尊富士が押し倒しで豪ノ山(左)を破る (カメラ・馬場 秀則)
東前頭17枚目・尊富士(たけるふじ、伊勢ケ浜)が、西前頭6枚目・豪ノ山(武隈)を押し倒しで破って13勝2敗とし、1914年5月場所の両国以来、110年ぶりの新入幕優勝を決めた。2敗目を喫した前日14日目の取組で右足首を負傷。車いすで花道を引き揚げ、救急車で病院に運ばれるほどだったが、千秋楽に強行出場。3敗で追っていた西前頭5枚目・大の里(二所ノ関)の逆転が不可能となり優勝が決まった。 【写真】前日に右足を負傷し、車いすで運ばれる尊富士 NHKの大相撲中継では、弟子の大一番を師匠の伊勢ヶ浜親方(元横綱・旭富士)が解説し「よく自分から攻めましたね。気持ちが強いですよね」と、ほめた。 尊富士の右足首について「(本来なら)無理でしょうね。靱帯(じんたい)が伸びてますから」と説明。前日、尊富士が部屋に戻ってきた際は「ちょっと無理です」と言われたが、夜になって「やっぱりやりたい」と変化したという。親方は「歴史的にも大変な一番。止められないでしょう。これを止めたら後悔するだろうし、止められた方も後悔するだろう」と出場を許可した。けがを乗り越えての快挙に「気持ちはぐっと来てます」と感慨深げだった。