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古い時計

 結婚する時に妻がプレゼントしてくれた腕時計がずっと行方不明になっていた。時々思い出して探してみたが、どこにしまったのか、見つからずに来てしまった。
 そんな時計を最近妻がたまたま見つけ出した。30年近く箪笥の隅に隠れていたようで、もちろん動いていないし、ベルトもカビが生えていてとても使えそうもない。しかし、なんと言っても思い出の品、直してもらえないだろうかと、市内の時計屋に持って行ったところ、
「たぶん動きますよ。10間くらい時間を下さい」
と結構簡単に引き受けてくれた。よかった。

 で、約束通り、10日経ったら電話がかかって来て、
「直りました」
と言われたので取りに行った。ベルトも交換して、二万円の修理代を払って来た。



 なかなかいい感じ。手動式なので、毎日ネジを巻くのもなかなか楽しい。正確に動いているので、直してよかったと思っていた。しかし・・。
 
 昨日の朝、出かけようと時計とスマホを手に持って外に出たところ、どうした拍子か、時計が手から滑り落ちて、玄関先のタイルの上に落ちてしまった。ワッと慌てて拾ったところ、ガラスに傷がついていなかったので、何事もなかったと思ってホッとしたのだが・・。 15分くらい経って時計を見たら、時間が合っていない。
「今、何分?」
と妻に聞いたら、やっぱり針が進んでいない。えっ?止まったの?
 よく見たら、小さな秒針が動いていない。と言うことは、時を刻むことができなくなってるということだ。ヤバいなあ!

 ここからが私の愚かなところ。トントン叩いてみたら動くかなあ?と昔よくやった方法でうまく行くかも、という間抜けさで軽く何回か時計の裏側を叩いてみた。どうだ?と思って時計を見たら、なんと、秒針が外れてしまった!!なんてことだ!!



 その後、また時計屋に行って事情を話して、直してもらうように頼んできたが、今日になって電話がかかって来た。
「昨日の時計のことですけど、強く落とされた?」
「いや、するっと落ちたって感じですけど。下がタイルだったから衝撃はあったのかなとは思いますが」
「秒針が折れてしまっていて、部品を探してるんですけど、古い時計だから見つからないかもしれないんです。もし、見つからなかったら、直せないってことですけど、それでいいですか?」
「もちろんです」
「では、またしばらく時間ください。部品を探してみますので」
「はい、よろしくお願いします」

 直るといいけれど。しかし、本当にバカだなあ、私は・・。

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