諸葛菜草叢記

 "窓前の草を除かず“ 草深き(草叢)中で過ごす日々の記

燈下の蜘蛛 変身--1

2019-07-29 15:09:50 | 日記

 

  真夜深み 燈下(とうか)這いいる 蜘蛛いたり

    転生(てんせい)あらば 汝(なれ)は ″カフカ” か  夢 蔡

 

  床に就くと、何かしらの本を開かないと、眠れない癖があります。

  しかし、2~3ページでウトウトしてしてたのでしょう。

  本のカバーの上を、蜘蛛が這っておりました。ハエトリグモ~

  網戸の隙間から、羽虫などが入りますので、それを狙って・・か

   取り合えず ----<  >----      

 フランツ カフカの『 変 身 』は、人を惑わせる小説である。

『 ある朝、グレゴール‣ザムザがなにか気がかりな夢から目を覚ますと、

  自分が寝床の中で一匹の巨大な虫に変わっているのを発見した。

  彼は、鎧のように堅い背を下にして、仰向けに横たわっていた。』

 『 変 身 』(高橋義孝訳 新潮文庫)の書き出しである。

 カフカは、なぜ変身したかは、全く説明しない。結論もない。

 とにかく変身してしまったのである。変身者の生活を淡々と述べる。

 家族も、彼の変身を不思議に思わない。妹が世話係である。

 チーズは、たちまち平らげたが、新鮮な野菜の方はうまくない。

 嗜好が変わっただけである。

  ザムザは、生活、仕事先の事など、ただ独白する。そこには、

 怒りや悲しみなど、激しい感情の表現などは、一切ないのだ。

 なぜ、変身してしまったのか・? 

  作者は、< 変 身 >の理由を探すこともない。

 

 

 読者は、この『変身者』の語りかけをなんと理解すればいいのだろう

 

 「読者は、ただ困惑し、自分の気持ちを整理できない。そして、

 考えられる限りの様々な解釈を行ってみる。」(訳者 高橋義孝)

 

 不可解な現実とは、かくなるものか

 人は、知らず知らずのうちに<変身>してしまっているのだろか。

 あるいは、<変身>させられてしまっているのか。

 

 

       -------<つづく>-------

 


梅雨明け

2019-07-28 14:38:28 | 日記

  

    蝶飛び来 のど潤(うるお)せり 花の蕊(しべ)  夢 蔡

        やぶ蚊飛び交う 夏草の下(もと)     猿 岩

 

  近海発生の台風一過の梅雨明け宣言。

  それにしても、雨、または曇りの日々が長かったこと。

  窓 前の荒畑の雑草群落は、水分充分、伸びることのびること。

   AM8:30から、(農家の皆さんは、除草剤を勧めますが)

   刈払機で、挑戦しましたが、一時間程でダウン致しました。

    

  お天気コーナーは、「熱中症に気を付けて」のオンパレードだ

  

  しかし、久しぶりの青空であります。

  雑草の間に咲いた百日草に、ヒョウモンチョウがやってきました。

  彼らだって、雨の日は、草の葉の裏側に、潜んでいたのです。

   さぞかし、我慢していたのでしょう

 

  花芯に、ストロー状の口を差し込んで、花蜜を吸いこんでおります。

  余ほど、喉が渇いていたのか、しばらく動きませんでした。

 

「 投稿の間が空きすぎである 」曰く  

   「 ハイ ! わかっておるのですが・・・ 

        どうもマンネリ感がありますもので・・。」

   「 言い訳はせずともよろしい。気を付けるように!! 」 

 

  ところで・・・・:*

  学研のポッケト版「昆虫」をみておりましたが・・。

  ヒョウモンチョウは、卵を、スミレに産み付けると、ありました。

  庭の青桐の根元に、タチツボスミレが生えております。

  そこへ、ヒョウモンチョウが、時々、来ておるのは知っておりました。

  

  「 そう言うわけだったのか。」

 

 

          ------<了>------

 

 

 

 

 

 

       


魅惑のコバルトブルー

2019-07-05 17:35:26 | 日記・エッセイ・コラム

 

   雨あがり 庭のつゆ草 繁りたる

          青き露おく 小(ち)さき花むれ    夢 蔡

  

  庭の小隅の多少湿気を含むところに、露草は、群落をつくる。

  6~7月にかけて、早朝、小花を一世に開花させる。

   実際の花の原寸は、約1センチ程であるが・・・。

  薄緑の草叢上に、点々と散りばめられた、コバルトブルーは、

  人の目を引きつける。

  

  すでに、万葉人も、青い小花を見逃さず、情緒の対象にしている。

  いろいろな人達の興味を引いたゆえか、別名が多い。

  「つき草」* 「蛍草」 「帽子草」 「鈴虫草」 「蜻蛉草」

  どの別名も、花を眺めていると、どこか納得してしまう。

  

  * 昔は、この薄青色の染料としたため、「つ く」→「つ き」

   転じて→→「つ ゆ」の説あり。

 写真の「 絵 解き 」

  (右)開花したての花 黄色部分・突き出した2本は雄蕊

     雌蕊は、まだで、おずおずと伸びかかっているところ。

  (左)側は、露草の特徴である 「苞(ほう)」が、受粉花を包んだところ

   受粉花が、確実に種子となるべく保護をする。

  花中央、下方へ伸びている 「 雌 し べ 」

  ① 花びらのすぐ脇の3個の黄色い部分は、虫よせの囮の雄しべ。

  ②「几」状に突き出た「黄と茶色」、これも花粉あまりなしの囮。

  ③「雌しべ」をはさみ、先端に花粉を持った2本の「雄しべ」

   今まさに、雌しべに襲い掛からんとしているかのようである。

  これぞーーー

  小虫を誘い、受粉を完成させんとする「用兵術」である。

 

   可憐ではあるが、露草は、戦略的である。

   センチメンタルなのは、眺めている人間のほうである。

  

  朝(あした)咲き 夕(ゆうべ)は消(け)ぬる 月草の

      消(け)ぬべき恋も 我はするかも (万葉巻10 2291)

  *訳 「朝に咲いて、夕方には萎んでしまうつゆ草のように

   見も消え果てしまいそうな恋、そんな切ない恋を私はしております」

 

       「 だっ~てさ ~∻ 」-------  

 

            ------<了>-----

 

  

 


雉(きじ)鳴くや・・・

2019-07-01 20:30:21 | 日記

 

  朝な夕な 思わせぶりに 鳴くキジに 

                  姿見せれば 気にならなくに   美 芳

 

  雨が降り、南寄りの風、気温27~8度、荒草、繁茂の好条件です。

  南側の荒れ地は、草丈が4~50㎝は越えましたか 

  雉が忍び寄るには、絶好の条件であります。

   ハンターが、川沿いに放鳥した 狩猟対象の“キジ”の生き残りです。

  最近では、人家の近くにも現れるようになりました。

  

  小雨まじりの朝です。

  人気が、まったくありません。安心したのでしょう。

  例のごとく、かなり高い声で、ケンケ∼ンと鳴きました。

  かなりの近さです。 

  草の合間です。

  やっと、そ姿を捉えることが出来ました。

  カメラ音に気付いたか 足早に逃げ去りました・・

 

 逃げ去った方向、約50m先にその姿がありました。

 赤い顔、頭部から胸にかけての金属光沢の緑色。

 背は、褐色で鱗模様。長い尾羽 お見事な デイスプレイであります。

  

  最近、国書としての 【万葉集】以来、雉はお馴染みの鳥であります。

 

  雉(きぎす)鳴く 高円の辺に桜花

             散りて流らふ 見む人もがも   読み人知らず

 ※ 雉が鳴く高円辺りは、桜が散って風に流れております。

    誰か一緒に見る人があればいいのにな~ァ

 

  雉は、その勇壮な姿とは別に、どこか、人恋しさを呼び覚ますようです。

 

    父母(ちちはは)の しきりに恋し 雉の声   芭蕉

 

 

           -------<了>---ーーー