「家政婦のミタ」「女王の教室」といった話題作を多数手がけて注目された脚本家・遊川
和彦の映画監督デビュー作です。重松清の小説「ファミレス」を遊川自らが脚色し、熟年
離婚が当たり前になった現代で、子どもが独り立ちした後の夫婦がどのように向き合っ
ていくのかを、コミカルかつハートフルに描いています。
中学校教師で優柔不断な夫・陽平を阿部寛、専業主婦として家庭を切り盛りしてきた、し
っかり者の妻・美代子を天海祐希が演じる正反対性格の夫婦役が見ものです。
この監督はデビュー作というのに中々スマートな演出と展開で最後まで楽しく見ました。
阿部寛と天海祐希がいいし、脇もガッチリと決まっています。なにげない普段の夫婦生活
や周囲の人たちとの接し方も面白いし、加えてワイド画面を生かした撮影も見事。この新
人監督中々やります。惜しむらくは前半でナレーションやモノローグが多いのが気になり
ましたが、画像から想像させる工夫があっても良かったのではないでしょうか。吉田拓郎
の「今日までそして明日から」を劇中とエンディングに上手く利用しています。少ししばか
りテレビ的な作品かなとは思いますがお薦めです。