諸葛菜草叢記

 "窓前の草を除かず“ 草深き(草叢)中で過ごす日々の記

大晦日・平成21年 最後の戯言

2009-12-31 14:56:06 | 日記・エッセイ・コラム

  大晦日です。大三十日、大つごもり、大年、行く年、年惜しむ、除夜・・・。大晦日は、誰にとっても感慨深い日のせいか、それを意味するボキャブラリーは、豊富であります。

 第一級の寒波襲来です。関東平野北遇は、今、地鳴りを立て強風が吹き荒れております。上信越の国境を越えて、雲が次つぎと流れて来て、空を覆い、陽を影らします。

  空風に 雲重々と流れ来す 冬田の麦の青さたくまし  -夢 蔡ー

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    人は、感情や生活状況によって、風景の見方・感じ方に違いがでます。【♪北風吹きぬく 寒い朝は 心一つで暖かくな~る~#】 なんて歌が有りましたっけ。 寒いのは、どうも苦手で、何んとしても身がちじみます。▼ それにしても、何もかも吹き飛ばす勢いです。ついでに、総ての煩悩まで飛ばしてしまえば、手間が省ける~!・・。「エ~、仏様に失礼だって? まことにその通りで・・。

  顧(かえり)みて人は祈るか 除夜の鐘 響くを数え 年は尽き行く ー夢 蔡ー

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  寒いのは苦手、出不精、不信心で、実際に、除夜の鐘を打ち鳴らしている所へは行ったことがありません。マア、無才な短歌の添えにと、今日の日中に撮ったものを代用しました。と言う訳で・・、除夜の鐘が鳴り出すのを先取りして話を進めます。

  除夜の鐘は、人間の煩脳を除去し、救うために鳴り響きます。煩悩は、百八あり、従って、108回鐘は鳴ります。 - これは常識ですー

  「百八~?!」 どんなものか調べてみたので、そのサワリだけ書き込んでおくことにします。▼ 人間には【 眼・耳・鼻・舌・身・意 】の【六根】がある。煩悩のもとです。この六つのアイテムには、それぞれ【 好・悪・普 】の評価があります。これだけで、∴ 6×3=18の煩脳が生まれております。更に、【浄(きれい)・染(きたない)】の2項が掛け合わされ(18×22=36)、更々に、【過去・現在・未来】の3項にわたりますので、結果は、108となります。

  これだけあると、人間とはなかなか救いがたき者ようです。108個のバリヤ通路をクリヤーするのは、大変です。一歩間違えば、たちまち転落します。「 南無~」 都合で信心はいけません。

  雲重く湧き立つ中に日は落ちし 惜しみし年はいま暮れなんとす ー夢 蔡ー

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 、【歳月は人を待たず】 陶 淵明は言っております。誠に、月日の経つのは早いものです。ついて行くのが、ヤットと言ったところです。体力勝負もめっきり、息切れします。【人生 根蔕(こんてい)無く、瓢として陌(はく)上の塵の如し。】〔人の命は、木の根や果実のヘタのような、しかりした拠り所がないもです。まるであてどなく舞い上がる道の埃のようなものである。) ▼これは、【歳月人を待たず】の書き出し、初句であります。一理あるのでしょうが、なにもそこまで言わなくてもと思うのは、凡人だからでしょうか。

  風はすっかりおさまりました。静かです。

   寒風に吹き払われし除夜の空 黙(も)だし揺らめく北斗七星  -夢 蔡ー

  除夜の鐘が鳴り始めました。近くの神社では花火をあげました。今年は終わりました。

  

  

                 


冬至 遊心

2009-12-22 17:37:04 | 日記・エッセイ・コラム

 今日は、冬至であります。このところの強烈な寒気は、ようやく去って、吹きすさんだ木枯しもおさまり、過ごしやすいいい日和です。

  陽だまりに オオイヌフグリ フユシラズ 忍び咲きいて 春まだ遠し -夢 蔡ー

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  「オオイヌノフグリ」は、可憐な青い小花です。少し可哀そうなネーミングであります。「フユシラズ」は、その名の通りに、日当たりの良い場所でよく咲きます。 この辺りは、日照時間が長いせいか、年間を通して、何かしらの花の花が咲いております。心なごむものです。

    冬麗の 陽を貯えて柚子肥えし 今宵冬至湯香を満たせ欲し -夢 蔡ー

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  「一陽来復 」 冬至は縁起の良い日で、この地の農家では、何をやってもよい成就日とされております。「お宅の畑、草が生えすぎー!、けずった方が縁起がいいよ」なんて、皮肉を言われました。★ 柚子は見事な実りようですが、隣家の塀ごしのものです。撮影後に2~3個失敬しました。今晩の風呂に入れます。

 陽落ちし瞬間(とき) 雲は焔(ほむら)に輝けば 熱(ほ)めく心の消し難たきを知る -夢 蔡ー

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 【 年年 至日 長(つね)に客と為り / 忽忽たる窮愁は人を泥殺す 】 晩年の杜甫が、湖南を漂泊している時の「冬至」と題する律詩の冒頭であります。「長い放浪で、心はすっかりグタグタに砕けてしまい、ひどい愁いに打ち沈んでいる。」と詠じております。しかし、こうした状況にあっても・・・。【 落日 心は猶お壮んに / 秋風 病は蘇えらんと欲す 】 ( 落ち行く太陽をみていると、老い病弱な身ながら、心に燃え立つものを感じる。)と、別の詩では、詠っております。

 冬至の太陽が、西の山の奥に落ちた瞬間に、山の端に懸かっていた雲の頂が光を放ちます。勇壮であります。▼ 昔から、この夕景が、好きでした。杜甫の言う通り、心に燃え立つものを感じます。

  落日の薄明横切る 百舌鳥速し 切り裂く声の ただ藪の中 ー夢 蔡ー

 この時期は、モズが、木々の梢を飛び交います。先ほどもまで、鋭い声が聞こえておりました。闇が迫りました。村は静寂そのもです。冬至の一日でした。

 

 

  

 


平成21年版 三文オペラ・短歌的

2009-12-11 11:04:46 | 日記・エッセイ・コラム

  人は頭で生きるというが / でも頭じゃ足りねえ / まやってみな、頭じゃせいぜい / シラミが飼えるだけ。 / だってこの世で生きるにゃ / 人間ずるさがたりねえ / 嘘もペテンも見抜けねえ。 ーブレヒト作・「三文オペラ」よりー

   何年ぶりだろうか、此処に立ち寄ったのは。中学校の西側にある【忠霊塔】である。戦後すぐの少年たちは、学校帰りの待ち合わせ場所によく利用した。教室の隅での口論では、決着がつかず、「忠霊塔んとこで、待ってろ」と言った具合である。体力勝負もまた必要でした。

  山茶花の寄り添い咲きし忠霊塔 逝きし民の名風化せしまま ー夢 蔡ー

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   このところの新聞を読んでいると、童謡 「 肩たたき 」〔西条八十作)が、思わずくちをつくいて出る。「♪ 母さん お肩を叩きましょ タントン タントン タントントン~#」。 [お 肩]はアメリカである。▼ 「日米作業部会中断へーー普天間問題 米『合意壊れる』ー」「暗礁 同盟に影」 民主現政権は、基地問題決着の先送り表明した。その結果、「米国側は、『(普天間が決着しなければ、・・) 経済、環境などの幅広い分野での同盟を深める議論は始められない・・・と姿勢を示した。」(これって、普通、外交交渉時によくあるブラフ的表現だと思うけど) 一面のトップ記事である。何を心配してか、完全にアメリカよりの見出し構成になっている。

    廃屋の門(かど)に山茶花散り敷きて 主(あるじ)の帰り待つかのように ー夢 蔡ー

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  山茶花の奥に家があった。最近になって、治安に悪いし、木枯しに屋根が、飛びそうになったりで、取り壊された。住いの持ち主は、夫を戦争で亡くした女性であった。苦労して育てた一人息子は、東京で独立して所帯を持ってしまった。彼女が、独り静かに逝ってから、久しい。▼ 「この海の果てなる島の密林にしにし友らよ静かに眠れ」 -那須 藤治ー (日本歌人クラブ編 1980年版 年刊歌集) 彼女の夫は、ニューギニヤで戦死している。

 ▼ 普天間問題の結論が先送りになったから、どうだと言うのだ。沖縄の人々の事を考えたら、議論は十分にすればいいと思う。辺野古移転だって、怪しい利権が絡み合っているようだ。現政権が、その事実推移を踏まえているとしたら、イキナリ結論は出せないだろう。新聞だって、ある程度の事実を知っているはずだ。精査し報道する前に、自己検閲しているように思われる。

  さざん花は 色灼灼と咲きそめて 忘れ行く歳月(とし)止めんがごとく -夢 蔡ー

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  「♪ くもりガラスを 手で拭いて / あなた明日が見えますか ~# 」

 ご案内の「さざん花の宿」(詞 吉岡 治 ・曲 市川 昭介)の唄い出しであります。ある程度のお年かたのカラオケ大会では、誰かが必ず歌っております。▼事は、カラオケのお遊びではありません。新聞は、現政権の方向が曖昧だとしきりに言う。しかし、明日が見える為には、ある程度の時間が必要ではないでしょうか。

  「♪ つくしても つくしても あヽ~他人の妻~#

  新聞も報道の中立性を保つとか言って、【三方】に気を使っているようである。しかし、ことは、「国の安全保障の問題」である。【三方一両損】なんて【落ち】は、落語か講談の世界だけにして欲しいものだ。この【落ち】は、民が一番犠牲になるのは、目に見えている。▼報道とは、つくす相手を間違えないことである。  ー  ー

  本編の主人公・・・変声 塵語  ミス・リード (主人公の娘)


平成21年版 師走雑詠

2009-12-01 10:58:48 | 日記・エッセイ・コラム

 時折りの風に落ち葉は舞い降りて 見上ぐる空は徐々に広がり  -美 蔡ー

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 師走となりました。時折の風も静か、冬暖の陽射しです。窓前の欅は、その葉を殆んど落としましたが、残りの葉が、数葉ずつカサリ、カサリと音を立て舞います。

     枯れ蓮の折り伏す上に鴨一羽 師走朔日寒まだ浅し  ー夢 蔡ー

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  短日や 陽射し背に置く 川鵜かな  ー夢 蔡ー 

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  浮き寝の寒さ 凌がんとして   -連歌 返ー

  最近は、殆んど遠出はいたしません。行動半径は、いったて狭いものです。二葉とも、イサク沼で撮影したもの。

   【 ♪ 焚き火だ~焚き火だ 落ち葉た~き~#】

  落ち葉焚き 洗濯物に 香のうつり ー美 芳ー

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  置き火に入れし 焼き芋香ぐわし  ー夢 蔡ー

  【♪ 山茶花 山茶花咲いた道~・・・ あたろう~か あたろうよ~#・・】 最近の【エコロジー】のまえでは、こうした情緒的風景も、眼の敵にされるでしょう。【温暖化】=【CO2犯人】については、疑問を呈している、何人かの先生方の本をよく読む。論理的である。▼ これに反して、【CO2犯人】説は、ヒステリックな感を否めません。テレビで、このまま気温が上昇続ければ、「100年後には、・・・」と言って、シベリヤの奥まで、赤く塗られた地図が映し出していた。

  「エ~! 化石燃料って、100年も持つの~?」 省エネは、別に悪いことだと思ってはおりません。だけど、CO2排出に、色をなして叫んでいたアナウンサーは、華々しいイルミネーションに飾られた大都会の街路樹について、微笑みながら語っておりました。電力って、結構、CO2ぬきには考えられと、思いますけど~!

  千載(せんざい)は知る所に非ず、聊(いささ)か以て今朝を永うせん。 -陶淵明ー

  先の事はわからない。とりあえず今日と言う日をゆったりと過ごそうぜ。