語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【本】日本は英国の経験に学べ ~『イギリス近代史講義』~

2017年12月07日 | 批評・思想
★川北稔『イギリス近代史講義』(講談社、2010)

 日本経済は、相対的に衰退している。米国経済は力強く、中国やインドなどの新興国の成長率も高い。2000年代の「小泉構造改革」の手本は、1980年代の英国におけるサッチャリズムだった。
 当時、ロンドンではなぜ英国が長期衰退の道を歩んだのかについての歴史の研究が盛んだったという。例えば、産業革命で発展が続いた19世紀の英国では、貿易で発展するオランダと対比して「第三次産業比率が高いから成長余力はオランダの方が大きい」と見ていたそうだ。
 サッチャー政権以後の英国は、第3次産業である金融にフォーカスして復活した。
 振り返って、わが日本はどうか。英国の経験から、まだ学び切れていないものがあるのではないか──。

□鈴木貴博(百年コンサルティング 代表)「日本は英国の経験に学べ ~名著未読・再読~」(「週刊ダイヤモンド」2017年12月9日号)
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 【参考】
【本】噴火の時待つ巨額損失のマグマ ~『異次元緩
【本】“立憲主義”の由来を知る ~『立憲非立憲』~
【本】日本語特殊論に与せず ~『英語にも主語はなかった』~
【本】小国の視点で歴史を学ぶ ~『石油に浮かぶ国/クウェートの歴史と現実』~
【本】日本における婚姻を考える ~『婚姻の話』~
【本】元財務官僚のエコノミストが日本経済復活の処方箋を説く ~『日本を救う最強の経済論』~
【本】歴史を知らずに大人になる不幸 ~『戦争の大問題 それでも戦争を選ぶのか。』~
【本】私たちの食卓はどうなるのか ~工業化された食糧生産の脆さ~
【本】歪み増殖していく物語に迷う ~『森へ行きましょう』~
【本】加工食品はどこから来たのか ~軍隊と科学の密な関係~
【本】80年代中世ブームの傑作 ~『一揆』~
【本】万華鏡のように迫る名著 ~『新装版 資本主義・社会主義・民主主義』~
『【本】『世界をまどわせた地図』
【本】率直過ぎる米情報将校の直言 ~『戦場 -元国家安全保障担当補佐官による告発』~
【佐藤優】宗教改革の物語 ~近代、民族、国家の起源~」」
【本】舌鋒鋭く世の中の本質に迫る/地球規模で読まれた洞察の書 ~『反脆弱性』~
【本】【神戸】「自己満足」による過剰開発のツケ ~『神戸百年の大計と未来』~
【本】英国は“対岸の火事”にあらず ~新自由主義による悲惨な末路~
【本】人材開発でもPDCAを回す ~戦略的に人事を考える必読書~
【本】仮想通貨が通用する理屈 ~『経済ってそういうことだったのか会議』~
【本】進化認知学の世界への招待 ~『動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか』『動物になって生きてみた』~
【本】「戦争がつくっった現代の食卓」 ~ネイティック研究所~
【本】IT革命、コミュニケーションの変容、家族の繋がりが希薄化 ~『「サル化」する人間社会』~
【本】生命はいかに「調節」されるかを豊富な事例で解き明かす ~『セレンゲティ・ルール』~
【本】メディアの問題点をえぐる ~『勝負の分かれ目 メディアの生き残りに賭けた男たちの物語』~
【本】テイラー・J・マッツェオ『歴史の証人 ホテル・リッツ』
【本】中国から見た邪馬台国とは
【本】核兵器は世界を平和にするか ~著名学者2人がガチンコ対決~
【本】『戦争がつくった現代の食卓 軍と加工食品の知られざる関係』
【本】梅原猛『梅原猛の授業 仏教』
【本】東芝が危機に陥った原因は「サラリーマン全体主義」 ~『東芝 原子力敗戦』~
【本】バブル崩壊後の経済を総括 ~『日本の「失われた20年」』~
【本】20世紀英国は実は軍事色が濃厚 ~通念を覆す『戦争国家イギリス』
【本】時代による変化、方言など ~『オノマトペの謎 ピカチュウからモフモフまで』~
【本】冷笑的な気分に喝を入れる警告と啓発に満ちた本 ~『日本中枢の狂謀』~
【本】物質至上主義批判の古典 ~『スモール イズ ビューティフル』~
【本】日本近現代史を学び直す ~『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』~
【本】精神の自由掲げた9人の輝き ~『暗い時代の人々』~
【本】遊牧民は「野蛮」ではなかった ~俗説を覆すユーラシアの通史~
【本】いつも同じ、ブレないのだ ~『ブラタモリ』(1~8)~
【本】分裂する米国を論じた労作 ~『階級 「断絶」社会 アメリカ』~
【本】否応なきグローバル化、つながることの有用性 ~「接続性」の地政学~
【本】読書の効用、ゆっくり丹念な ~より速く成果を出すメソッド~
【本】国谷裕子『キャスターという仕事』

【南雲つぐみ】リンゴヨーグルト ~ポリフェノール+グルコン酸~

2017年12月07日 | 医療・保健・福祉・介護
 12月7日は、二十四節気の一つ「大雪(たいせつ)」。二十四節気は、一年を太陽の動きに合わせて15日ごとに24等分した季節の節目で、大雪の期間はこの日から冬至(12月22日ごろ)前日までを指す。
 北風が吹いて寒さは一段と厳しくなり、山間部だけでなく、平野にも大雪が降る頃という意味だ。冬至のカボチャのように大雪にまつわる食べ物はないが、冬の病気予防になりそうな食べ物を十分に取っておこう。
 例えば、リンゴをたくさん食べると、血中に血栓ができにくく、いわゆる“血液サラサラ効果”があることが分かっている。抗炎症作用などがあるとされるポリフェノールをたくさん含み、肺炎にもなりにくいというデータが出ているそうだ。
 そこで、免疫力を高めて風邪予防に良いと話題のヨーグルトと、すりおろしリンゴを合わせてはどうだろう。電子レンジで少し温めると、香りが良くなり食べやすくなる。1歳未満の子ども以外なら、蜂蜜を入れてもいい。蜂蜜に含まれるグルコン酸には、殺菌消毒作用が期待されている。

□南雲つぐみ(医学ライター)「リンゴヨーグルト ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年12月7日)を引用
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【本】噴火の時待つ巨額損失のマグマ ~『異次元緩

2017年12月07日 | 批評・思想
【本】噴火の時待つ巨額損失のマグマ ~『異次元緩和の終焉 金融緩和政策からの出口はあるのか』~
★野口悠紀雄『異次元緩和の終焉 金融緩和政策からの出口はあるのか』(日本経済新聞出版社 1,944円)

 (1)本書は、日銀の量的緩和政策になお期待をかけるすべての関係者への警告だ。量的緩和政策が経済を何とか持たせているように見えている間にも、矛盾はマグマのように溜まり、噴火の時を待っているのだ。

 (2)まず著者は、量的緩和政策を徹底批判する。この政策の開始以降、
  (a)日銀はいまだ物価目標を達成できていない。
  (b)緩和マネーは投資や消費に向かわず、企業の内部留保として積み上がっている。
  (c)株式などの資産購入は株価上昇を通じて富裕層の資産価値を引き上げ、格差拡大をもたらしている。

 (3)仮に日銀が物価目標を実現しても、この政策からの脱却の際に、日銀に巨額損失が生じうる。なぜか。
  (a)緩和の終了は、金利上昇をもたらす。これが、日銀に重い金利負担をもたらすのだ。日銀が金融機関から国債を購入する際には代金が、彼らが日銀内にもつ口座に振り込まれる。日銀はその残高に利子を付けねばならない。金利上昇でこの支払利子が、日銀の保有する国債の金利収入を上回るため、「逆ザヤ」が発生する。
  (b)加えて日銀は、市場で巨額の国債購入を続けるため、額面より高い価格で購入している。国債の償還時には額面通りの金額しか戻らないため、ここでも損失が発生する。

 (4)著者の試算では、日銀の自己資本約7・6兆円に対し、これらの損失合計はなんと約45兆円にも上り、日銀は債務超過に転落する可能性が高いという。
 問題は日銀に留まらない。極めつきは、財政破綻だ。金利上昇のため、いまは抑えられている国債利払い費が急増。著者のシミュレーションによれば、2023年度にも「利払い費+元本償還費」で予算の半分に達し、事実上の財政破綻となる。

 (5)著者は、深手を負わない早期の退却を推すが、日銀は議論を避けている。
 日銀が真に独立性と透明性を有するなら、自らの政策がもたらす巨大なリスクについて、市場や国民との対話を始めるべきだろう。

□諸富徹(京都大学教授・経済学)「(書評)『異次元緩和の終焉 金融緩和政策からの出口はあるのか』 野口悠紀雄〈著〉 ■噴火の時待つ巨額損失のマグマ」(朝日新聞デジタル 2017年12月3日)
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 【参考】
【本】“立憲主義”の由来を知る ~『立憲非立憲』~
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