to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

この道は母へとつづく

2009-10-23 23:05:07 | the cinema (カ行)
ほんとうのママに会いたい──
原題 ITALIANETZ/THE ITALIAN
製作年度 2005年
製作国・地域 ロシア
上映時間 99分
監督 アンドレイ・クラフチューク
出演 コーリャ・スピリドノフ マリヤ・クズネツォーワダーリヤ・レスニコーワユーリイ・イツコーフニコライ・レウトフ

顔も知らない母親を探し求めた少年の実話を、ロシアの新鋭アンドレイ・クラフチューク監督が映画化した感動作。
ロシアの孤児院で暮らす6歳のワーニャ(コーリャ・スピリドノフ)は、幸運にも養子を探しに来たイタリア人夫婦に引き取られることになる。院の仲間たちからの嫉妬(しっと)と羨望(せんぼう)のまなざしを浴びる中、「引き取られる前に、一目でいいから本当のママに会いたい」という気持ちを募らせた彼は、実の母親を探しに孤児院を脱走してしまう。

フィンランドとの国境近くの孤児院に向かう一台の車には二組の男女が乗っていた。
一組は仲睦まじい夫婦であることは窺えるが、もう一組の、というよりもう一人の女性がなにやら不安を煽る。
そう、、彼女は孤児を子のない裕福な夫婦に斡旋して高額を得る業者だった。

お金持ちの家に貰われる子は幸せ―
そのチャンスに恵まれないまま大きくなった子供たちは、子供だけで稼ぎ、自分たちのルールの中で働き、生きていくしかない。
それはまた、大人の社会の構図を真似たシステムにもなっている事が丹念に描かれている。

その幸運なチャンスに恵まれた6歳の少年ワーニャは、イタリア人夫婦の養子になると言うことから、
早速"イタリア人"と呼ばれることになる。
からかいに見えるそのあだ名の裏には、院に残る子供らの羨望と嫉妬が混じっている。
ここに留まり大きくなれば、犯罪に手を染めながら生きていく運命なのだから....。

大人しく賢いワーニャが、その頃起きたある出来事を境に、記憶にもない自分の母に会いたくなり、
一生懸命に知恵を絞り「そのために先ず何が必要なのか」数々の障害もあるものの
一番に必要な勇気は持っている。
そして始まる"追跡"を逃れながらの冒険の旅!

執拗に追ってくる"マダム"と、その運転手。
これが怖いのです~。黒い車体が視界に入るだけでドキドキ
僅か6歳の少年が、ひと目だけでも母に会いたい一念で数々の危機にも臆せず、
温かな見知らぬひとの援けを受けながら、ただひたすらその道を進みます。

先ず、自分の名前は誰が付けたのか?
母は自分の子が"ワーニャ"であると知っているのか?
訪ねる母の名前は何というのか?に始まる孤児の事情など、
舞台となるロシアの社会における貧しい孤児たちは、度々テレビなどで取り上げられ、
過酷な環境でも逞しく生きていく子供たちは目にしているけど、
重いばかりではない、ワーニャの物語。
どんな人の中にも流れている温かなものも描かれていて、そのラストもいい

この作品に登場するほとんどの孤児は素人で、みんな孤児院の子供だそうです。
だから、なのか、
養子に選ばれなかった子供たちの瞳に宿る悲しみや羨望が、とてもリアルでした。
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