「中等度認知症」は、脳の司令塔である「前頭葉」の働きが「軽度認知症」のときより更に異常なレベルに加速度的に衰えてきている上に、「軽度認知症」のときは未だ正常だった「左脳」と「右脳」の働きも異常なレベルに衰えてきていて、「脳全体の働き具合」が異常なレベルになっています。
脳全体の衰えが「軽度認知症」の時に比べて加速度的に速まるので、「症状」の出方の程度や幅も広く深くなります。中ボケは、小ボケ(MMSの換算値は、24点以上)と大ボケ(MMSの換算値は、14点以下)の中間にあり、むしろ中ボケの前期と後期とに区分」した方が「症状」も判定し易いのです。MMSの換算値が20点以上であれば、「集団の中での脳リハビリ」でも効果があるのに対し、20点を切ると手間暇コストの負担が相当に必要な「個別の脳リハビリ」でないと効果が期待できなくなります。20点以上と19点以下との間のたった1点の差なのに、回復の可能性という視点からは、ここに深い溝があるのです。「中等度認知症」(中ボケ)の脳の働きは、4~6歳児のレベルと考えて下さい。
「中度認知症」(中ボケ)の段階だけに認められる「特有な症状」には、こんなものがあります。
4つ以上に○が付くときは、中等度認知症(中ボケ)を疑うことになります。
□ 日付けが分からなくなり、何度教えても今日が何日なのか、何年なのか、何月
なのかが言えない
□ 電気の消し忘れ、ガスの消し忘れ、水道の蛇口の閉め忘れなどが目立つ
□ 行き先が違う便に乗る、行き道を間違える、慣れている所に行くのにも間違う
などといった「間違い」が、しばしば起きる
□ 身だしなみに無頓着になり、やたらと重ね着になったり、前後、裏表など着方
がいいかげんになる
□ 洗濯物の整理、食後の片付けなど、以前はできていた家庭内の簡単な用事
もきちんとできない
□ 自分が飲まないといけない2~3種類の服薬管理ができないので、家族が注
意する必要がある
□ パジャマや寝巻きを着たまま、平気で表に出て行くようになる
□ 「塩辛すぎる」など料理の味付けがおかしくなり、周りが食べられない程なの
に、本人は平気 でそれを食べる
□ お金や持ち物のしまい場所をすっかり忘れてしまい、一日中探して騒ぐ
□ 財布や通帳を自分がどこかに置き忘れ、盗まれたといって騒ぐ
□ 季節違いの服装をしたり、特別な目的であってもそれに合った服が選べない
□ 便器の周りが汚れても、流していないなど、トイレの後始末ができていない
□ 他人のものでも平気で持って帰ってくるようになる
□ 昨日の出来事でもすっかり忘れて、買い物や食事に行ったことも覚えていない
注1) アルツハイマー型認知症の場合、「時の見当識」は、「日」、「年」、「月」、「季節」、「昼夜」の順に衰えていきます。
中ボケの前期の段階(MMSの換算値が23点~20点)で「日」と「年」が分からなくなります。中ボケの後期の段階(MMSの換算値が19点~15点)になると「月」も分からなくなります。
大ボケの前期の段階(MMSの換算値が14点~11点)で「季節」も分からなくなり、後期の段階(MMSの換算値が10点以下)になると「昼夜」さえも分からなくなります。
注2) 上記の症状は、認知症の中ボケの症状であって、アルツハイマー型認知症であるかどうかの判定は、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。)の機能レベルの判定及び「脳機能の衰え方のパターン」の判定を基礎とした、「二段階方式」による別のチェックが必要です。
次回は、「重度認知症」に特有に見られる症状について整理したものを報告します。確定的な診断の基準にはなりませんが、一応の目安としては利用できるはずです。
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