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ノーベル賞:医学生理学賞に山中伸弥氏

2012-10-08 22:10:41 | Nonsense
今日、スウェーデンのカロリンスカ研究所は、今年度のノーベル医学生理学賞を、京都大iPS細胞研究所長の山中伸弥教授と英ケンブリッジ大のジョン・ガードン博士に授与すると発表した。授賞理由は「成熟した細胞を、多能性を持つ状態に初期化できることの発見」。山中氏は06年に、マウスの皮膚細胞に4種類の遺伝子を入れることで、あらゆる組織や臓器に分化する能力と高い増殖能力を持つ「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」を作り出すことに成功した。
再生医療や難病の仕組みの解明などにつながる革新的な功績が受賞理由だと思うが、選考委員会が何よりも評価したのは”iPS細胞が基礎生物学に与えた衝撃”だそうだ。
新聞の片隅の小さな報道で初めて人工多機能肝細胞作成の成功を知った時は、まるでSF小説のような話に驚いた記憶は、今でも鮮明で忘れない。これが本物だったらきっとこの方は、人並みに長生きすればいつかノーベル賞をとれるとその瞬間思ったのだが、最初の成果が米科学誌に掲載されてから6年余りとは、かなり早かったのではないだろうか。

さて、これまでのアーカイブでおさらい。
ES細胞のあらたなる研究成果
ips細胞開発の山中教授 引っ張りだこ
・「iPS細胞 ヒトはどこまで再生できるか」
・NHKで報道後、緊急出版された「生命の未来を変えた男」

山中博士の研究目標は、難病治療に役立てるためという人類共通の希望があることからも、今般の快挙に発明の内容からも受賞は当然だとしても、日本列島は久々にあかるいニュースにわいた。しかしながら、喜んでばかりもいられないのが日本の研究事情。当初から、間違いなく名誉は山中氏にもたらせられるだろうが、実際の果実は海外の研究所に渡るとささやかれていた。ips細胞を利用した特許を海外勢におさえられてしまったら、せっかくの研究成果も肝心の治療では日本人は高額で利用できないか、利用できても収益は海外に渡ってしまう。米国では再生医療研究の10倍、海外の研究所も数倍の研究予算で急ピッチですすめている。こうした危機感から山中氏は講演活動などで何度も研究への理解を訴えてきていた。日本の研究資金は、現在、ジリ貧状態だ。その中でも山中氏の研究所は最大50億円の支援があるが、それも13年度末には終了するそうだ。その一方で、選択と集中で資金をiPS細胞研究所に集めたあおりで、他の研究室の資金がなくなり、せっかく良い研究をしていた若い研究者がはじきだされたと読んだ記憶がある。受賞をきっかけに、日本の基礎科学全体の底あげを、本気で考えなければいけないのではないだろうか。

「私たちの本当の仕事は、しっかり研究を進め、iPS細胞の医療応用を果たすこと。これからも本当の仕事を進めていかなければならないと思った。難病を持っている患者さんには、希望を捨てずにいてほしい」と決意を語っていた。この言葉のもつ意味をもう一度かみしめて。

■もうひとりの候補者
遠藤章氏にラスカー賞


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