢木欣一


     いかるがに青々句碑や杜鵑草          山下智子


     子規庵の小庭に群るる杜鵑草          武藤光晴


     一坪の庭に群生杜鵑草             夏目悦江


     句屏風を背に水盤の杜鵑草           服部冨子


     杜鵑草その紫の絞りかな            中川幸子


     聳え立つ石の如来や杜鵑草           武藤けい子



          

             やまじのほととぎす



     水に映りて斑をふやす杜鵑草          檜 紀代


     むらさきの後れはとらじ油点草         後藤夜半


     かすかなる山姥のこゑ杜鵑草          小檜山繁子


     幾度も雨に倒れし油点草            稲畑汀子


     禅寺に青い目集ふ杜鵑草            蕪木啓子


     あるじなき後のつくばひ時鳥草         佐藤鬼房



          
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8月 29日

2020-08-28 15:28:50 | Weblog
                        秋海棠・断腸花・相思草・瓔珞草・八月春

          中国の「採蘭雑誌」に描かれている「断腸花」の由来
          昔、さるところに、美しい婦人がいた。この女性には誰にもまた何物にも換え難い思慕する男性があった。
          そして毎日の逢瀬を楽しみに待っていたのであったが、故あってその彼氏はどうしても訪れることが
          できなくなった。それを知らずに、婦人は今日は見えるか、明日は姿が、と北面の墻に待ちあぐんでいた。
          そして日ごとにそそぐ断腸の涙がいつか凝って名も知らぬ草が生え、その草の花の紅色が、その緑の葉に
          映ってまことに美しく、やさしく、ちょうどこの美しい女性にも似ているので、誰いうとなく断腸花と
          呼ぶようになった。’  ( サイトから知識お借り致しました )


     女去つて秋海棠の茎紅し            沢木欣一


     描き遺す妻の裸婦像断腸花           上杉和雄


     忌の近き子規の机に秋海棠           岸本典子


     秋海棠映る池面に浪のしわ           清水弓月


     秋海棠赤し足助の典籍屋            掛布光子


     子規の忌が近し病間に断腸花          小島千鶴


     醒ヶ井の戸毎に水場秋海棠           山本悦子


     子規の庭秋海棠の咲き初むる          福田邦子


     秋海棠子規自画像の口の紅           中村たか


     秋海棠瀬音高まる城下町            早川文子


     秋海棠咲くばかりなり尼の寺          小栁津民子


     秋海棠薄くれなゐの水走る           谷口由美子




          



     秋海棠まだ降りたらぬ空の色          中野千代


     雨ながら朝日まばゆし秋海棠          水原秋櫻子


     断腸花飛鳥に石のものがたり          大嶽青児


     美しく乏しき暮し秋海棠            富安風生


     声あげて滝の伸びゆく秋海棠          角川春樹


     断腸花いい服を着て別れよう          星野石雀



          

               断腸花妻の死ははや遠きこと          石原八束
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8月 28日

2020-08-27 13:55:38 | Weblog
                         赤のまま・赤のまんま・犬蓼の花


     赤ままの花摘み集め何とせん          細見綾子


     赤のまま慰霊の丘に吹かれをり         下里美恵子


     良寛の行乞の地よ赤のまま           伊藤旅遊


     湿原の風たをやかに赤のまま          国枝洋子


     赤まんま子供神輿の通る径           武藤光晴


     硫黄山裾に根付きて赤のまま          近藤きん子


     赤のまま色を濃くせり婚の家          太田則子


     高札の薄れし文字や赤のまま          鳥居純子


     赤のまま活くる丹波の小さき壺         服部満代


     ままごとのひとりあそびや赤のまま       菊山静枝


     赤のまま行けし書店に人体図          井沢陽子


     箱根路に雲助の碑や赤のまま          新川晴美



          



     犬蓼もはなだちそろふ芋畠           飯田蛇笏


     山寺の咲くだけふえて赤のまま         高浜きみ子


     犬蓼の花にてらつく石二つ           村上鬼城


     山の田は作らず売らず赤まんま         影島智子


     犬蓼にちりちりと陽が谷底まで         川崎展宏


     ゴム長を穿きてふるさと赤のまま        右城暮石


     われ黙り人話しかく赤のまま          星野立子



          
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8月 27日

2020-08-26 13:27:11 | Weblog
                         野菊・野紺菊・紺菊・野路菊・油菊


     谿流が石噛むところ野菊咲く          細見綾子


     洗ひたるジーンズ硬し野菊晴          櫻井幹郎


     落人の里や野菊の吹かれをり          福田邦子


     大滝の上はせせらぎ野菊咲く          加藤百世


     野紺菊一輪絵島の文机に            橋本紀子


     せせらぎの万葉古道野菊晴           武藤光晴


     分校を浸せるダムや野紺菊           山たけし


     匂ひ濃き畑の野菊を刈り残す          藤田岳人


     野紺菊砂浜に靴踏み込めり           安藤幸子


     野菊咲く古き砦のかまど跡           熱海より子


     端座する良寛像や野菊晴            小栁津民子


     親牛に仔牛寄り添ふ野菊晴           大津千恵子


     野菊晴鐘ひびき来る入鹿塚           清原貞子



          



     切株が坐れと二つ野紺菊            太田土男


     土うすき岩の対島の野紺菊           林 翔


     雨粒のときどき太き野菊かな          中村汀女


     やすやすと亡母の齢くる野紺菊         つじ加代子


     らんぼうに野菊を摘んで未婚なり        秋元不死男


     帆船や野菊は風の中にある           夏井いつき


     朗々と深山野菊の花の渦            飯田龍太




          
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8月 26日

2020-08-25 16:22:43 | Weblog
                        冬瓜・冬瓜汁・かもうり


     北京の宿冬瓜汁のうすみどり          細見綾子


     冬瓜の味の薄さよ坊泊り            中山敏彦


     小ぶりなる冬瓜買へり寺の市          石原進子


     朱の椀に透く冬瓜のうすみどり         船橋 良


     朝採りの冬瓜土間に転がれり          三井あきを


     裏畑に冬瓜育て坊の妻             佐々木美代子


     冬瓜の透けて煮上る夕の雨           中山ユキ


     朝採りの冬瓜供ふ飛鳥仏            倉田信子


     夫の手を借り冬瓜の二つ切り          橋本佳子


     忌を修す母の好みし冬瓜汁           日野圭子


     酔ひ醒めに冬瓜汁の冷め加減          夏目隆夫



          



     うすくもる日の冬瓜に細き火を          正木ゆう子


     坐りよき冬瓜を乗せ猫車             本宮哲郎


     冬瓜や補陀落浄土ここにあり           角川春樹


     どこ叩きても冬瓜の貌なりし           上田 操


     冬瓜のひとつがふさぐ野菜籠           和田 祥子


     嫁の座といふ冬瓜のごときもの          奥坂まや


     冬瓜を置ひに鼓楼をくぐりけり          有馬朗人 



          
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8月 25日

2020-08-24 14:42:44 | Weblog
                      梨・ありのみ・梨売・ラフランス・長十郎・二十世紀


     荷の着きてより洋梨のかをりかな        細見綾子


     梨売りの頬照らし過ぐ市電の燈         沢木欣一


     洋梨に子のてのひらの温みあり         河原地英武


     特攻の基地たりし畑梨熟るる          篠田法子


     棚低し跡継ぎの無き梨畑            兼松 秀


     豊満な土偶の腰やラフランス          三井あきを


     梨椀ぐや特攻兵を生き残り           奥山ひろみ


     棚低し跡継ぎの無き梨畑            兼松 秀


     手のひらに梨の重さの残りけり         加藤ゆうや


     子を叱る後の空しさ梨をむく          安藤幸子




          



     幹二股三股と奥へ梨たわわ           古沢太穂


     長十郎この重たさが友の情           中嶋秀子


     どこまでも話反れつつ梨甘し          中村汀女


     大山の月さしてきし梨番屋           由木みのる


     梨食うてすつぱき芯に至りけり         辻 桃子


     梨棚のこごみ歩きを子に抜かれ         鷹羽狩行


     洋梨が版画のやうに置いてある         長谷川櫂




          



          今日はころころのブログの特別な日
          「この味がいいねと君が言ったから 七月六日はサラダ記念日 」
          では有りませんが ころころのブログ記念日です
          2005年8月25日から途中何度も中断がありながら今日まで
          よく続けられたと・・でもそれは絶対に読んで下さる友人や
          俳句仲間やブログ仲間の励ましのお陰です 
          感謝の気持ちでいっぱいです ありがとうございました
          仕事仕舞もほぼできたし、もう少し好きな俳句を発信しながら
          続けていきますので 今後ともお付き合い下さい
          そして今日は父の命日
          お盆の前に家族でお墓参りを済ませました




          
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8月 24日

2020-08-23 13:22:23 | Weblog
                        秋の灯・秋灯・灯下の秋


     啄木の間借りの二階秋ともす          栗田やすし


     愛情や秋灯いずれも格子中           沢木欣一


     古書店の床板きしむ秋燈下           河原地英武


     秋灯生涯学ぶ側にゐて             櫻井幹郎


     秋の灯に影あはあはと女身仏          国枝隆生


     秋ともしガレの花瓶のまろき肩         鈴木みすず


     紅型の栞のぬくみ秋ともし           伊藤範子


     背を丸め日記書く子や秋灯下          太田滋子


     秋灯や細字に弱くなりたる眼          上杉美保子


     階の艶めく旅籠秋ともし            山下善久


     秋ともしひとり降り立つ無人駅         小島千鶴


     タンゴ聴く神田の茶房秋ともし         中野一灯


     燈下親し頭寄せ合ひ楽譜読む          奥山ひろ子


     秋灯や行李の底に母子手帳           武田稜子



          



     ひとつ見えて秋燈獄に近よらず         秋元不死男


     秋の燈が漁家より海へ乗り出す         山口誓子


     秋燈のま下にくぎる小衝立           星野立子


     秋の灯のほつりほつりと京の端         日野草城


     声かけてともす秋燈母は亡き          古賀まり子


     秋灯やどこか痩せたる街の貌          岡本 眸


     黍高く秋燈孤なる家かなし           富安風生



          


     


     
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8月 23日 処暑

2020-08-22 14:57:51 | Weblog
                        ばつた・精霊ばつた・きちきち・米搗ばった・はたはた

          バッタ目バッタ科の昆虫の総称。
          トノサマバッタ・ショウリョウバッタ・クルマバッタ・ショウリョウバッタモドキ
          など主にこの種類です
          バッタは旧約聖書にもその蝗害(サバクトビバッタ)があるほど
          古くから現代にいたるまでその命をつなぎ続けてきています

          ☆ 立秋から後15日目の処暑です 二十四節気の一つ 暑さが落ち着く時期の意



     いつせいに大ばつた飛ぶ甘蔗畑         栗田やすし


     はたはたの飛びしうす羽の曇りかな       細見綾子


     横ざまにきちきち空を飛んで来し        河原地英武


     朝市の青菜よりとぶ大ばつた          栗田せつ子


     足元を飛蝗跳び交ふ古戦場           上杉和雄


     きちきちの草より淡き翅つかふ         梅田 葵


     ばつた跳ぶ草の雫をはねとばし         国枝洋子


     腕白でありし故郷ばつた飛ぶ          武藤光晴


     都府楼趾前後左右にばつた飛ぶ         谷口千賀子


     赤錆びの魚雷にばつた跳びつけり        武田稜子


     首塚の背より跳び立つ大飛蝗          宇野美智子


     夕暮れの鵜河原に跳ぶ青バッタ         小島千鶴



          



     はたはたに蹴られて風のたなごころ        秋元不死男


     蝗ばつた彼岸の野川流れたり           臼田亞浪 


     きちきちに骨の音する山河晴れ          野澤節子 


     ばつた翔つ弧の入りまじる中をゆく        八木絵馬


     大名ばった千姫の墓つかみをり          稲荷島人


     一跳びに精霊ばつた日の央(まなか)       宮坂静生



                  
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