古田史学とMe

古代史を古田氏の方法論を援用して解き明かす(かもしれない…)

石井公成氏のブログ記事について

2022年07月24日 | 古代史
石井公成氏は駒澤大学の現名誉教授ですが、そのブログで以下のような記事を書かれていました。https://blog.goo.ne.jp/kosei-gooblog/e/3d463d60c2daa60bff6018a6f0ac7b9b
私は氏のブログをかなり以前からフォローしており、それは氏の論が基本的に有用なものと考えているからです。しかし最近の記事で(といってもこの記事は昨年の9月のものでありかなり前になってしまいましたが)、古賀氏を批判した中でついでのように当方の論について以下のような書き方をされていて違和感を感じました。
以下抜粋
「…会員の一人が、「勝鬘」とあるのでこの文書の筆者は女性だろうと述べ、古賀氏も、また古賀氏同様に聖徳太子についてトンデモ説を書き散らしている他の会員も、その意見に賛成だそうです。
 しかし、聖徳太子は、奈良時代には天台宗を開いた天台大師の師である南岳慧思の生まれ代わりとされ、後には観音菩薩の化身だとか、聖徳太子が講経した『勝鬘経』を説いた菩薩である勝鬘夫人の生まれ代わりという伝説も生まれました。「斑鳩厩戸勝鬘」という署名は、それを反映したものです。鎌倉時代にこの文書を見た人たちの多くは、偽作だと思わずに信じたでしょうが、「斑鳩厩戸勝鬘」というのは「厩戸皇子=聖徳太子」だと受け取ったはずであり、女性だなどと考えた人は一人もいないはずです。…」

「…勝鬘夫人の生まれ代わりという伝説も生まれました。…」とされていますが、素直に考えると「生まれ変わり」とするなら前世と生まれ変わりした人物は同性であると考えるのが普通です。にも関わらず「聖徳太子」が「勝鬘夫人」の生まれ変わりという伝承があるのですから、それは「厩戸勝鬘」という人物が実際に存在しており(ただし「聖徳太子」ではなく)その人物が女性であったとき初めて起こりうる伝承(現象)なのではないでしょうか。
 氏は「厩戸勝鬘」という署名が現実を表しているものではないと受け取ることのできる書き方をしていますが、彼女が「架空」の存在とするならその根拠を示す必要があるでしょう。偽伝承が多く生まれたとしてもこれがそうだと断定する根拠は別途必要と考えます。
私見では「厩戸勝鬘」という人物が実際におり、その人物が「女性」であったからこそ「勝鬘夫人」の生まれ変わりという伝承が生まれたのだと考える方がよほど筋が通っているのではないかと考えます。
つまり後代の伝説化がなぜ進行したかを考えた場合、「厩戸勝鬘」という女性がいたことが「誤伝承」の発生要因として重要であって、彼女が「斑鳩厩戸」という名前を持っている(共有している)ことから「聖徳太子」と混同されたものと推測します。

いずれにせよ、私の主張はここhttps://blog.goo.ne.jp/james_mac/e/13302ed4c6dd940bc17f82ceef85b9a1に書きましたが、基本としては「厩戸勝鬘」なる人物は「聖徳太子」ではないとみているわけですが(その方が後の伝承の発生を説明しやすい)、それはともかく「批判」するのであるなら当人の書いたものやブログを参照するぐらいのことはするべきではないでしょうか。他人のブログは見ないのかもしれませんが、それならそもそも「コメント」するべきではないのは当然ではないかと思われます。

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