田園は せせらぎ水草 魚(うを)絶えて 改良側溝 濁りて疾(はや)し
夢 蔡
かつて、子供たちは、夏休みに入ると、沼までの曲がりくねった田圃道を走った。
田圃っ川には、メダカ・セバヤ・クチボソ、ドジョウ、時には、小ナマズがいた。
小型の網を持って立ちこんで追うと、いずれかは必ず取れたもんだ。
しかし、今日の目的は、小川で魚獲りではない。
伊与久沼で泳ぐことである。
岸から5m程度が浅瀬だけが、2~3m進むと、1mを超えて、深くなってゆく。
小学校5年生以下は、沼に入れなかった。(村の餓鬼大将による規則)
所々に繁茂するヒシをよけながら、弁天島まで競争である。
だが、この風景は、もうない。-----<>---
土地改良事業が始まり、大型農耕機が動き回れるように圃場が整備された。
そして、子供らが、走った曲がりくねった田圃道は、直線的に切り取られた。
かつての小川の一部が残っていた。S字の100m程の田圃道に沿って、
数件の墓地があったため、そこは、直線で切り取れなかったのだろう。
稲の活着を則するために、水量は豊富であり、澄んではいるが、まるで、生命感が
ないのだ。
機械化農法で、効率的に【田圃】を管理してゆくために、畔部分の雑草退治には、
当然、除草剤が撒かれる。
流れの中で生きる魚類は、絶えてしまう。
イナゴ‣トノサマバッタ・昆虫類もいなくなった。
水は、利根川水系を源流とする用水路によって引き込まれている。
田に入った水は入れ替わるので、トノサマガエルは,かろうじて生き残っている。
改良された四角形の田圃と、U字型側溝の【田圃っ川】本流である。
深さは、60cm程だが、水の力はは圧倒的である。
写真は、静かに流れているように見えるが、健康な大人でも捕まっていなければ、
流されるだろう。
参考・・・人間が、改良・造成したものは、暴れ出すと制御できない。
----< 了・・>---